カテゴリー別アーカイブ: Yamakuse Yoji’s World View

異文化のプリズムが日本人の世論に与える影響とは

“Culture determines what is acceptable or unacceptable, important or unimportant, right or wrong, workable or unworkable.”

(文化は人々が受け入れられる事柄とそうでない事柄、重要と思うこととそうとは思わないこと、正しいかどうか、機能するかどうかといった事柄への枠組みを規定する)
― Web Finance on-line business dictionary より

報道に反射する異文化のプリズム

 よく異文化のプリズムについて考えます。
 世界には様々な文化がありますが、例えばアメリカに一歩入れば、好むと好まざるとにかかわらず、アメリカの文化に適応しなければビジネスでも生活でもうまくいきません。それはアメリカに限らず、世界中どこに行っても同様です。
 よく日本に来た海外の人が日本のことを異常に賞賛したり、逆に不適応をおこして批判的になったりすることがあります。これも多くはそうした文化の違いに起因した錯誤によるものです。
 マスコミの報道でも同様です。特に、多くのマスコミの経営は視聴率や広告収入に左右されます。マスコミがその国の中で営業を続けるために、その国の文化に即した価値観や発想法の影響を受けるのは当然です。
 したがって、日本のマスコミは、日本人の常識と、日本人に心地よい報道に傾斜する傾向があるのです。当然それは世界のどの地域でも起こり得ることなのですが。
 

監視カメラの設置に割れる意見

 先日、ある会合で面白い実験をしてみました。
 それは、海外経験の豊富な人と、そうでない人が集まった会合でした。また、そこには日本在住の欧米の人も加わっていました。日本に住む欧米の人にとって日本は海外ですので、彼らも海外経験が豊富なカテゴリーに含まれるといっても差し支えありません。
 実験は参加者に共通のテーマを渡し、それに賛成か反対かを問いかけました。
 テーマは、「凶悪犯罪を抑制するために街のあちこちに監視カメラを置くことについてどう思うか」というものです。すると、実に興味深い反応がありました。
 海外経験の少ない日本人10名は、全員が監視カメラの設置を支持し、そのことによって犯罪が抑制されるのは良いことだと答えたのです。
 それに対して、海外経験のある人の9割は、欧米の人も含めて、カメラの設置に対して慎重であるべきだという答えが戻ってきたのです。理由は、個人が常に監視されていることへの恐怖と、そうした監視体制を権力者側が独占することへの懸念でした。
 
 ここ数年、凶悪犯罪で被疑者が検挙されて報道されるとき、監視カメラの映像が頻繁に公開されていることに気づいた人は多いはずです。日本人の支持者に問いかけると、そうした報道の影響が監視カメラ設置支持の判断に繋がっていることもわかってきました。
 ここで、カルロス・ゴーン氏が逮捕されて以来、被疑者が長時間拘束される日本の司法制度のあり方についても、海外から多くの疑問が投げかけられたことを思い出したいのです。監視カメラを証拠に逮捕された被疑者が拘束され、一方的に証拠を突きつけられ、長時間にわたって尋問される状況は、多くの民主主義国から見れば異常なのです。
 
 会合には、ドイツから日本にやってきて8年になる人がいました。彼はドイツで司法関係の仕事に従事していたため、私は敢えて監視カメラを設置することへの懸念をどうして抱いているのか問いかけました。彼はドイツにも監視カメラは様々な場所に設置されている事実を伝えた上で、それでも個人をそのように監視することが人権の侵害にならないかどうか世論が割れているとコメントします。そして、海外経験の少ない日本人の全てが同じ反応をしたことに驚きながらも、日本でのそうした反応も予想できたというのです。
 そのコメントを受けて、日本在住のアメリカ人は、日本の教育とマスコミのあり方について指摘します。日本人が文化的に多様な人々を受け入れることに慣れていないことから、人権への意識が希薄なだけでなく、人と異なる意見を持つことへの躊躇が社会全体にあることを彼は強調したのです。
 

「正解」を求めて錯誤する日本社会と教育

 日本では、常に何が正解かを求めることが教育だという意識が濃厚です。そして正解は権威者が決定します。ですから、何かのテーマについて自分はこう思うと考えたとき、日本では自分の回答が正解かどうか常に心配し、他の人の意見と同じであれば、あるいは権威ある人が何かを言えば、それが正解であるかのように錯覚する傾向がないでしょうか。
 さらに、自分とは異なる意見を持つ人がいた場合、その人はどう反論するだろうという想定を持って物事を考える習慣も希薄です。ですから、マスコミでの報道でも賛否両論を視聴者の前で激しく戦わせるニュース報道は稀にしかなく、ほとんどがキャスターのコメントか識者の解説に終始しています。つまり物事には多面的な判断基準があるということを意識し、思考する習慣がないのです。
 
