タグ別アーカイブ: 移民

海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

ニューヨークのチャイナタウンと陳光誠氏の亡命

【海外ニュース】

The blind Chinese dissident who escaped to New York after sparking a diplomatic row between Beijing and Washington will give his first extensive talk about his ordeal this week.(New York Post より)

ワシントンと北京の間での外交問題として火花を散らし、ニューヨークに逃れてきた盲目の中国出身者が自らの苦難の道のりを語り始める。

【ニュース解説】

日本でも何度か報道された中国の盲目の活動家陳光誠氏。彼は4月に北京のアメリカ大使館に保護されましたが、その後出国、現在はニューヨークに住み、ニューヨーク大学の客員研究員となっています。彼は、中国で国や地方政府の不正をあばいてきた法律家であり中国医でした。そんな活動が当局にとがめられ、アメリカ大使館に逃げ込んだ彼を巡って中国政府とアメリカ政府とが火花を散らした末に、陳氏の渡米を中国政府が許可したことは、つい最近のことでした。

ニューヨークに滞在した中国の活動家で思い出すのは、その昔日本からアメリカ、そしてイギリスへと亡命し、活動資金を調達していた孫文のこと。中国革命の父と呼ばれる孫文が渡米したのは 1899年のこと。西海岸から各地を回りニューヨークに。孫文が滞在したのはチャイナタウンでした。

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シングリッシュの国、シンガポールの、労働事情

【海外ニュース】

Drive to ensure foreign workers get proper housing. Manpower Ministry roadshows in July will publicise a hotline and info on expected standards.(straight times より)

外国人労働者に適正な住宅を。労働省はどのような居住基準を外国人労働者に提供しなければならないかというテーマについて、7月にもホットラインと情報を公表する予定。

注:英文中の publicise はシンガポールがイギリス英語を採用しているため、米語の publicize とは異なった綴りで表現されています。

【ニュース解説】

世界には移民によって成り立っている国がいくつかあります。代表はアメリカ合衆国。アメリカの住人は、ネイティブ・アメリカン Native American を除けば、全てが移民かその子孫です。アジアではどうでしょう。中世から近世にかけては、インドネシアやマレーなどの王朝の支配をうけ、港湾都市 harbor として発展しながらも、その後荒廃し、19世紀初頭にはたった150名が居住する漁村になっていたシンガポールは、小さな島国ながら、アメリカと同様、その後移民によって発展しました。

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人気高まるジェレミー・リンとプロバスケットボール。そしてニューヨークとボストン気質とは

【海外ニュース】

Jeremy Lin used to star at Harvard, but Boston fans will see a much different dynamic this afternoon when Lin and the Knicks invade TD Garden to face the Celtics.(2012年3月4日付ニューヨークポストより)

ジェレミー・リンはハーバードでもスター的存在。しかし、今日の午後、リンがニューヨーク・ニックスの選手として、セルティックスと対戦するために TD ガーデンに乗り込んできたとき、ボストンのファンは彼が大きく成長した姿をみることだろう。

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トルコとフランスの諍いがアメリカ大統領選に与える影響

【海外ニュース】

Turkey warned the French president on Tuesday against signing a law that makes it a crime to deny that the killings of Armenians by Ottoman Turks nearly a century ago(サンフランシスコ・クロニクル紙より)

フランスが100年近く前に当時のオスマントルコ帝国がアルメニア人を虐殺した事実を否定することを禁止。法制化した。これに対し、トルコはフランスの大統領に抗議した。

【ニュース解説】

この一見日本人には何も縁のないような記事が、いかに世界情勢、そして大統領選挙をひかえたアメリカにも影響を与える記事か、考えたいのです。

映画 East of Eden (エデンの東) や、A Street Car Named Desire (欲望という名の電車) の監督、Elia Kazan (エリア・カザン) が、1964年にアカデミー賞を受賞した作品に、America America (アメリカ、アメリカ) という映画があります。
この映画、日本ではあまり知られていませんね。映画のテーマは、オスマントルコ帝国下で虐げられるギリシャ人の青年が、アメリカに移住するまでの物語。エリア・カザンは、トルコ系ギリシャ人の移民である自らの前半生を、この映画でオーバラップさせました。

