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ワシントンでの国際会議の裏側を垣間見て

“I have just authorized a doubling of Tariffs on Steel and Aluminum with respect to Turkey as their currency, the Turkish Lira, slides rapidly downward against our very strong Dollar!”

「私はトルコからの鉄鋼、アルミニウムの輸入に対してトルコリラを基軸に関税を2倍にした。これで我々の強力なドルの前に、リラは価値が下がってゆくだろう!」
トランプ大統領のtwitter 2018年8月10日付より

人々の思惑・情報・利害が渦巻く街、ワシントン

 先月末から今月にかけて、アメリカのオンライン英語検定試験「iTEP」を主催するiTEP International社(iTEPは留学や英語でのビジネス能力試験等、様々な用途に使用される試験を運営する)の世界大会に出席しました。今年はワシントンD.C.で開催され、久しぶりのアメリカの首都への訪問となりました。
 
 会議では私を含め、世界中でこのテストを取り扱う国の会社の代表が、自らの地域での販売活動報告を行います。
 その中に、トルコのディストリビューター(Distributor=販売代理店)のサラーという経営者がいました。彼の会社はトルコの格安航空会社などとのコネクションが強く、売り上げを急速に伸ばしていることで注目されているのです。しかし、昨年は彼にとって大変な年でした。アメリカドルに対してトルコの通貨リラが大きく暴落(devaluation)したのです。アメリカとの政治的緊張、イスラム色の強いエルドアン大統領の強権政治に対する警戒感などがその原因でした。
 サラーは、その逆風の中でiTEP Internationalと交渉し、支払いを調整しながら、現地での強いコネクションをフル稼働させてビジネス英語能力テストの販売を伸ばしたのです。この努力と成果には、会場の人々も賞賛の拍手を送りました。
 
 彼はクルド系トルコ人です。
 クルド人といえば、イラクやトルコに居住し、イスラム教徒ではありながら、その強い民族意識からしばしば迫害や差別の対象になってきたことはよく知られています。そして、トルコ政府はクルド人の民族運動をテロ行為として抑圧します。対してアメリカは、イラク戦争などを通してクルド人に武器を供与するなど支援を続けていました。以来、クルド人問題は、アメリカとトルコとの溝を深めるいくつかの重要な課題の一つとなったのです。
 
 ワシントンにある、デュポンサークル(Dupont Circle)という大きな交差点にクレイマーブックス & アフターワーズ(Kramerbooks & Afterwords Café)というブックカフェがあり、私は同地を訪れるたびにそこを訪問します。Facebookにもそこで出会った一つの書籍をアップしました。同店は今でもワシントンの政界の大物も立ち寄る有名な書店で、併設されているカフェやバーには、ロビーイングを行う人々も多く集います。
 この書店と同様に、例えば有名ホテルの会員専用のラウンジなど、ワシントンD.C.では様々な場所がそうした政治的な打ち合わせに使用されています。ワシントンD.C.で活動する人々は、政治家、企業家、そしてジャーナリストや評論家など、多くが何らかの政治的利害の糸で繋がっていると言われているほど、ロビーイングや情報収集の場所がこの街のあちこちにあるのです。
 
 実は、そんなロビー団体の中でも有名なのが、トルコにあってクルド人と同居してきたアルメニア系ロビーイストの団体なのです。さて、サリーを見舞った苦境を説明するために、ここでアルメニア人について解説します。
 

トルコとアメリカの対立に見える歴史的背景と民族的確執

 アララト山はトルコの東の端、隣国アルメニア共和国にも近い高地にそびえる名山です。雪をかぶる壮麗な山は、その昔『旧約聖書』に書かれた「ノアの方舟」が漂着した場所ではないかとも言われています。
 そんな場所がアルメニア系アメリカ人の故郷です。そして、この地域にはクルド人も多く居住しています。
 アルメニアの人々の多くは、アルメニア使徒教会(Armenian Apostolic Church)というキリスト教を信奉しています。このルーツは、アルメニア人がローマ帝国パルティアやその後のササン朝ペルシアといった東方の強国に挟まれながらかろうじて独立を保っていた、キリストが活躍していた時代にさかのぼります。紀元301年に、アルメニア王国はキリスト教を国教にします。それは、世界で初めての出来事でした。その後、ローマ帝国でもキリスト教が国教となり、何度かの宗教会議を経て、キリスト教がローマの国教として体裁を整えてゆく中で、アルメニア使徒教会はローマには従わず、独自の信仰を維持しました。
 