 歴史や環境など、様々な背景が人の判断基準や価値観、さらにはコミュニケーションスタイルを作ってゆきます。そうした事柄の集大成がその国や地域の文化となるのです。そして、そうした文化が作り出すものの中には、教育制度や教育の方法、報道姿勢、政治への関わり方など様々なものが含まれます。外からの情報は、これらのフィルターを通ってあたかもプリズムを通したように変化しながらそれぞれの文化の中に吸収され、人々に伝えられるのです。この文化のプリズムを通した情報によって、多くの人は物事を判断し、世論が構成されることになります。このプロセスを客観的に外から見ることができない限り、自らの国の文化の脆弱な側面を認知し、自らの文化の枠の外に自分を置いて思考することができないのです。
 
 本来インターネットなどが発達すると、こうした文化のプリズムを超えた様々な発想が流通し、人々がより世界的な視野を持つようになるはずでした。しかし実際には、ネットは自らの価値観や趣向に合う情報を収集するためだけに使用される傾向が強く、それによって、より文化のプリズムの洗礼を受け、そのこと自体を疑問視できない人々が増えているようです。これは皮肉なことです。
 

 何かを考えたとき、自らの考えと異なる考えを持った人はどう反論してくるだろうかと想定する教育を促進するため、アメリカなどではディベートが教育現場に頻繁に導入されます。賛成側と反対側に分かれて、生徒が意見を戦わせることで、異なる価値観への理解を促進するのがディベートの目的の一つなのです。
 日本の教育が、教師や教育機関を「上」と想定し、生徒や学生への一方通行の授業方式に終始せず、双方向の議論を可能にする教育へと進化する必要性が求められているのです。
 

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『英語の格言に学ぶグローバルビジネス』山久瀬洋二、アンドリュー・ロビンス (共著)英語の格言に学ぶグローバルビジネス』山久瀬洋二、アンドリュー・ロビンス (共著)
名言・格言から学ぶ、「ひらめき」を成功に導くグローバルビジネスの「発想法」
欧米の人がビジネスをする上で好む名言や格言。これを理解すれば、彼らのビジネスシーンでの物事の考え方、仕事のプロセスの背景が見えてきます。
「グループ志向で組織の構造を重んじる日本、個人のイニシアチブが評価される欧米」など、日本人がしばしば困惑してしまう“ 異なるビジネス文化” や、“ビジネスの進め方と発想法の違い”などについて、彼らが好む名言・格言から理解を深めることができる1冊です。

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「絶滅危惧価値」を抱き戸惑う日本人の未来とは

“Japan-isolated itself from the rest of the planet for some two hundred and fifty years, has had a change to incubate its value system and develop enduring and idiosyncratic forms. When modernism finally came, ‘Japaneseness’ was not swept away but became absorbed into modern life, making Japan’s modern life at once strange and familiar to us.”

(日本は250年にわたって世界から孤立し、自らの強靭で特異な価値観を育んできた。その後日本がついに近代化の波に晒されたときでも、「日本人であること」は抹消されず、それらは社会の中に吸収され、我々にとっては奇妙でありながらも馴染みのある日本の現代社会ができあがったのだ)
Japanesenessより(Stone Bridge Press,英文は一部省略)

日本の近代化をもたらした分業とTacit Knowledge

 日本人の価値観が大きく変化しようとしています。
 そんなことを考えるために、まずは江戸時代に時計の針を戻しましょう。
 江戸時代はある意味で、日本の近代化の礎となった時代でした。
 多くの人は、江戸時代の日本は鎖国をした閉鎖的な封建社会であったと思っています。それは一面では事実です。確かに、江戸時代には厳しい身分制度があり、人々は移動の自由も職業選択の自由も厳しく制限されていました。代々家業を継ぐことは当たり前で、例外はあったものの、武士の子は武士に、町人の子は町人に、ということが当然とされた時代でもありました。
 しかし、このことが日本の近代化に思わぬ恩恵をもたらしたことに気付いている人はあまり多くありません。
 実は、身分によって職業が分けられ、その職業も代々親から子に引き継がれていた江戸時代であればこそ、極めて高度な手工業の技術が世代から世代へと引き継がれることが可能だったのです。
 
 しかも、江戸時代には職業はすでに細分化され、社会は分業によって成り立っていました。
 楊枝や馬の蹄鉄、さらには桶から茶碗まで、一つ一つの製品が代々受け継がれた専門職人によって製造され、流通していたのです。こうした専業化による技術は、文章化や数値化されることなく世代から世代へと引き継がれ、時とともに進化も遂げます。こうした「文章化されずに受け継がれる繊細な知識」のことを Tacit Knowledge と言います。
 海外との交流が極度に制限されていたとはいえ、江戸などの大都会はそれなりの競争社会でした。より洗練された商品が売買され、その要求に沿って職人も腕を磨いたのです。流行もあれば、厳しい淘汰もありました。こうした環境にもまれ、Tacit Knowledge はまさに匠の領域へと成長していったのでした。
 ある裕福な商家が、両替商を営み小判を扱うために、親は子供に純金を混ぜたものしか触らせなかったという逸話が残っています。子供が成長したとき、小判を触っただけでそれが本物かどうかを見分けることができるようにするためでした。親から子供に伝えられたこの感触こそ、数値化できない Tacit Knowledge だったのです。
 
