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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

イギリスとスコットランドをめぐる1000年の「縁」

The British monarchy is the direct successor to those of England, Scotland and Ireland. There have been 12 monarchs of the Kingdom of Great Britain and the United Kingdom since the merger of the Kingdom of England and the Kingdom of Scotland on 1 May 1707.
(ウィキペディアより)

イギリス王室はイギリス、スコットランド、そしてアイルランドの直接の継承者で、1707年5月1日にイングランドとスコットランドの王室が合併して以来、12代の君主が君臨している

イギリスという国を「イギリス」と呼ぶ日本人。その語源はというと、戦国時代から江戸時代にかけてのポルトガル語やオランダ語での「イングランド」を意味する語彙が変化したものだといわれています。元々日本人はイギリスのことをエゲレスと呼んでいたことはよく知られています。しかも、当時の日本人には、イギリス本国の内政事情は伝わっていませんでした。
イギリスはイングランドとスコットランド、さらにはウエールズやアイルランド (ここはイギリスの植民地でした) に分かれていて、それぞれ別の国だったという状況は詳細には伝わっていなかったのです。
これがイギリスを一つの国家として意識した日本人のイギリス観の原点となりました。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

北朝鮮を巡る国連安全保障理事会での駆け引きの奥にある本音とは

【海外ニュース】

Haley urges Security Council to move quickly
(CNNより)

ヘイリーは、安全保障理事会に迅速な動きを求める

【ニュース解説】

8月15日の記事で北朝鮮の核の問題について解説しました。
その後、北朝鮮は日本の上空を通過する大陸間弾道弾を発射し、さらに水爆実験をも強行しました。その矢継ぎ早な対応に、アメリカをはじめ多くの国が振り回されています。

日本時間の今週月曜日から火曜にかけての夜に、国連で安全保障理事会 Security Council の緊急会合 emergency meeting が招集されました。
そこでスピーチをしたアメリカの国連大使ニッキー・ヘイリーについてまず知っておきましょう。彼女は、シーク教の父母を持つインド系の背景を持ちながらプロテスタントの本流にも近いメソヂストに改宗し、その後サウス・カロライナ州知事に選ばれた、共和党の中でも最も保守的で特異な経歴を持つ人です。
そして、ニッキー・ヘイリーは、トランプ政権の外交政策の懐刀として、国連大使をつとめているのです。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

円熟した社会が「ベーシックインカム」制度を導入するには

【海外ニュース】

Universal basic income is generating considerable interest these days, from Bernie Sanders, who says he is “absolutely sympathetic” to the idea, to Mark Zuckerberg, Facebook’s chief executive, and other tech billionaires.
(New York Timesより)

バーニー・サンダースがフェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグや他の技術界の富裕者の打ち出した考えを強く支持し、万人に向けたベーシックインカムという考え方に大きな関心が集まっている

【ニュース解説】

去年のアメリカの大統領選挙では、国がもっと国民の生活を向上させるために積極的に動くべきだとした民主党のバーニー・サンダース Bernie Sanders 候補が注目を集めました。
表題の記事のように、彼が、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ Mark Zuckerberg などと共に打ち出したのが、ベーシックインカム Basic Income という制度の導入でした。
ベーシックインカムは、全ての国民に平等に政府が一定の資金を支給して、最低限の生活ができるようにするシステムのことを意味しています。国民から徴収した税金を、根本的な格差を是正し、その結果、個人の自由と尊厳を守るために、差別感なく均等に振り分けようというのがベーシックインカムの考え方です。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

テロを憎みつつ、そこに至った縺れた糸を振り返ろう

【海外ニュース】

Spain was hit by its worst terrorist attack in more than a decade on Thursday, when a van driver plowed into dozens of people enjoying a sunny afternoon on one of Barcelona’s most famous thoroughfares, killing at least 13 people and leaving 80 bloodied on the pavement.
(New York Timesより)

スペインはこの10年で最悪のテロに見舞われた。木曜日、バンの運転手がバルセロナの目ぬき通りの午後の日差しを楽しむ人々に突っ込み、歩道は13名以上の死者、80名の負傷者に埋め尽くされた

【ニュース解説】

ヨーロッパでまたテロがおきました。
モロッコ人のイスラム過激派グループがバルセロナで車によって人々を殺害したのです。こうした事件がおきるたびに、なぜそこまで憎しみの連鎖がと多くの人は当惑します。
我々は、テロ行為を弾劾しながら、同時にイスラム教徒の間に過激な思想が広がった背景について、改めてもつれた糸を紐どくことが必要です。

イスラム教徒の多くが西欧社会に抱く不信感の原点はパレスチナ問題です。戦後イスラエルがパレスチナに建国したとき、そこに住んでいたアラブ系の人々が土地を奪われ難民となったことが全てのはじまりでした。
そのときに、イギリスもフランスも、そしてアメリカも、イスラエル寄りの政策をとったことが、アラブ社会を刺激したのです。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

核拡散の脅威が現実となった北朝鮮問題

【海外ニュース】

North Korea’s success in testing an intercontinental ballistic missile that appears able to reach the United States was made possible by black-market purchases of powerful rocket engines probably from a Ukrainian factory with historical ties to Russia’s missile program.
(New York Timesより)

北朝鮮がアメリカに到達可能な大陸間弾道弾を開発できた背景には、ロシアでの過去のミサイル開発に関連したウクライナの工場からのブラックマーケットを通した技術の流出があった

【ニュース解説】

ニューヨークタイムズのスクープ記事によれば、北朝鮮の核弾頭を搭載した大陸間弾道弾 intercontinental ballistic missile の開発の背景に、旧ソ連からの技術の流出があったのではということです。
多くの人が北朝鮮の核開発を脅威と感じている背景には、北朝鮮の行為が単なる核を抑止力 deterrence として利用しているのではないように思えることがあるようです。

そもそも、核が抑止力とされていたのは冷戦時代のことでした。
アメリカとソ連とは、お互いに核開発を促進し、相手を威嚇しながら外交戦略を遂行していたのです。この核による威嚇が実際の戦争の脅威となったのが、キューバ危機でした。
アメリカの咽喉元のキューバで革命がおこり、1959年に社会主義政権が成立します。そして、1962年にキューバを支援するソ連が核弾頭を搭載したミサイルをキューバに搬入していた事実が明らかになり、アメリカとソ連との関係が一触即発の状態になったのです。
同様の危機は、1950年から 53年にかけての朝鮮戦争のときにもありました。マッカーサーが北朝鮮への核の使用を強く進言していたといわれています。

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