 その後、トルコ系の勢力が拡大し、イスラム教が浸透する中で、アルメニア人もそんな歴史の波に飲み込まれます。しかし、彼らは当時のイスラム教最大の国家トルコの支配下にあっても、自らの文化と宗教を維持します。特にオスマン帝国末期には、民族運動による軋轢から強制移住や虐殺といった弾圧を受け第一次世界大戦の時期には多くのアルメニア人がトルコを追われます。その多くが移民としてアメリカに流れてきたのです。
 現在、アメリカのアルメニア系の人々は特にカリフォルニアに多く、経済的にもしっかりとした基盤を持っていると言われています。そんなアルメニア人にとって、故郷のシンボルとして慕われているのがアララト山なのです。
 
 そんな歴史的背景もあって、アメリカに居住するアルメニア系アメリカ人はトルコに強い警戒感を抱いています。アメリカ・アルメニアン会議(Armenian Assembly of America)などを組織し、トルコへの経済制裁(Economic sanction)を求めるロビー団体として活動しています。
 実は、彼らのロビー活動はイスラエルの活動と比較されるほど強力で、アメリカの中でも最も強い移民団体の一つとして注目されているのです。
 
 実際、トルコへのアメリカ政府の制裁は、アメリカのアラブ社会への警戒感と、アメリカの保守系政権が伝統的に維持しているイスラエル支援とは無縁ではなく、トルコのエルドアン大統領が、イスラム色の政策を強め、クルド人問題などを通して反米色を強めると、両国の関係が一触即発の緊張関係へと悪化してしまったのです。両国ともお互いの輸入品への関税(tariff)を引き上げ、経済戦争にも突入しています。それが昨年のリラ暴落の直接的な原因でした。クルド人とその隣人アルメニア人、そしてイスラム教国トルコとトランプ政権の利害と確執が、100年以上くすぶってきた移民問題を発火させたのです。アメリカの政策変更の背景にあるこうした複雑な状況は、なかなか日本には報道されません。
 

ワシントンを制する者が世界の政治経済を制する

 そもそもトルコは北大西洋条約機構(NATO)の重要な加盟国で、中東の大国です。伝統的にロシアの南下政策に危機感を持つトルコは、アメリカの友好国だったのです。
 我々は、ともすればアメリカと中国との経済戦争に目を向けるあまり、そんなトルコの最近の急激なアメリカ離れに対して鈍感です。しかし、中東やヨーロッパでは、これは大きな政治問題であり、経済問題となっているのです。今回、第二次世界大戦でのアメリカを中心とした対独戦線でのノルマンディー上陸作戦75年を記念した式典に集まった、トランプ大統領やイギリスなどの関係者、今後開催されるG20に集まる首脳の頭には、トルコの課題が渦巻いているはずです。
 
 クルド系の経営者サラーが、そんなアメリカとトルコとの経済戦争のあおりを受け、アメリカの商品の販売に苦戦し、それを必死で乗り越えようとアメリカの政治の中心であるワシントンD.C.での国際会議にやって来ているのです。
 そして、ワシントンでの人々のネットワークの糸をうまくたぐり利用する者が、世界での外交においてアドバンテージを取れるわけです。
 
 クレイマーブックスは早朝から深夜まで営業しています。そして、アメリカ外交の蜘蛛の糸に関係する人々にも利用されながら、書店経営斜陽の今にあっても、しっかりと経営を続けているのです。
 

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英英辞典は最強の英語学習ツールになる!

『「シャツ」を英語で説明できますか? 英語力を着実に伸ばす英英辞典活用法』近藤真治 (著)「シャツ」を英語で説明できますか? 英語力を着実に伸ばす英英辞典活用法』近藤真治 (著)
英英辞典の説明文は質が高く、英文のお手本として最適です。また、オムレツの作り方やゴルフのルール、アインシュタインの相対性理論まで英語で説明されています。そんな英英辞典を利用した英語学習法を紹介します。すでに知っている英単語を、辞典を引く前に自分で定義を考えてみて、辞典の定義をネイティブスピーカーの模範解答として答え合わせをしたり、国家・出来事・人物など、幅広い分野の語彙や表現をインプットして、英会話・英作文の力をつける活用法を解説します。

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官民協力のモデルとなるバージニア工科大学から見える明暗とは

“Virginia Tech announced Tuesday that it will build a one-million-square-foot, technology-focused campus in Alexandria — a $1 billion project that is part of a higher-education package cited as a key reason Amazon selected Northern Virginia for a new headquarters sites.”

