タグ別アーカイブ: 日中関係

海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

グローバルな時代にふさわしいメディア対策の必要性

【海外ニュース】

Japanese leader revives dark memories of imperial-era biological experiments in China
(ワシントンポスト より)

日本のリーダーが、戦前の中国における生体実験の暗い思い出を触発する

【ニュース解説】

日本の過去の戦争責任への解釈の違いは、今まで韓国と中国をはじめとする周辺の国々との摩擦の原因となってきました。
しかし、現在アメリカもがこの問題について、日本の指導者のスタンスに強い懸念をもっていることは日本でも報道されています。

今回のワシントンポストの記事は、その延長線上にある気になるものです。
1936年以降、当時の満州 (中国東北地方) で、日本軍が組織的に中国人などの捕虜に対して人体実験を行いました。その実験は、石井四郎という軍医の高官の指揮下で行われた実験であったため、それを実践した部隊を人々は石井部隊と呼んでいましたが、その公の名称は 731部隊でした。
そして、今回、安倍首相が自衛隊の航空機に搭乗し、笑顔でメディアに応えている写真が掲載されたところ、その航空機に 731 という番号が書かれていたのです。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

アメリカのビジネス文化では異例! Appleの謝罪

【海外ニュース】

Apple CEO Tim Cook’s apology may defuse an aggressive campaign against Apple by China’s state media, but it has left questions for the company’s followers and customers.(CNN より)

アップルの CEO ティム・クックが謝罪したことは中国の政府系メディアのアップルへの激しい批判キャンペーンを鎮めるかもしれない。しかし、このことはアップルのファンや顧客にいくつかの疑問をなげかけた

【ニュース解説】

Apple の CEO の Tim Cook (ティム・クック) が、中国のユーザーに同社のサービスの不備について謝罪したニュースは、日本でも大きく取り上げられました。
事の起こりは、中国での Apple 製品の保証期間の対応が、アメリカなどと比較して充分ではないことに対し、中国の消費者を援護するキャンペーンを中国の政府系のメディアが積極的に展開したことでした。
事態の背景には、最近のアメリカが行った中国のサイバー攻撃に対する批判などへの、中国側の報復もあるのではないかという憶測もささやかれます。

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中東の反米デモと中国の反日デモを比較して

【海外ニュース】

The White House for the first time Thursday described the Sept. 11 assault on the U.S. Consulate in Libya as a terrorist attack that may have involved militants linked to Al Qaeda, but it added that no intelligence yet shows it was planned in advance.(LA Times)

ホワイトハウスは、9月11日のリビアのアメリカ領事館の攻撃は、アルカイダの戦士が関わったテロ行為だが、前もって準備されていたものであるとう情報は入手していないと、木曜日に初めてコメントした。

【ニュース解説】

この記事が発表されたのと同じ頃、同紙は日本と中国の尖閣諸島をめぐる紛争についても、詳しく解説した記事を掲載しました。
その記事では、尖閣諸島は明 The Ming Dynasty の時代に中国の島となり、その後中国が領有していたと書かれています。そして日清戦争の時期に、尖閣諸島に投資をしていた日本人の要請で日本に併合されたままになり、第二次世界大戦の後、アメリカが日本を占領したために、自動的にアメリカ軍は尖閣諸島を接収したのだと解説されています。その後尖閣諸島は、日本にアメリカから返還されたものだというわけです。アメリカは冷戦の最中、元々の所有者であった中国に返還することを嫌い、沖縄と共に日本への返還を決定したのだと解説されています。

竹島と同様に、江戸時代以前の領有を示す記事は、双方あちこちにあり、真偽はなかなか証明できません。しかし、この記事をそのまま読むと、アメリカの論調は必ずしも日本全面支援でないことがわかります。日本人はこの領土問題を日本の中からしか見ていません。しかし、海外では必ずしも日本の立場への理解が充分でなく、日本の方が不利であるという見方すらあることを、冷静に見つめる必要があるのです。

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日中問題の鍵を握るアメリカのスタンス

【海外ニュース】

Tensions between China and the United States and its Asian allies escalated on Monday as Beijing immediately criticized an announcement earlier in the day that the United States and Japan had reached a major agreement to deploy a second advanced missile-defense radar on Japanese territory.
(ニューヨークタイムズより)

北京は、アメリカと日本とが日本国内での早期警戒レーダーの2カ所目の設置について合意に達したことを、即座に非難。中国とアメリカとアジアの同盟国との緊張が月曜日に高まった。

【ニュース解説】

尖閣列島の領有権を巡り、日中の緊張が高まる中で、ニューヨークタイムズは、興味深い記事を掲載しました。
「アメリカ国内ではほとんど報道されていないよ。こちらは、選挙と中東での反米騒動で忙しいんだ」
アメリカの友人と電話で話したとき、今回の領土問題について、友人はそう語りました。確かに、この問題は海外では多くは報道されていません。そこに、メディア対応で世論を喚起できない日本の外交戦略の非力さが見えてきます。

そうした中で発表された、このニューヨークタイムズの記事からは、日本と中国との間に立って苦慮するアメリカの姿が見えてきます。日米安保条約 The Japan-U.S. Security Treaty によって日本はアメリカの同盟国となっているものの、普天間問題に加えオスプレイ配備の問題など、最近ぎくしゃくしたことが多く、日本の世論も米軍基地のプレゼンスについては一枚岩ではありません。

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重慶市での共産党幹部の失脚と反日デモとの微妙な関係

【海外ニュース】

A Chinese court on Monday gave Gu Kailai, the wife of a disgraced Communist Party leader, a suspended death sentence for the poisoning death of a British business associate who she reportedly feared was plotting to harm her son. In the Chinese legal system, such a sentence is often commuted to life in prison. (International Herald Tribuneより)

中国の裁判所は、失脚した共産党の指導者の妻谷開来に対し、息子への危害をおそれたという動機でイギリス人のビジネスパートナーを毒殺した罪で執行猶予付きの死刑を言い渡した。中国では、こうしたケースは多くの場合終身刑に減刑される。

【ニュース解説】

この記事、中国の次世代の指導者と目されていた、共産党幹部で四川省重慶市党委員会書記であった薄煕来の妻にまつわる事件の結末です。この殺人事件がもとで、薄煕来の不正蓄財や四川省での汚職追放運動などに関するスキャンダルが暴かれ、彼自身も失脚 disgrace しました。執行猶予付き死刑 suspended death sentence とは中国独自の法制度で、文化大革命の後に処罰された毛沢東の妻、江青に課せられた刑として有名。多くの場合本人の反省をもって終身刑などに減刑される commuted ことになります。

日韓関係についで日中関係が領土問題で揺れています。日本が隣国の全てとうまくいかないことを、ただナショナリズムの高揚で解決できるのかを考える材料として、この事件に見える中国国内の事情を解説してみたいと思います。

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