 こうして受け継がれた日本人の器用さ、洗練を求める感覚が、明治以降日本が近代化の道を歩み始めたときに、その発展に極めて大きな役割を果たしたのです。
 「加減」という言葉があります。この言葉はお茶の熱さを示すときなどに使われます。お茶は熱すぎても、ぬるすぎても風味を損なうため、そこそこの加減が必要なわけです。この加減を極限まで突き詰めたとき、例えば自動車のエンジンに使われるピストンの「あそび」や、楽器での微妙な空気の抜け具合などといった最適な加減を極めることができるわけです。日本の近代から現代までの産業を牽引してきた無数の下請け工場では、こうした究極の加減を極めた職人が新幹線や自動車の部品を作ったり、精密機械の組み立てを行ったりしてきたのでした。
 そして、このようにして伝承され、阿吽の呼吸で制作された商品は、世界に認められ、戦後の日本経済の発展をさらに支えることになったわけです。
 

始まった暗黙知の崩壊とアイデンティティー・クライシス

 そんな Tacit Knowledge の崩壊が始まったのは、バブル経済とその破綻の時代でした。バブル経済の波に乗って拝金主義がはびこることで、多くの職人の子孫は家業を横においたまま、不動産に投資しました。そしてバブルがはじけたあと、金融機関の資金回収によって、町工場の多くは閉鎖に追い込まれ、その空き地は駐車場やコンビニへと変化しました。
 そしてわずかに生き残った Tacit Knowledge も、デジタル化によってグローバルに通用する数値化を余儀なくされ、次第に滅んでゆこうとしています。AI技術の進歩により、そうした繊細な技術自体も不要になろうとしています。日本人が何世代にもわたって培ってきた暗黙の知識が絶滅し始めているのです。
 
 このことは、思わぬ余波となって社会全体を見舞うことになります。江戸時代以来、日本人の間で育まれてきたコミュニケーション・スタイルそのものが消滅し始めているのです。Tacit Knowledge に慣れてきた日本人は、常に阿吽の呼吸でお互いの意図を察し、時には物事の加減を考え、状況に応じて融通をきかせて臨機応変に対処してきました。そうした日本社会ならではの柔軟性が、バブル経済とその後のデジタル化、グローバル化の波によって失われ、全てが数値や法律の条文に従ったマニュアルで稼働する機械的な社会へと変化を始めたのです。
 
 文化には強い部分と脆弱な部分とが、コインの表と裏のように同居しています。
 例えば、融通のきく社会は人情味に溢れ、人と人との紐帯を育成します。反面、融通という価値の裏面を見るならば、知人を優遇し、他者を排斥する内と外との枠ができ、時には癒着や賄賂の温床をつくってしまいます。ところが、裏面が悪であるとして、それを削除し尽くしたとき、実は表にあった良い部分をも削り取ってしまうことがあるのです。
 グローバル化という今では陳腐にすらなったコンセプトによって、世界と共通のルールを適応し、世界に開かれた社会を求めたとき、日本にあった伝統的な価値観や感性をも同時に削り取ることで、日本人は自らをアイデンティティー・クライシスに追い込んでいるのかもしれません。
 
 日本が世界に開かれてゆくこと。世界と交流してゆくこと。さらには差別や偏見がない、違う価値を受け入れることのできる柔軟で多様な国となることは素晴らしいことです。ただ、そのことと、日本に長年培われてきた価値観の強い部分とが相殺されてしまわないようにするには、相当な工夫が必要なのです。
 

世界各地の「絶滅危惧価値」を守るために

 私は、失われつつあるこうした価値観のことを、「絶滅危惧価値 / Endangered value」と呼んでいます。価値の裏側の負の遺産を削除しつつ、表側の次世代に残したい部分を育成しない限り、日本が日本である所以がなくなるかもしれません。
 おそらくこうした世界的な標準化の波に晒され、自らの個性を失いつつある地域は日本に限ったことではないはずです。そんな自らのアイデンティティ喪失への危機感が、今世界的に問題となっている人々の右傾化への原動力となっているのかもしれません。
 異文化での異なる価値観を尊重する行為の中で、こうした世界各地の価値観に対する教育や啓蒙が、地球規模で共有されることも必要なのかもしれません。
 

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『日本人のこころ Heart & Soul of the Japanese』山久瀬洋二 (著)、マイケル・クーニー (訳)日本人のこころ
Heart & Soul of the Japanese
』山久瀬洋二 (著)、マイケル・クーニー (訳)