(バージニア工科大学は、火曜日に100万スクエアフット(約2,800坪)のテクノロジー関連のキャンパスをアレクサンドリアに建設する。この1ビリオンドル(約1,100億円)のプロジェクトは、アマゾンがバージニア北部を新たな本拠地にしたことを受け、より高度な教育パッケージを提供する戦略の一つである。)
― バージニア工科大学のプレスリリースより

二都市の明暗を分けたアマゾンの拠点誘致

 今、ワシントンD.C.からニューヨークに向かう列車の中でこの原稿を書いています。
 車内は、アメリカ東海岸の政治経済の中心で活動するビジネスマンでほぼ満席の状況です。今回の出張では、この二つの都市の他に、アメリカの富が集まり、南米とのコネクションも強いマイアミでもいくつかの打ち合わせを行いました。
 
 この中で一つ面白いことがありました。
 バージニア工科大学でのアプローチです。実はアマゾンシアトルの他に、流通の拠点をバージニアにオープンしたのです。このことによって、ワシントンD.C.から近いアーリントン地区を中心に2万5千人の求人がありました。
 しかし、アマゾンは元々、本部をニューヨークに設置しようとしていたのです。
 
 ニューヨークに、将来を期待された下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテスという人物がいます。彼女はいわゆる労働者階級の両親の元で育ち、女性としては史上最年少で下院議員にのぼり詰めた人物として注目を集めています。
 前回の大統領選挙で民主党候補の一人になったバーニー・サンダースの後継者として、いずれは大統領候補にまでなるのではと思われるほど、庶民から強い支持を得ていたのです。
 コルテス議員は、移民の規制に強く反発し、彼らの権利を守り、開かれた社会の建設を主張しました。もちろん、彼女はポピュリズムの波に乗ったトランプ政権への批判の急先鋒としても注目を集めたのです。
 そんな彼女は、アマゾンのような巨大資本と行政との繋がりに懐疑的で、アマゾンの誘致にニューヨークが財政的な援助をしようとしたことに強く反発しました。彼女は、アマゾンの誘致は巨大企業のメリットだけが優先され、環境や労働者の生活の向上への貢献にはならないと主張したのです。
 そして、彼女を中心とした運動の結果、アマゾンはニューヨークへの進出を断念し、バージニアに第二の拠点を設けたのです。
 皮肉なことに、この結果がコルテスの支持率低下に繋がりました。
 アマゾンが進出しなかったことで雇用が生まれず、さらに地域の活性化にも繋がらなかったという批判にさらされたのです。
 

Alexandria Ocasio-Cortez

産学連携に見え隠れするリベラル層の分断

 対照的なのがバージニアでした。
 アメリカの首都にも近いバージニア工科大学では、即座にMITという学科の強化に踏み切ります。MIT(Master of Information Technology)とは、従来のMBAでの教育のノウハウを活かしながらInformation Technology(情報技術)の分野を伸ばしていこうという学科のことで、MBA以上に将来性を期待されている学科です。バージニア工科大学では、アマゾンと提携してMITをはじめとした様々な分野で研究活動を進めてゆくと発表したのです。
 
 アマゾンから見れば、学術機関で育てられる新たなベンチャーや様々な技術革新を自らの事業に導入できます。大学から見れば、巨大企業の支援によって大学経営を圧迫している設備投資や高騰する人件費の合理化にも繋がります。さらに、アマゾンそのものが研究対象として有益であることは言うまでもありません。
 MITには世界中から優秀な学生を集めるつもりであると、関係者は語ってくれました。
「学費は18ヶ月で5万ドル(約550万円)です。それを聞くと、誰もが高いからやめとこうと思うでしょう。でも、ここを卒業した人の初任給は10万ドル(1,100万円)以上が普通なんです。すぐに元は取れますよ」
 そう関係者は話します。
 バージニアから見れば、雇用と新たな産業の芽がこれで創造され、同時に学術拠点としての活力も育まれるのです。
 
 今回のアマゾンの誘致問題から見えてくるアメリカ社会の分断は、単にトランプ政権に代表される内向き志向のアメリカと、移民政策や環境問題などに配慮した人々との溝であるとは言い切れない複雑さが伺えます。
 実は、トランプ大統領の政策に反対する、いわゆるリベラル層の間にも、見えない溝があることを忘れてはなりません。
 そこに見えるのは、グローバルな企業やIT等で世界とネットワークするビジネス界やそれを支える人々と、移民、人種問題や人権、そして雇用の問題に取り組む伝統的なリベラル層との間にある微妙な意識の隔たりです。
 コルテス議員の政策は、後者の人々の支持に支えられながらも、前者の意識、さらにはそこでの雇用を期待した人々への意識との対立を生み出したのです。
 この意識の差が、選挙での票の分断へと繋がり、逆に強いアメリカを標榜する保守層に支えられたトランプ政権への追い風にもなるわけです。
 

