タグ別アーカイブ: 中東問題

ヘブロンの街
海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

人類の築く分断の「壁」がもたらすもの(中東問題その2)

【海外ニュース】

Israeli PM defends conduct of Gaza war
(USA Today より)

イスラエルの首相がガザ侵攻を弁明

【ニュース解説】

エルサレムはイスラム教、キリスト教各派、ユダヤ教が混在する古都。
高台から遠くをみると、新造の万里の長城かと思えるユダヤ系とパレスチナ系の人々を分断する「壁」が見渡せます。そんな旧市街にあるダマスカスゲートという城門に、パレスチナ人のタクシーの運転手が集まる一角があります。
そこで、アラブ系の運転手を捕まえ、ガザと共にパレスチナ人の自治が許されたヨルダン川西岸 West Bank、ジェリコ Jericho からさらに南下してヘブロン Hebron という街に行きました。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

アメリカの焦りと世界の混沌(中東問題その1)

【海外ニュース】

Gaza Fighting Intensifies as Cease-Fire Falls Apart
(New York Timesより)

ガザでの紛争が激化、停戦も成立せず

【ニュース解説】

これから3回にわたって、中東情勢にスポットをあてつつ、現在の世界情勢を分析してみたいと思っています。

第二次世界大戦終結期から現代までの70年間で、アメリカが本当に焦っていた時期が二つあります。
一つは、正に現在。そしてもう一つが第二次世界大戦の末期、丁度広島と長崎に原爆を投下した頃のことです。
こう書くと多くの日本人は意外に思われるかもしれません。しかし、世界情勢と世界史を分析する時、そこにある「共通した背景」をみるならば、それは誇張ではないことがわかってきます。

現在は、世界がアメリカのいうことを聞かなくなっている現実を、アメリカ自身が思い知らされている時代です。アメリカは焦り、しかも焦れば焦るほど、その影響力の低下が露呈されてゆきます。
今回のガザでの紛争をみるとき、最もアメリカの後押しを必要としているイスラエルですら、なんとか中東を安定させたいアメリカの mediation (調停) になかなか耳を貸しません。

では69年前はどうでしょう。アメリカ主導の戦争が勝利目前というときに、どうしてアメリカはそんなに焦っていたのでしょうか。
それは、当時もし日本が降伏せず、徹底抗戦の姿勢をとった場合、日本本土での泥沼の戦いにアメリカが引きずり込まれる可能性があったからです。
しかも、ソ連は、8月9日には日本と開戦し、北から北海道に迫っていました。
アメリカが戦後一番の痛手を被ったベトナム戦争などを思い出すと、対日戦の終結が遅れ、日本での戦争が日本本土でのゲリラとの戦いになる悪夢に、アメリカがどれだけ苛まれていたかは容易に想像できます。

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ネルソン・マンデラと中東問題の悲しい比較、そして日本は

【海外ニュース】

Former president Nelson Mandela arrived back at his Houghton home on Sunday morning after a long stay in hospital.
(The Citizen より)

ネルソン・マンデラ元大統領は日曜日の朝、長い闘病生活を終え、ホウトンの自宅に

【ニュース解説】

今、世界は、シリアやエジプトの問題で緊張が高まっています。
こうした中東の争乱 chaotic conflict の根の部分にある課題は、イスラエル建国の折に土地を失ったパレスチナ難民 Palestinian Refugees の自立と加害者とされるイスラエルとの融和への壁であることは周知の事実です。
20世紀初頭のオスマントルコ帝国の崩壊 decline and fall 時の混乱に端を発し、その後の宗教と民族の対立に、米英ソ連などの大国の利害が絡まって事態が混迷したつけを支払わされているのが、現在の中東の状況に他なりません。

こうした民族や宗教の対立が中東のような大規模な混乱の渦を産み出しかねなかった地域が2カ所、アジアとアフリカにありました。
インドと周辺諸国、そして南アフリカを中心とした地域がそれにあたります。
その一つの危機を克服した新生南アフリカの産みの親ネルソン・マンデラ氏は、日本からみれば遠くの国の英雄です。しかし、世界史という大きな絵図面でみるときに、彼の存在が語りかけるものは決して日本とも無縁ではないのです。

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アメリカが抱える国際問題への介入のジレンマ

【海外ニュース】

Helping Syrian rebels a dangerous risk
(CNN より)

シリアの反政府軍を支援することは危険なリスクである

【ニュース解説】

ある専門家が、アメリカが戦争という人名と資金の投資をして、本当に元をとれたのは、太平洋戦争での日本に対してだけだったとコメントしたことがありました。戦争という悲劇を語るには余りにも不謹慎な表現かもしれせん。
しかし、この言葉が意味する彼らの本心にはアメリカの抱える矛盾が反映されているのです。

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アラファト議長は暗殺されたのか? 世界が見守る調査の行方

【海外ニュース】

Aide says Palestinian President Mahmoud Abbas agreed to autopsy in principle and has invited experts to test remains.(アルジャジーラより)

側近が伝えることによれば、パレスチナ自治政府のアバス議長はアラファトの遺体の解剖と専門家による遺物の調査にも原則同意した。

【ニュース解説】

中東の CNN と呼ばれるアルジャジーラが、9日に発表したこのニュースが今世界中の注目を集めています。
2004年の晩秋、パレスチナからパリに移送されるパレスチナ自治政府の前議長アラファトは、タラップの上から人々に投げキスをおくっていました。それが、彼が公の前に姿を現した最後の映像。間もなく彼はパリ郊外の病院で死去。パレスチナの解放に生涯を捧げた75年の生涯は正に波瀾に満ちたものでした。
そんなアラファトが、実は病死ではなかったのではとアルジャジーラが報じたのです。

ポロニウム210 (polonium-210) という放射性物質が、アラファトの所持品から検出され、さらに詳しい調査がスイスのローザンヌにある Institute of Radio Physics 電波物理学研究所で行われることになったのです。
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