いにしえから現代にまで受け継がれてきた日本人の感性を表す100のキーワードを、簡潔明瞭な英語で説明!日英対訳バイリンガル書。
「恩」や「義理」といった日本人の心の原点ともいえる価値は、一体どこからきて、今の日本ではどのように捉えられているのか。本書はその壮大なテーマに挑み、日本を代表する「日本人の心」を100選び、和欧対訳で簡潔に説明する。キーワードの例:「和」「中庸」「根回し」「型」「武士道」「節度」「情」「忠」「禊と穢」「もののあわれ」「因果」「仁義」「徳」「わび」「さび」「幽玄」など。

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見えない組織から生まれたアメリカの新たなうねり

“The more you can make your organization invisible, the more influence it will have.”

「あなたの組織が見えなくなれば、より多くの影響を与えることができるようになる」
― Douglas Coeの講演より

Invisible organizationが思い描くキリスト教の再組成

 Invisible organization「目に見えない組織」という言葉があります。これは通常ビジネスなどで、バーチャルな連携によって発生する組織を意味する言葉です。
 しかし、この言葉は元々宗教活動などにおいても使用されていました。
 例えば、キリストが最初に伝道を始め、その後彼の弟子たちが教えを広め始めたとき、それは Invisible organization でした。しかし、その組織は確実に拡大し、やがてローマ帝国末期に国家の宗教として崇拝されるに至りました。
 
 この Invisible organization の運営者であることを自認した人物が主催し、大統領をはじめとするアメリカの政財界の大物が、任期中に必ず一度は参加するイベントがあるのです。それは毎年2月の最初の木曜日に、朝食からランチ、さらにはディナーに至るまで開催される ”National Prayer Breakfast” です。2017年の冬に他界したDouglas Coe という人物が運営する、The Fellowship というキリスト教系の組織がそれを主催します。Douglas Coe は、オレゴン州出身のプロテスタント系の伝道師で、終生自らのことを Invisible organization の主催者だと語っていました。実際、彼の主催する組織の活動に参加した政治家は民主党共和党を問わず、直近ではヒラリー・クリントンジョージ・W・ブッシュなど、アメリカのほとんど全ての指導者を網羅しています。
 そして、Douglas Coe はネットワークを通じて、世界中の政治家とアメリカの指導者とのミーティングをアレンジし、イスラエルやアフリカ諸国、ソビエト崩壊後のロシアなど、様々な地域とアメリカとの紐帯に貢献したのです。これは、日本ではあまり知られていない事実でしょう。彼はその組織を通じて一つの目論見を果たそうとしていたように思えます。それは、キリスト教の再組成という遠大なビジョンです。
 

アメリカで静かに進行するキリスト教の融和

 アメリカ人の多くはキリスト教を信仰しています。アメリカ人の最大多数が所属する様々なプロテスタント系の宗教組織に加え、アイルランドやイタリア系のアメリカ人を中心にローマ・カトリックも深く社会に浸透しています。
 今、そんなキリスト教を一つにまとめようとする動きが静かに進行しているのです。その輪は、キリスト教の母体として旧約聖書を共有するユダヤ教にまで及ぼうとしています。元々アメリカの友好国ではあるものの、トランプ政権はさらにイスラエルとの同盟関係を強化し、中東諸国に衝撃を与えています。さらに、アメリカとロシアも決して以前のように激しく敵対するライバルではなくなりました。ロシアがソ連の主軸国であったころ、アメリカは共産主義への脅威から、ソ連と激しく対立していたことは周知の事実です。しかしソ連が崩壊し、ロシアに伝統的に根付いていたロシア正教の活動が活発になると、アメリカとロシアは猜疑心を持ちながらも静かな接近を始めたのです。
 
 西暦395年にローマ帝国の国教となって以来、ローマ帝国に保護され、国家の精神的支柱となったキリスト教を、人々はローマ・カトリックと呼びました。そしてローマ・カトリックは、自らの教義に相容れないキリスト教徒を異端として追放し、以来長年にわたってそうした人々に厳しい迫害を加えてきました。そして、キリスト教ではないにしろ、キリスト教の母体ともいえるユダヤ教に対しても同様の迫害を加え、その伝統は近現代にまで至りました。帝政ロシアナチス・ドイツでのユダヤ人への迫害は、20世紀の記憶として人々の心に焼き付いています。さらにローマ・カトリックは、東ローマ帝国が主催するキリスト教に対しても、教義の違いをもって絶縁し、それがロシアやギリシャなどで信仰される正教会と呼ばれるキリスト教の母体となりました。
 16世紀以降、そんなカトリックの権威に対抗して広がったプロテスタント系の人々の活動も、神聖ローマ帝国とつながるカトリック系の国王や領主などからの厳しい弾劾を受け、プロテスタント系の人々の多くが新大陸に避難し、アメリカ合衆国成立の原動力となりました。このように、キリスト教の様々な分派は分裂と対立を繰り返し、お互いを強くけん制しながら、現代に至ったのです。
 