アメリカの現実と未来像から考える日本の将来

 今、アメリカの景気は好調です。
 とはいえ、これから1年以上先の大統領選挙までその景気が維持できる保証はありません。早く中国との経済戦争の影響を脱皮し、タイミングよく大統領選の時期まで景気を維持できるかはトランプ政権の大きな課題です。
 それに対して、民主党の課題は、ここに記した「見えない分断」をどのように克服し、支持を固めるかが課題なのです。
 それには強い大統領候補と共に、この微妙な溝を埋められる優秀な副大統領の選抜が極めて大切です。それが次回の選挙の行方を占う鍵となるでしょう。
 
 そして、バージニア工科大学に見られるような企業との取り組みや、MITでの活動などは、とかく民間との壁を作りたがる日本の大学や教育関係者にとってはしっかりと見習うべき事例とも言えるはずです。
 アマゾンの誘致をめぐるアメリカ社会の現実と未来像は、アメリカだけの課題ではなく、日本の将来にも投影できる事柄なのです。
 

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『どうすれは日本人は英語を話せるようになるのか!?』アンドリュー・ロビンス (著)どうすれは日本人は英語を話せるようになるのか!?』アンドリュー・ロビンス (著)
日本では英語学習が義務づけられているのに、なぜ実際に英語を話す日本人がこれほど少ないのだろう?絶対確実な言語習得法とはなんだろう?他の国では言語教育をどのように行っているのだろう?
本書では、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学で学んだ著者が、学習者や教師が英語学習でぶつかる障害から、必ず言語学習に成功できる方法までを網羅。「なぜ」そして「どうしたら」言語能力の向上をコントロールできるかを具体的に伝授します。

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韓国からのメール、そして会社の求人

“Chase the vision, not the money, the money will end up following you.”

「ビジョンを追いかけろ。お金ではない。そんなものはあとでついてくる」
― Tony Hsieh

連休中に韓国から届いた、一通のメール

 連休中のことです。
 一通のメールが届きました。韓国の友人の奥さんからでした。
 彼は、数年前にある会社を退職しました。経営陣との考え方の違いが原因でした。
 残念なことに、退職後に病気で入院。回復した後に、一度ソウルで食事をしました。4年前のことでした。以来、彼からの連絡は途絶えていました。
 彼の奥さんは大学の先生で、地方都市で教鞭をとっていることは知っていました。私は、きっと彼は新しい仕事を見つけ、週末は奥さんとソウルで暮らし、平日は別々の場所で仕事をしているものと思っていました。
 

* * *

 先日、ソウルへ出張したときのことです。
彼が働いていた会社の幹部の一人に、彼の消息を尋ねました。彼は奥さんの働く街に移動しているんじゃないか、とのことでした。それなら、きっとそこで新しい仕事をしているのかなと思っていました。
 
 彼は韓国の有名大学を卒業し、学術系の出版社のベテラン編集者として活躍していました。大学でも、出版社でも、仕事を見つけるのに困ることはないと思っていました。
 そんなとき、彼の奥さんからメールが届いたのです。そしてメールには、彼が何も仕事をせず引きこもってしまっていたこと、そして大学時代の友人などとも連絡を絶っていたことなどが書かれていました。彼にとって私は大切な友人で、何かできないだろうかという悩みを打ち明けてくれました。
 

* * *

 彼は私にとって、韓国のことを理解する大きなヒントを与えてくれた大切な友人です。竹島(韓国では独島)のことで日韓関係がもつれていたとき、こうしたことは国際司法裁判所に委ねるべきでは、と私が話したときのことです。彼は私に、韓国人にとってこれは民族の独立の象徴なのです、と答えてくれました。彼は日韓関係に対して、特別な政治的立場をとっているわけではありません。むしろ彼は、韓国のナショナリズムにはシニカルな立場をとっていました。そんな彼が「民族」という言葉を使って韓国人の心を解説してくれたとき、私はふと思いました。日本人が自らのことを「民族」として意識しているだろうか、と。
 
