タグ別アーカイブ: 移民

海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

アメリカとメキシコの切れない「縁」

【海外ニュース】

Waves of immigrant minors present crisis for Obama, Congress
(ロイター通信)

未成年移民の波が、オバマ政権、議会に波紋を

【ニュース解説】

今、私はメキシコ中部の古都グアダラハラを訪問しています。
いつも驚かされるのが、一旦メキシコに入国すると、英語がほとんど通じないこと。
例えば、日本でも隣国の言葉である韓国語や中国語はなかなか通じませんが、メキシコの場合はアメリカと陸続き。しかも、歴史的にも現代においても、この二つの国は、国境を接する他の国々の事例と同様に、密接に関わっているのです。
そもそも、アメリカの南西部、西海岸の都市の名前が、ロサンゼルスやサンフランシスコというように、ほとんどメキシコの国語であるスペイン語であることからも、その状況は容易に想像できます。

さて、今回滞在しているグアダラハラは、メキシコの文化を代表する都市。テキーラやメキシコ人にとっての演歌ともいえるマリアッチも、この周辺で産声をあげました。
そんな古都を歩いていると、アメリカという国の存在が遠くに見える錯覚に陥ります。しかし、そんなメキシコとアメリカとの間には、いま不法移民の問題が深刻に横たわっているのです。

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山久瀬洋二の日常と旅日記

旅日記 (6) ドストエフスキーとグリニッジ・ヴィレッジのサモワール

サンクトペテルブルクにあるドストエフスキーが住んでいたアパートのすぐそばに、食品市場がある。
ドストエフスキーもそこに立ち寄って黒パンに紅茶を買っていたかもしれないなどと思いながら、売り場を巡った。
白衣に白いスカーフをかぶったおばさんが並んでいるところでは、にしんの薫製やイクラなどを売っている。
イクラはロシア語でもイクラ。
そんなことを覚えたのは、ニューヨークはブルックリンにあるリトルオデッサでのことだった。
リトルオデッサとは、ニューヨークのブライトンビーチにあってウクライナやロシアからの移民が集まり住む地域のこと。そこにも、サンクトペテルブルクにあるものと同じような食料品店があって、お目当てのイクラも売っている。

90年代、リトルオデッサで買うイクラは極めて安かった。
確か、タッパーにぎゅうぎゅうに詰めてもらっても、20ドルもしなかったはずだ。だから、不謹慎な話だが、余ったイクラはニューヨークのアパートにいた愛猫の垂涎の的となった。
ブライトンビーチはブルックリンの突端にあって、大西洋に面している。
それは丁度浅草の花屋敷を大きくしたようなレトロな遊園地、コニーアイランドの隣に位置している。
コニーアイランドでの食といえば、ポーランドからの移民が19世紀の終わりにソーセージをパンにはさんでそこで売り出したところ人気を博し、瞬く間にアメリカ中に広がった食べ物がある。ホットドッグのおこりである。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

15歳の少年受刑者を拷問したアメリカ軍

【海外ニュース】

Khadr, 26, landed at the Trenton military airbase early Saturday after a flight from Guantanamo Bay. American officials formally transferred Khadr into Canada’s care, bringing to an end U.S. involvement in the decade-long case.(トロント・スターより)

カハードル26歳はグアンタナモベイから飛び立った後、日曜日早朝にトレントン空軍基地に到着。アメリカは正式にカハードルをカナダ側に引き渡し、この10年来のケースの幕引きを行った。

【ニュース解説】

アメリカ、カナダ、さらにはイギリスやフランス、ドイツ、加えてロシアや中国もいれた世界の主要国と日本との違いを一つ挙げるならば、複雑な人種や移民模様の中で国家が成り立ち、それ故に世界情勢と国家の事情とが時には直結し、絡み合っているということです。逆に、こうした世界のリンクの外でものを考えることが、日本の外交や世界への理解の盲点になっています。

この見出しが語ることの背景は複雑です。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

ロドニー・キングの死がもたらす一つの感慨

【海外ニュース】

Rodney King’s death: The end of an era.
He was one of four iconic figures in the violent chapter that changed Los Angeles. He may have done the least, yet he symbolized the most.(LA Times より)

ロドニー・キングの死。それは一つの時代の終わりである。
彼はロサンゼルスを変えたあの暴動を思い出させる4人の象徴的人物の一人。その中で最も少ない役割を担ったかもしれない。しかし、彼こそがあの事件のシンボルとして知られた人物であった

【ニュース解説】

1992年4月29日、黒人、すなわち African American アフリカン・アメリカンの被害者 Rodney King ロドニー・キングを集団で暴行した警察官への無罪評決が陪審員によって下されました。その結果、黒人を差別した不当な裁判だと怒りをあらわにした人々が暴徒と化し、全米を震撼させた LA Riot ロサンゼルス暴動がはじまったのです。私はあの頃、ニューヨークに住んでいました。暴動が全米に拡大するのではという懸念から、ニューヨークも異常な緊張に包まれていたことを覚えています。あれから20年。被害者であったロドニー・キングが、今月17日に自宅のプールで溺死したというニュースに接したとき、当時の様々な記憶がよみがえってきました。

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オバマ大統領の失言と世界の複雑な過去

【海外ニュース】

“Polish” death camps. Mind your language.
(エコノミストより)

「ポーランドの死の強制収容所」言葉に注意

【ニュース解説】

この小さな見出しの意味するところ。それはいかに世界が複雑な過去を背負っているかということ。この記事、オバマ大統領の失言についての記事なのです。
第二次世界大戦中、ポーランドはナチスドイツの占領下にありました。そこには昔から多くのユダヤ系の人々が居住していました。結果として、ヒットラーはポーランド国内に強制収容所を造り、大量虐殺をはじめたのです。「シンドラーのリスト」など、それをテーマにした映画、小説は数えきれません。ポーランドには、前の法王ヨハネパウロ2世がポーランド生まれだったことからもおわかりのように、カトリック教徒も多く住んでいます。中にはユダヤ系市民に偏見を持つ者も多く、実際に根強い差別もありました。

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