 過去に一度、そんなキリスト教世界がまとまろうとする動きがありました。それは、イスラム教国であったセルジューク朝トルコが東ローマ帝国を圧迫したときのことでした。時の東ローマ帝国皇帝が、絶縁状態にあったローマ・カトリックの教皇に救援を求めたのです。それが世に名高い十字軍が始まった原因となりました。一瞬とはいえ、キリスト教が対立から融合に向かった瞬間です。1096年のことでした。
 それから1000年近くを経た現在、キリスト教の多様な組織が共存するアメリカ社会の中で、それまでの対立から融和へと向かう静かな活動が再び始まったのです。それは、共産主義の脅威に起因し、現在ではイスラム教との対立軸の中で政治とも融合する一つのうねりとなりつつあります。それがトランプ政権でのイランや中国との対立、さらにはイスラエルとの同盟強化の向こうにあるパレスチナの人々やアラブ社会との対立などを生み出しました。こうした静かな動きを支える組織こそが、Douglas Coe などに代表される Invisible organization なのです。
 

(左から) ポパイ,スーパーマン,トムとジェリー

日常の小さな営みから巨大なうねりへ

 人は、生まれながらにしてその地域の文化の影響を受けて育ちます。
 例えば、アメリカの漫画を思い出してください。スーパーマンでも、トムとジェリーでも、ポパイでも、そこには常に正義のヒーローと悪人とが存在し、正義が悪をやっつけるというテーマが底流しています。子供の頃から、人々は無意識に、この二元論を植え付けられてしまうのです。その背景には宗教での正邪の発想があります。この正義と悪との二元論は歴史を通して人々の心に刻まれ、人々を敵と味方とに引き裂きました。古くはキリスト教内での異端への弾劾に始まり、近年では第二次世界大戦において、ドイツ人が自らを正義として、ユダヤ人は悪人であるというレッテルを貼って虐殺しました。今、アメリカ社会の中には、共産主義を経て、イスラム教への脅威が新たな善と悪という対立項を人々の心の中に植え付けています。この善と悪という二元論が浸透する過程を見れば、最初の段階ではどこにもそれを指導するリーダーは存在しません。それは町の教会での日曜日の礼拝や、学校での道徳の授業、あるいは家庭教育などといったごく日常の中で培われてゆく価値なのです。そして、それがある程度社会の価値として認知されたとき、そこに指導者が現れ、一気に社会や国家を統率するようになるのです。Invisible Organization とは、そうした日常の小さな営みを巨大なうねりに変化させる見えない触媒の役割を担っていることになります。
 キリスト教が過去の対立から融合へと向かうのが良いことか、それとも新たな二元論へ向けて人々を駆り立てる危険な行為かは、我々一人一人がしっかりと判断しなければならないことでしょう。
 
 ただ、現在問題となっている政治の世界でのポピュリズムが、この日常の価値を巨大なうねりへと変化させる強力な触媒となっていることは事実です。日本と韓国との対立、中国とアメリカとの対立、イスラム社会でのシーア派スンニ派との対立、さらに宗教に起因するインドとパキスタンとの対立など、二元論が社会に浸透するとき、常にそこには Invisible Organization という触媒があり、それによりガスが充満したときの起爆剤の役割を担おうと、チャンスを狙う指導者がいることを我々は注視しなければならないのです。
 

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『アメリカ史 / A Short History of America』西海コエン (著)アメリカ史 / A Short History of America』西海コエン (著)
アメリカの歴史を読めば、アメリカのことがわかります。そして、アメリカの文化や価値観、そして彼らが大切にしている思いがわかります。英語を勉強して、アメリカ人と会話をするとき、彼らが何を考え、何をどのように判断して語りかけてくるのか、その背景がわかります。本書は、たんに歴史の事実を知るのではなく、今を生きるアメリカ人を知り、そして交流するためにぜひ目を通していただきたい一冊です。

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「キリスト教を卒業したアメリカ人」が創る未来とは

広大な大地の残るアメリカ

“The road to success is not easy to navigate, but with hard work, drive, and passion, it’s possible to achieve the American dream.”