 この「民族」という言葉は、私にとって重たい言葉でした。日本人が自らを日本民族という表現で海外に向けて語ることは、ほとんどありません。「民族」とは大国の間で翻弄されてきた歴史を持つ、韓国の人ならではの表現だったのです。この彼の一言で、私の韓国への理解が大きく変わったのです。
 

会社の求人面接と人材採用の難しさと

 連休前に、私は多くの応募者と面接をしなければなりませんでした。
 会社の業務の関係で、数名の人材が必要だったのです。すると200名を超える人が応募してきました。彼らの中には40代、50代で高学歴かつ職歴も素晴らしい人が多くいました。あまりにもその経歴が素晴らし過ぎて、今回求める人材には見合わないなと思いながら、そうした人々の希望年収を見たとき、その低さに驚きました。
 今は人材の採用が難しく、希望者が会社を選ぶ時代だと思っていたところ、それは新卒の一部の人に限られたことだということがよくわかりました。
 
 そんなことがあった後だけに、私に韓国のことを教えてくれた友人を見舞う厳しい状況が気になりました。
 韓国は、日本と同様に人口の逆ピラミッド化が進んでいて、そのことによる人口減少にも拍車がかかっています。おそらく引きこもりや格差など、日本同様の社会現象も多くあるはずです。
 とりあえず私は時間が空き次第、韓国へと彼を訪ねることにしました。今、彼の元同僚や学生時代の同級生はそれぞれの道を進み、仕事も順調とのことです。それだけに、彼はそうした人たちと連絡をとる気にもならず、仕事を探す気力も失せて久しいのです。
 私は5月中旬に台湾へ、そして5月末から6月初旬にかけてはアメリカへ出張しなければなりません。おそらく、韓国に行くとしたら6月末になるでしょう。きっと東南アジアか中国への出張の途中で、その地方都市に立ち寄ることになるのではと思います。
 
 私に何ができるでしょう。
 ただ、一つ嬉しかったことは、彼の奥さんが彼の最も信頼する友人として、私に連絡をしてきてくれたことです。彼と会って、社会的道徳に沿ってあきらめるなと正論を語るのは、極めて簡単なことです。しかしもちろん、そんなことをする気は毛頭ありません。私に何ができるかもまだわかりません。ただ、彼が私と同じような仕事をしてきたことを手掛かりに、私にできることはなんでも協力しようと思っています。

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 AI の進化で、これからどんどん必要でなくなる職種が増えてくるといわれています。
 以前は羨望の的であった仕事が、今は斜陽産業となっている事例も数え切れません。これから数年で、大手銀行でも大量の人員削減があるといわれています。
 そんな人たちが、私の会社の求人サイトに殺到し、そこで採用を断られ、さらに別の求人面接へと自分を追い込むうちに、次第にプライドも精神力も磨耗し、仕事への意欲も失われてゆくケースも増えるのではないでしょうか。
 

自分にとってのビジョンを追いかけろ

 そんな時代に生きる上で、一ついえることがあります。それは、キャリアを会社や組織に求めないことです。
 個人ベースで仕事をして生活してゆくアイディアと力を蓄え、求人状況が変化しても柔軟に対応できる個人の力を蓄えることが必要です。自分がやりたいことを見つめ直し、そこから就職することが目的ではなく、自分が何をしたく、何ができるのかという視点から生きてゆく目標を再構築しなければ、学歴があっても高年齢の人の就職はますます困難になってくるように思えます。
 韓国に行って、友人の話を聞きながら、一緒にそんなことを考えられればと思っています。
 冒頭の引用は、会社の経営についての格言です。しかし、それは個人にもいえること。自分にとってのビジョンを追いかけるのです。そうすれば、どのようにしてお金を稼ぎ、生活するかは次第に見えてくるのではないでしょうか。
 

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『30秒でできる!ニッポン紹介 おもてなしの韓国語会話』IBCパブリッシング (編集)、リムワン (訳)30秒でできる!ニッポン紹介 おもてなしの韓国語会話』IBCパブリッシング (編集)、リムワン (訳)
シンプルだけれどしっかりと伝わる、韓国語の日本の紹介!
双方向に活発な交流がある、おとなりさん、韓国。ビジネスやプライベートでも韓国語の習得を目指す学習者が急増しています。本書では、韓国人がよくする質問への回答や、おもてなしに欠かせない表現を30秒以内のシンプルな韓国語で学べます。日本人と似ているけど、微妙に違う韓国人の文化についてのコラムも充実。この本で韓国語をマスターして、ニッポンナビゲーターになりましょう!