映画の中で大きく取り上げられたのが、20世紀初頭にトルコ中部でおきた、アルメニア人の迫害事件。当時数えきれないアルメニア人が、トルコで虐殺されたり、財産を奪われたりし、ヨーロッパ各地やアメリカに移住したのです。彼らの中には裕福な人々も多く、移民した各地でトルコへの抗議を行います。

Diversity (多様性) という言葉が、アメリカ人にとっての重要な価値観としてあることは、以前にも説明しました。Diversity とはいうまでもなく、アメリカが多様な移民社会であることを意味します。アメリカが中東の問題など、世界各地の紛争に首を突っ込むのも、アメリカの中にそうした地域からの移民が流入してきた過去と無縁ではありません。これは日本にはみられないアメリカ政治の一つの特徴を形作ります。例えば、大統領選挙では、常にそうした多様な移民のパワーバランスへの配慮が必要です。Minority (少数派) という言葉がありますが、今のオバマ大統領は、Minority の代表である African American、すなわち黒人票をその基盤にもっていたことは周知の事実。
しかも、今やアメリカのそうした Minority の総人口は、決して Minority とはいえなくなるほどに膨張しています。

一方、中東では不安の種が絶えませんよね。中東の anti-American sentiment (反米感情) は、現地の強いイスラム回帰の原動力にもなっています。トルコも例外ではないんです。フランスがトルコの過去を刺激するような法律を制定すれば、トルコ国内のイスラム勢力のさらなる台頭につながり、その影響は中東各地に飛び火。新たなアメリカの外交問題へと発展します。

アメリカには、膨大な Greek American (ギリシャ系移民) が生活しています。その人口は全米で300万人近く。彼らは選挙に大きな影響を与えるニューヨークやデトロイトなどの都市部に住んでいて、祖先の多くはトルコで迫害を受けた人々です。次にトルコや、中東、旧ソ連からやってきた Armenian American (アルメニア系移民) は、50万人近くに及んでいます。しかも、彼らは教育レベルが移民グループの中でも最も高いといわれ、アメリカの中東政策に影響を与えている要因の一つにもなっているのです。

大統領選挙を追ってゆくなかで、この Diversity、そして Minority、さらに Immigrant’s right (移民の権利) という言葉は、選挙の成り行きを理解するキーワードとなってゆくことを、是非知っておきましょう。

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クリスマス・カード、それともホリディ・カード??

前回の MAN の考察に続いて、お話ししたいのが、年末の休日のこと。
日本では、基本的にお正月を中心に、皆が一週間前後休みをとりますね。

欧米では、クリスマスに連休をとって、そのあとお正月は1日のみが休みです。
アメリカでは、11月の感謝祭で4連休をとる人がほとんどで、その後年末まで、クリスマス商戦になだれ込みます。クリスマスは、その中心となる休日で、多くのアメリカ人は感謝祭と同じく数日間の連休を楽しむのです。

一方、この時期、旧約聖書の世界では、ハヌカーの行事があり、これは今でも世界中のユダヤ教徒によって祝われています。
これは、紀元前165年の12月に、エルサレムを支配していたセレウコス朝から、ユダヤ教徒がエルサレムの神殿を奪還したことにちなんだお祭りです。
セレウコス朝は、あのアレクサンダー大王が東はインドまで拡大していった領土の一部を継承し、シリアからペルシャ一帯を支配した王朝でした。その王朝の衰退期におきた、ユダヤ人への迫害に対して決起したことを祝ったのが、ハヌカーの祭りです。しかし、その後しばらくしてこの地域はローマ帝国の一部となり、以後ユダヤ系の人々は祖国を失うことになったのです。

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