「成功への航路は困難がつきもの。しかし、賢明に働き、仕事をマネージし、情熱を持っていれば、アメリカンドリームを達成することはできるはずだ」
― Tommy Hilfiger(アメリカの起業家)の言葉より

 アメリカに出張しています。
 こちらに来て飛行機の窓から下を見ると、いつも広大な大地に走る高速道路や貯水池、そしてその脇にブドウの房のように人工的に広がる住宅地などが目に留まります。
 特に、西海岸は開拓されて200年も経っていません。すでに3億2千万人を超える人口を有するアメリカは、これからも移民政策が大幅に変わらない限り、先進国の中でも人口が増え続け、その人口比に比例して経済も堅調であると言われています。

移民の力で成長を続ける経済大国・アメリカ

 確かにアメリカには広大な大地が残っています。その多くは地価もまだ安く、開拓されて以来さほど人口も増えていません。アメリカ市民の出生率は1.8人ということなので、それだけだと人口は減少傾向にあるはずで、こうした地方都市が全米に拡散しているのも現状です。そんなアメリカの人口増加を牽引しているのが、言うまでもなく移民パワーなのです。移民によって、アメリカの人口は驚異的に成長したといっても過言ではありません。
 なんとアメリカの人口が2億人を超えたのは、1967~68年にかけてのことです。そして、2000年の段階では2億8000万人強だったのです。この19年ですら4000万人以上の人口増加があったことになるわけです。ということは、この多くが新生児ではなく移民だったということになります。
 
 広大な土地が残り、人口が増え続けているとなれば、当然産業が育成され消費も伸び続けます。貧富の差や地域での経済格差が広がっているとはいうものの、IMF(国際通貨基金)の統計によれば、GDP(国内総生産)を総人口で割った一人当たりのGDPではアメリカは世界10位を維持していて、世界28位の日本とも大きく水をあけています。これを世界で最も人口の多い中国と比較してみると、さらに面白いことがわかります。
 中国は世界2位の経済大国であると言われますが、一人当たりのGDPは日本の半分以下で、世界でも73位に甘んじています。まだまだ豊かではないのです。
 しかも、中国の場合、最近まで実施してきた一人っ子政策の影響に加え、富裕層が増えたことで出生率が極度に低下し、これから貧しい人々が膨大な老齢者を支えなければならなくなります。これは、日本や韓国に対しても指摘されている未来の課題以上に重大な問題かもしれません。
 さらにインドのように、経済成長がまだまだゆっくりしているにも関わらず、人口が極度に増え続けている国も多くあります。
 それに反して、人口増加が低い国は、日本のように移民への門戸が狭く、膨大な人口増加に苦しむ第三世界の人々への受け入れ口にはなりにくいのです。
 
 トランプ政権によって、大きく移民政策にメスが入っているとはいえ、アメリカはそうした苦しむ国々からの移民の受け入れ口であることには変わりないのです。
 こうした根拠から、アメリカはいまだに極めて高い将来性を維持した国家であるということがわかってきます。
 飛行機の窓の下に広がる光景は、人が自然を変え、征服してゆくことを国是としてきたアメリカの姿に他なりません。であればこそ、経済成長が続くアメリカの課題は、むしろ自然との共存をいかに進め、移民による多様な社会をいかに前向きに育ててゆくかという課題に集約されるのです。
 

開拓されたアメリカ。この地域には中米やカリブからの移民が多く住んでいる

多様性の広がりと共に志向を変えてゆくアメリカ人

 ここで、「キリスト教を卒業したアメリカ人」というテーマに触れましょう。
 
 歴史的に見ると、アメリカはヨーロッパでの迫害を逃れて海を渡ってきたプロテスタント系の人々が中心となって開拓した国家です。
 そこに、カトリック系や様々なキリスト教の分派に属する人々、さらにはユダヤ系の人々がヨーロッパから流れてきました。
 彼らは自らの宗教にこだわり、そのライフスタイルをしっかりと守っていた人々でした。
 しかし、科学が進歩し、産業が発達すると状況が一変します。特に60年代から全ての人種や移民に平等の政治的権利を付与する公民権法が施行されて以来、宗教観による市民同士の軋轢がどんどん減少してきました。この世代以降、教会に通わない「元キリスト教徒」や「元ユダヤ教徒」とも言える人々が増えてきたのです。
 私の友人も、親は熱心なプロテスタントだったものの、自分は一切宗教とは関わりがないという人がほとんどです。彼らこそが、シリコンバレーなど都市部の先端産業を担う人々の中核なのです。多様性が拡大すればするほど、この「キリスト教を卒業したアメリカ人」が増えてきます。
 
 トランプ政権の支持層は、こうした新しい社会に対して危機感を抱く伝統的保守層に属する人々であるといっても差し支えありません。彼らはいまだにアメリカ市民の中核であるといっても過言ではないのですが。
 とはいえ今後、「キリスト教を卒業したアメリカ人」がどのように増加し、世界の多様な価値観と融合してゆくのか、それとも、いわゆる伝統的保守層の揺り戻しによって社会全体が閉塞してゆくのかは、未知数です。しかし、少なくとも30年というスパンで見るならば、伝統的保守層との人口比率も大きく変化してくるはずです。すでに、いわゆる白人系の人口を非白人系の人口が上回ろうとしている事実も忘れてはなりません。
 