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平成が過去に、そして次の28年の変化とは

“There is almost no limit to the potential of an organization that recruits good people, raises them up as leaders, and continually develops them.”

「良い人材を採用し、その人たちの間にリーダーが生まれ、常にそれが成長することが組織の中に無限の可能性を培うのだ」
— John Maxwell(アメリカのリーダーシップ論の著述家)

政権交代で激変するアメリカと日米との距離感を探る中国

 先日、ある一人のアメリカ人に会いました。
 彼は、アメリカの製薬会社の日本支社長として東京に住んでいます。
 しかし、彼には面白い経歴があります。以前はホワイトハウスの警護を担当していた軍人だったのです。
 それは、クリントン大統領による民主党政権から、ブッシュ大統領による共和党政権に変わった頃のことでした。
 民主党政権の時のホワイトハウスに勤務していた人々は、服装もカジュアルだったと彼は語ります。それが共和党に変わった途端、伝統的な背広にネクタイ姿の人々で占められたというのです。それほどまでに、政権が変われば全てが変化するのがアメリカの政治だと、このエピソードを語りながら彼は指摘します。
 そんなアメリカがトランプ大統領の元、再び大きく政策を変更し、オバマ前大統領の方針とは反対の外交政策を展開します。
 
 今、アメリカとの新たな経済摩擦に悩む中国では、英語教育にブレーキがかかっているといいます。例えば、学校での英語の授業の回数が減り、英文から中国語に翻訳される新聞などへの検閲も、以前にも増して厳しくなっているといわれています。中国は自国民がアメリカの影響を受けることに警戒を強めています。
 逆に、最近まで執拗に行われてきた都市部などでの反日キャンペーンには歯止めがかかり、巷レベルにまで日本との雪解けムードを浸透させようとしているようです。
 超大国となった中国にとってはアメリカとの貿易摩擦のみならず、軍事的な緊張関係も見過ごすことができません。
 そうした中で、中国は日本に笑みを浮かべながら、自国の経済力をちらつかせつつ日本が中国に少しでも近づくように合図を送っているというわけです。
 

二つの超大国の間でジレンマを抱える日本・韓国・台湾

 確かに、アメリカと中国は世界における二つの超大国です。であれば、日々狭くなる21世紀の地球の中で、お互いが自国の権益を守るために警戒し合うことも頷けます。そして、2つの国の中間に位置する日本や韓国にとっても、状況に応じて政策を目まぐるしく変化させる両国の間でいかにうまく渡り合えるかというテーマは、大きな外交課題となっています。
 
 実は、日本も韓国も共通した問題を抱えています。
 それは、中国やアメリカとは異なり、どちらの国も急速に人口の高齢化が進行している現実です。日本も韓国も人口が減少を始め、それはそのまま国としての体力にも影響を与え始めているのです。アメリカからみても、中国からみても、この二つの隣国が第二次世界大戦以前の負の遺産を消化できず、関係がぎくしゃくしていることは悪いことではありません。むしろ、この二つの国、それに加えて台湾が、それぞれの国が置かれている立場を冷静に考えて連携を始めることの方を警戒しているはずです。
 
 そこで、台湾に目を向けてみます。
 去年の11月に台湾南部の中核都市・高雄で、国民党の韓国瑜氏が市長となりました。彼は現職の台湾総統である蔡英文氏の路線と対立し、中国との連携強化を主張し次期総統を狙っているといわれます。台湾は中国とどのような関係を維持してゆけばよいのかという政策をめぐって、常に左右に揺れているのです。
 台湾の場合は、中国が台湾を自国の一部であると主張し、その主権を認めていません。であれば、台湾にとって中国の脅威は日本や韓国の比ではないはずです。従って、台湾としては沖縄に強力な米軍の存在があることは、自国の安全のために必要不可欠であると考えているでしょう。これは沖縄に限らず、日本全体にとっても複雑な課題を投げかけていることになるのです。
 
 この複雑さは韓国にとっても同様です。
 国内の世論を味方にするためには、韓国の指導者は当分の間、日本の戦争責任追及の手を緩めるわけにはいきません。しかし一方で、日本とアメリカと韓国とが軍事的にも経済的にも連携を深めた方が、自国の利益につながることは明らかです。しかし、アメリカはトランプ政権になって以来、軍事と経済とを見事に分けて、同盟国といえども経済の問題に対しては強硬な姿勢をちらつかせています。
 しかも、経済という現実的な問題を考えた場合、極東の全ての国家は、中国との絆を反故にすることも不可能です。まして、日本も韓国も人口の減少と低い経済成長に悩まされていれば尚更です。台湾についていうならば、中国との経済交流なしには国家経済そのものが破綻しかねません。
 

