カテゴリー別アーカイブ: ニュースの英語と文化背景・時事解説

山久瀬洋二の「ニュースの英語と文化背景・時事解説」
話題の海外ニュースから旬な英語表現をピックアップ。グローバルな視点で文化背景、歴史、時事を解説。過去の記事は「海外ニュースの英語と文化背景・時事解説」目次からどうぞ。

海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

民族の独立の背景にある国際政治の課題とは

【海外ニュース】

Catalonia’s Leader, Facing Deadline, Won’t Say if Region Declared Independence
(New York Times より)

カタルーニャのリーダーは、スペインからの回答期限に直面し、この地域の独立の名言を避けるかも

【ニュース解説】

スペインのカタルーニャでの分離独立運動が話題になっています。
1479年にスペインによって統一されて以来、この地域では何度も民族運動がおき、20世紀になってからも弾圧の歴史を経験しています。特に、スペインのフランコ政権下では、カタルーニャ語や文化そのものへの厳しい統制にさらされたこともあったのです。

同じスペインでは、北部のバスク地方でも長年同様の運動がおきています。
スペインを離れ、さらにヨーロッパをみれば、そこにはイギリスでのスコットランドや北アイルランド、ベルギーやオランダにまたがるフランドル地方など、現在主権をもっている国家と異なる歴史や文化背景をもつ地域がいくつもあります。さらに海を渡れば、カナダのケベック州などでもフランス系の人々による分離独立運動がありました。
もともと民族の興亡が続き、時には大国が小国を飲み込み、人々が分断されてきた歴史のあるヨーロッパをはじめとする大陸では、こうした独立運動があっても別に不思議ではありません。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

北朝鮮との外交問題をビジネス的に考えれば

【海外ニュース】

President Trump undercut his own secretary of state on Sunday, calling his effort to open lines of communication with North Korea a waste of time, and seeming to rule out a diplomatic resolution to the nuclear-edged confrontation with Pyongyang.
(New York Timesより)

トランプ大統領は国務長官の北朝鮮との交渉は時間の無駄だと日曜日に断じ、平壌との核の問題での外交的解決を一蹴する可能性も。

【ニュース解説】

国際関係をひもどくとき、忘れてはならない単語があります。それは benefit です。利益とか恩恵という意味のこの単語。この意味するところがわかれば、国際問題のパズルが面白いようにわかり、かつ未来の予測ができるのです。もちろん予測が 100% 正確かというと、その保証はありません。しかし、かなりの確率で、世界の動向を読み取ることは可能なのです。

例えば北朝鮮問題です。核の力をちらつかせ、かつミサイルを発射して日本やアメリカを威嚇する北朝鮮ですが、誰もがいうのはトランプ大統領の判断が読めないことです。このヘッドラインからも、感情的な発言を繰り返すトランプ大統領への戸惑いが見えてきます。しかし、このときにトランプ大統領が北朝鮮を攻撃する benefit は何かと考えてみるのです。

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アメリカ人の意識を色濃く受け継ぐデモインというところ

【メイフラワー誓約より】

For our better ordering, and preservation and furtherance of the ends aforesaid; and by virtue hereof to enact, constitute, and frame, such just and equal laws, ordinances, acts, constitutions, and offices, from time to time, as shall be thought most meet and convenient for the general good of the colony; unto which we promise all due submission and obedience.

我々がより良い秩序を維持し、その目的を達成するために団結し、その時々の必要に応じ、植民地全体の利益のために最も適切と判断される、公正で平等な法律、命令、法令を発し、憲法を制定し、政府を組織する。これらの誓約に我々全ては同意し従うことを約束する。

【解 説】

一般的にアメリカと聞いて多くの人がイメージする場所といえば、ニューヨーク、グランドキャニオン、ハリウッドなどかもしれません。
もちろん、これらの地域は広大なアメリカの中のごく一部にすぎません。もっと言えば、外国人が頻繁に訪れる地域は、アメリカの中でも極めて限られているのです。

以前ボストン、ニューヨーク、ニューオリンズ、サンフランシスコ、あとは皆クリーブランドという言葉を聞いたことがあります。これは、最初にピックアップされた4つの都市以外はクリーブランドのように、中心街に高層ビルがあり、あとはショッピングモールのある郊外が広がっているという意味で、逆をいえば、アメリカで個性のある都市はこの4つだけだということを皮肉った表現となります。
ハリウッドのあるロサンゼルスも、街の構造はといえば、確かにクリーブランドに似ています。

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未来志向でリスクをとれる企業経営とは

【海外ニュース】

NTSB staff to say Tesla Autopilot should share blame for 2016 crash.
(Bloomberg Technology より)

国家安全運輸委員会はテスラの自動運転システムは 2016年におきた衝突事故についての批判を共有するべきだと発表

【ニュース解説】

80年代のことです。日本はバブルに浮かれていました。
その頃、アメリカに住んでいましたが、アメリカでも日本経済の成功の秘訣はなんだろうという特集番組が組まれたりしたものでした。反面、例えばロックフェラーセンターを三菱地所が買収したことなどから、アメリカが日本に買われてしまうという感情的な反発もありました。

その頃、日本企業の製作したファクシミリが、最先端の情報伝達機器として注目されていました。同時にワード・プロセッサー (ワープロ) が隆盛を極め、日本の技術の象徴とされました。
そんな 80年代の終わり頃、Rust to Riches という書籍が話題になりました。著者のジョン・ラトリッジは当時疲弊していたアメリカ経済について、どのような経済も投資をしたインフラが古くなったときに錆び付いてしまうと解説し、アメリカはインフラが古くなり、新陳代謝のための低迷期にはいっているのだと説きました。

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イギリスとスコットランドをめぐる1000年の「縁」

The British monarchy is the direct successor to those of England, Scotland and Ireland. There have been 12 monarchs of the Kingdom of Great Britain and the United Kingdom since the merger of the Kingdom of England and the Kingdom of Scotland on 1 May 1707.
(ウィキペディアより)

イギリス王室はイギリス、スコットランド、そしてアイルランドの直接の継承者で、1707年5月1日にイングランドとスコットランドの王室が合併して以来、12代の君主が君臨している

イギリスという国を「イギリス」と呼ぶ日本人。その語源はというと、戦国時代から江戸時代にかけてのポルトガル語やオランダ語での「イングランド」を意味する語彙が変化したものだといわれています。元々日本人はイギリスのことをエゲレスと呼んでいたことはよく知られています。しかも、当時の日本人には、イギリス本国の内政事情は伝わっていませんでした。
イギリスはイングランドとスコットランド、さらにはウエールズやアイルランド (ここはイギリスの植民地でした) に分かれていて、それぞれ別の国だったという状況は詳細には伝わっていなかったのです。
これがイギリスを一つの国家として意識した日本人のイギリス観の原点となりました。

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