Credit: Only in United States

 
 では、そんなアメリカのリスクはどこにあるのでしょうか。
 それは、変化を受け入れ、それを積極的な価値観としてきたアメリカ人の行動パターンそのものにあると言えます。
 よくアメリカ人を「反省をしない未来志向病」にかかっていると批判する人がいます。
 移民や開拓者の精神に支えられたアメリカでは、状況をどんどん変化させ、新しくしてゆくことへの躊躇が、日本などに比べて実に少ないのです。
 これはアメリカの強みでもあります。しかし、その強みというコインの裏側に、彼らのアキレス腱が潜んでいることも忘れてはなりません。
 そんな世界に対して躊躇なく自らの価値観をもってチャレンジするアメリカが躓いた典型的な例が、ベトナム戦争リーマン・ショックだったのです。
 
 技術革新に余念のない新しいアメリカ世代が生み出す社会が、あまりにもAIに頼り、利便性やデータ管理に依存しすぎた場合、それは未来の人類そのもののあり方にも大きな影響を与えてしまいます。自然との共存の課題も然りです。
 人類の力で何でも可能になると思うアメリカ人のたくましい意識が裏目に出ないよう、国家レベル、さらには世界レベルで見つめてゆくことが人類全体にとって大切なことになっているほど、これからもアメリカは成長を続けるのではないでしょうか。
 

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『英文快読 アメリカ歳時記』ニーナ・ウェグナー(著)、高橋早苗(翻訳)英文快読 アメリカ歳時記』ニーナ・ウェグナー(著)、高橋早苗(翻訳)
コンパクトにまとめたやさしい英文に、語注ルビと日本語訳がついているから、ビギナーでもストレスフリーでスラスラと英文が読みこなせる!英文多読初心者におくる英文快読シリーズ。
祝祭日と年中行事から見る、アメリカの歴史と文化。アメリカで公式に認められている11の「連邦祝日」にスポットライトを当て、詳しく解説。アメリカという多彩な文化に彩られた大国の歴史と文化を、身近に感じながら学べる1冊間違いなしです。

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ワシントンでの国際会議の裏側を垣間見て

“I have just authorized a doubling of Tariffs on Steel and Aluminum with respect to Turkey as their currency, the Turkish Lira, slides rapidly downward against our very strong Dollar!”

「私はトルコからの鉄鋼、アルミニウムの輸入に対してトルコリラを基軸に関税を2倍にした。これで我々の強力なドルの前に、リラは価値が下がってゆくだろう!」
トランプ大統領のtwitter 2018年8月10日付より

人々の思惑・情報・利害が渦巻く街、ワシントン

 先月末から今月にかけて、アメリカのオンライン英語検定試験「iTEP」を主催するiTEP International社(iTEPは留学や英語でのビジネス能力試験等、様々な用途に使用される試験を運営する)の世界大会に出席しました。今年はワシントンD.C.で開催され、久しぶりのアメリカの首都への訪問となりました。
 
 会議では私を含め、世界中でこのテストを取り扱う国の会社の代表が、自らの地域での販売活動報告を行います。
 その中に、トルコのディストリビューター(Distributor=販売代理店)のサラーという経営者がいました。彼の会社はトルコの格安航空会社などとのコネクションが強く、売り上げを急速に伸ばしていることで注目されているのです。しかし、昨年は彼にとって大変な年でした。アメリカドルに対してトルコの通貨リラが大きく暴落(devaluation)したのです。アメリカとの政治的緊張、イスラム色の強いエルドアン大統領の強権政治に対する警戒感などがその原因でした。
 サラーは、その逆風の中でiTEP Internationalと交渉し、支払いを調整しながら、現地での強いコネクションをフル稼働させてビジネス英語能力テストの販売を伸ばしたのです。この努力と成果には、会場の人々も賞賛の拍手を送りました。
 
 彼はクルド系トルコ人です。
 クルド人といえば、イラクやトルコに居住し、イスラム教徒ではありながら、その強い民族意識からしばしば迫害や差別の対象になってきたことはよく知られています。そして、トルコ政府はクルド人の民族運動をテロ行為として抑圧します。対してアメリカは、イラク戦争などを通してクルド人に武器を供与するなど支援を続けていました。以来、クルド人問題は、アメリカとトルコとの溝を深めるいくつかの重要な課題の一つとなったのです。
 
 ワシントンにある、デュポンサークル(Dupont Circle)という大きな交差点にクレイマーブックス & アフターワーズ(Kramerbooks & Afterwords Café)というブックカフェがあり、私は同地を訪れるたびにそこを訪問します。Facebookにもそこで出会った一つの書籍をアップしました。同店は今でもワシントンの政界の大物も立ち寄る有名な書店で、併設されているカフェやバーには、ロビーイングを行う人々も多く集います。
 この書店と同様に、例えば有名ホテルの会員専用のラウンジなど、ワシントンD.C.では様々な場所がそうした政治的な打ち合わせに使用されています。ワシントンD.C.で活動する人々は、政治家、企業家、そしてジャーナリストや評論家など、多くが何らかの政治的利害の糸で繋がっていると言われているほど、ロビーイングや情報収集の場所がこの街のあちこちにあるのです。
 