昭和と平成、そして令和を迎えた日本の未来は

 政権ごとに対応が変わるアメリカの外交政策と、自国の置かれている状況によって敵対と融和という振り子をお構いなしに振りかざす中国の間にある三つの国。日本はその一つというわけです。
 日本にとって、昭和の後半は戦争の荒廃から復興し、経済成長を成し遂げた時代でした。そして平成は、そんな経済成長に歯止めがかかり、中国を含む周辺の国々が成長する中で、国力が陰り始めた時代でした。
 令和は、そんな日本が、急成長した中国と内向きに変化するアメリカの間に挟まれながら、どういった立ち位置で生き残るのかという課題を背負う時代となりそうです。
 
 バブル崩壊から28年。この短い期間に中国のGDPは日本の2倍にまで成長しました。すでに個人所得でも、日本はシンガポールなど一部のアジアの国々や地域にも水をあけられ始めています。教育水準も同様です。
 では、これから28年後はどのようになるのでしょう。いつの時代でも未来を正しく予知できる人はいないものの、日本の立場がより困難な時代になってゆくことは否めない事実でしょう。それが日本の凋落の時代とならないことを祈りたいものです。
 冒頭の英文が語るように、人材を内外から求め、社会のあらゆる場所で人々がリーダーシップを発揮できるような教育制度、そして国づくりが急務なのです。
 世の中がほんの20年でも信じられないほどに変化するということは、過去の歴史でも証明されていることなのです。

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『英文日本紹介事典 増補改訂版 JAPAPEDIA(ジャパペディア)』IBCパブリッシング (編)英文日本紹介事典 増補改訂版 JAPAPEDIA(ジャパペディア)』IBCパブリッシング (編)
日本のすべてをシンプルな英文フレーズ3300で紹介!
日本の政治・経済・文化・歴史・宗教・哲学から、47都道府県の紹介・原発問題まで、いまの日本の全貌を正しく英語で語れるようになる!
すべてのテーマで、段階的に英語をレベルアップしながら説明できるようになっているので、自分の英語レベルに合わせて活用できます。

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新しい組織と個人のあり方を求めて

“New technology will not necessarily replace old technology, but it will date it.”

(新しい技術が古い技術に取って代わる必然性はない。ただ、古い技術がそのまま古くなるだけのことだ)
― Steve Jobs

グローバルな人材とネットワーク構築力に乏しい日本企業

 Googleが新しいインタラクティブなゲームのサービスを開始するというアナウンスは、任天堂ソニーといった、ゲーム機器を販売している企業に大きな衝撃を与えました。
 今、世の中は、パソコンあるいは手に取って移動できるiPhoneのような端末と、インターネットで稼働するソフトウェアがあれば、ほとんど全ての情報や学習、そして娯楽が楽しめるようになってきています。これによって失われ、時代遅れになる機器やサービスが、今後10年の間にどんどん増えてくるのではないかといわれています。
 
 この現象を日本の将来に当てはめたとき、「ものづくり」という言葉に依存しすぎてきた日本人のおごりが、日本の凋落の原因となることを危惧する人も多いはずです。
 以前、日本の自動車業界を見舞うことになりそうなリスクについて触れたことがありました。そこでも解説したように、日本の多くの企業はいまだに組織という縦社会のピラミッドを大切にしすぎて、横のネットワークをグローバルに広げることに長けていないのです。もっといえば、国際的な人材を育成するノウハウに劣っているといえましょう。
 そこで今回は、そうしたノウハウを育成するために、海外のビジネスの現場ではどのような行動が求められているかをまとめてみたいと思います。

個人の「ひらめき」から始まるネットワークと戦略の進化

 全てのビジネスはそれが大きな組織であろうと、個人企業であろうと、「ひらめき」から始まります。要は、この「ひらめき」を組織がつぶすことなく促進し、さらにそこから新たな機能のネットワークを構築することが必要なのです。
 
 欧米流の発想では「ひらめき」に続くプロセスは、大まかにいえば以下のようになります。
 
ひらめき(Inspiration
→プラン二ング(Planning
→ビジョンの創造(Vision
→イニシアチブ(Initiative
→ネットワーキング(Networking
→説得と議論(Presentation and Brainstorm
→チームワークの創生(Creating teams)
→目標設定(Goal setting)
→異なる意見や発想(Counter opinions and ideas)
→顧客のニーズの査定(Customer needs assessment
→試行錯誤(Trial and Error)
→調整(Adjustment
→最終目標(Final Goal setting)
→完成(Completion)
→イノベーション(Innovation
→新たなひらめき(New Inspiration)
→さらなるネットワーキング(New networking)
→成長(Business development)
 
