その一言が!乗り越えよう異文化摩擦

エグゼクティブ・コーチング(14): 長い列の中で待たされた時、Thank you for waiting. といわれました。彼らは謝らないのですか?


例えば、チケットカウンターで長い列の中で待たされ、自分の番がきたとき、アメリカで Thank you for waiting. といわれました。日本人としては I am sorry for waiting. といって欲しいのに。ここでも彼らは謝らないのですか?

I am sorry という表現については既に何度も説明を行いました。
ここで、特に解説したいことは、どのような意識でアメリカ人が sorry というかわりに Thank you といっているかというテーマです。

この Thank you for waiting. という表現は、
Thank you for your patience.
という表現にも置き換えられます。

すなわち、話し手は、相手が長い列にもめげずに自らのサービスを買うために我慢してくれたことに感謝しているのです。
それに対して、I am sorry for keeping you wait とか単純に I am sorry for waiting. という場合は、相手が長い列に並んだことに対する不快感などにたいしてお詫びしていることになります。

ポイントは、主人公がどこにいるかということです。
Thank you という場合は、明らかに話し手が主人公で、I am sorry という場合は、話の主体は相手にあります。
英語表現、特に文化的な背景を踏まえた英語表現について考えるとき、こうした分析は極めて大切です。

自らの意思を主体において相手に対してメッセージを伝える場合、常にまず自分の意志を伝え、次に相手の同意をとるレトリックが働きます。この場合、Thank you for waiting. I hope you are not tired.
(お待ちいただきありがとうございます。お疲れでないことを祈っています)

というような文章を付けて、相手の状況へのケアを表明することが、完璧なサービスということになります。
この上で、もし相手が「疲れたよ」と自らの意思を表明した場合、はじめて、

I am sorry it happens.

とか

I apologize for your inconvenience.

などといった言葉が発せられます。
すなわち、具体的な意思表示、気持ちの表明は「待った側」から明解に伝える必要があるのです。

こうした言葉の背景にある人の意識の問題を理解することは、異文化でのビジネスコミュニケーションを考える上で需要なファクターといえそうです。

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