 実は、そんなロビー団体の中でも有名なのが、トルコにあってクルド人と同居してきたアルメニア系ロビーイストの団体なのです。さて、サリーを見舞った苦境を説明するために、ここでアルメニア人について解説します。
 

トルコとアメリカの対立に見える歴史的背景と民族的確執

 アララト山はトルコの東の端、隣国アルメニア共和国にも近い高地にそびえる名山です。雪をかぶる壮麗な山は、その昔『旧約聖書』に書かれた「ノアの方舟」が漂着した場所ではないかとも言われています。
 そんな場所がアルメニア系アメリカ人の故郷です。そして、この地域にはクルド人も多く居住しています。
 アルメニアの人々の多くは、アルメニア使徒教会(Armenian Apostolic Church)というキリスト教を信奉しています。このルーツは、アルメニア人がローマ帝国パルティアやその後のササン朝ペルシアといった東方の強国に挟まれながらかろうじて独立を保っていた、キリストが活躍していた時代にさかのぼります。紀元301年に、アルメニア王国はキリスト教を国教にします。それは、世界で初めての出来事でした。その後、ローマ帝国でもキリスト教が国教となり、何度かの宗教会議を経て、キリスト教がローマの国教として体裁を整えてゆく中で、アルメニア使徒教会はローマには従わず、独自の信仰を維持しました。
 
 その後、トルコ系の勢力が拡大し、イスラム教が浸透する中で、アルメニア人もそんな歴史の波に飲み込まれます。しかし、彼らは当時のイスラム教最大の国家トルコの支配下にあっても、自らの文化と宗教を維持します。特にオスマン帝国末期には、民族運動による軋轢から強制移住や虐殺といった弾圧を受け第一次世界大戦の時期には多くのアルメニア人がトルコを追われます。その多くが移民としてアメリカに流れてきたのです。
 現在、アメリカのアルメニア系の人々は特にカリフォルニアに多く、経済的にもしっかりとした基盤を持っていると言われています。そんなアルメニア人にとって、故郷のシンボルとして慕われているのがアララト山なのです。
 
 そんな歴史的背景もあって、アメリカに居住するアルメニア系アメリカ人はトルコに強い警戒感を抱いています。アメリカ・アルメニアン会議(Armenian Assembly of America)などを組織し、トルコへの経済制裁(Economic sanction)を求めるロビー団体として活動しています。
 実は、彼らのロビー活動はイスラエルの活動と比較されるほど強力で、アメリカの中でも最も強い移民団体の一つとして注目されているのです。
 
 実際、トルコへのアメリカ政府の制裁は、アメリカのアラブ社会への警戒感と、アメリカの保守系政権が伝統的に維持しているイスラエル支援とは無縁ではなく、トルコのエルドアン大統領が、イスラム色の政策を強め、クルド人問題などを通して反米色を強めると、両国の関係が一触即発の緊張関係へと悪化してしまったのです。両国ともお互いの輸入品への関税(tariff)を引き上げ、経済戦争にも突入しています。それが昨年のリラ暴落の直接的な原因でした。クルド人とその隣人アルメニア人、そしてイスラム教国トルコとトランプ政権の利害と確執が、100年以上くすぶってきた移民問題を発火させたのです。アメリカの政策変更の背景にあるこうした複雑な状況は、なかなか日本には報道されません。
 

ワシントンを制する者が世界の政治経済を制する

 そもそもトルコは北大西洋条約機構(NATO)の重要な加盟国で、中東の大国です。伝統的にロシアの南下政策に危機感を持つトルコは、アメリカの友好国だったのです。
 我々は、ともすればアメリカと中国との経済戦争に目を向けるあまり、そんなトルコの最近の急激なアメリカ離れに対して鈍感です。しかし、中東やヨーロッパでは、これは大きな政治問題であり、経済問題となっているのです。今回、第二次世界大戦でのアメリカを中心とした対独戦線でのノルマンディー上陸作戦75年を記念した式典に集まった、トランプ大統領やイギリスなどの関係者、今後開催されるG20に集まる首脳の頭には、トルコの課題が渦巻いているはずです。
 
 クルド系の経営者サラーが、そんなアメリカとトルコとの経済戦争のあおりを受け、アメリカの商品の販売に苦戦し、それを必死で乗り越えようとアメリカの政治の中心であるワシントンD.C.での国際会議にやって来ているのです。
 そして、ワシントンでの人々のネットワークの糸をうまくたぐり利用する者が、世界での外交においてアドバンテージを取れるわけです。
 
 クレイマーブックスは早朝から深夜まで営業しています。そして、アメリカ外交の蜘蛛の糸に関係する人々にも利用されながら、書店経営斜陽の今にあっても、しっかりと経営を続けているのです。
 

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