 一見すると日本も同様に思えるかもしれませんが、このプロセスの中に散りばめられた発想法を見てゆくと、そこにいかに異なるビジネス文化が潜んでいるかがわかってきます。
 そして、物事は最初の「ひらめき」から始まる一連の事業で求められる完成では終わりません。完成のあと、常に完成品の刷新が求められます。このとき、再び新たな「ひらめき」によって開発がはじまるのです。
 
 グループ志向で、組織の構造を重んずる日本と異なり、海外ではより個人のイニシアチブが評価されます。そして、個人が組織の縦ではなく、横のネットワーク、時には組織を超えたネットワークを通じて戦略を進化させてゆくことが求められます。
 組織が「ひらめき」を促し、個人がいかにそれをプレゼンし、チームワークを創生し、チームの中でブレンストーミングを重ねながら「ひらめき」を具体的な計画に発展させてゆくかが大切です。
 
 日本の組織に欠けているのは、Individual Initiative(個人のイニシアチブ)を奨励し、育てることです。日本ではとかく「出る杭は打たれる」といわれますが、グローバルな競争に晒されて生き残るためには、まず、この「ひらめき」をいかに育ててゆくかという価値観が大切なのです。
 日本の社会では、自らの発想や意見を直截に発言することを避ける風習があります。しかし、世界中の人が寄り添う環境では、遠慮することなく自らの気持ちを述べ、提案する行動が必要です。その時には assertive、つまり堂々と自信をもった対応をしなければなりません。上下関係や横の関係を気にかけて引っ込み思案になってはいけないのです。
 

グローバル競争が激化する今、日本のビジネスに求められること

 そして、Inspiration「ひらめき」を組織としての目標というVision(ビジョン)に高め、そこで生まれるリスクを検証するために立ち止まるのではなく、リスクを冒しながら、失敗から学び、常に前に進む迅速さとしたたかさが求められます。そのためには、失敗したら責任を取らなければならない、という発想自体を変えなければなりません。
 現在のリーダーに求められるのは、この個人の「ひらめき」をみんなが共有し、その「ひらめき」の向こうにある大きな「貢献」、そして「あるべき姿」をビジョンとして皆が心の中に抱けるよう、情報を共有してゆくファシリテーション力とネットワーク力なのです。そして失敗を責めず、責任を追及することに終始せず、むしろ失敗を奨励し、そこから学べる環境を整えることなのです。
 
 グローバルな環境では、様々な人が世界中から集まり共同作業を行います。このときに、お互いの difference(違い)を尊重し、様々な異なる発想や考え方が集合する diversity(多様性)を受け入れ、そうした環境を積極的に創造しなければネットワークは成り立ちません。常に日本ばかりに目を向け、他者を排除してはいけないのです。
 
 ありとあらゆるビジネスにおいて、世界からプレイヤーが参入し、競争はますます激しくなってきています。
 ここに挙げたグローバルでのビジネスの基本に加え、迅速にadvantage(有利な状況)を獲得し、他者より少しでも先に新しい製品やサービスを提供することが、我々に今求められています。ソニーや任天堂が受けた衝撃は人ごとではありません。日本の産業界全体が取り組まなければならない、喫緊の課題を突きつけられているのです。
 

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『日本人がグローバルビジネスで成功するためのヒント Tips for How to Succeed in a Global Business Context』ジョン・K・ギレスピー (著)、小野寺粛 (訳)日本人がグローバルビジネスで成功するためのヒント Tips for How to Succeed in a Global Business Context
ジョン・K・ギレスピー (著)、小野寺粛 (訳)
グローバルビジネスのスキルを学びながら、英語学習にもなる。ビジネスパーソンのための対訳読み物。
20年間で、海外の日系企業の5000人を超えるビジネスパーソンと面談を行ってきた著者が教える、「日本人のためのグローバルビジネスで成功するためのヒント」。日本人以外の人々とのコミュニケーションやビジネスに対する見方を説明しながら、日本人の問題点を指摘し、その解決方法を伝授。グローバルに成功したいビジネスパーソンのみなさんに、英語力よりももっとはるかに大事なことをお教えします。

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