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コロナウイルスが見せるもう一つの南北問題

“Utility companies have suspended meter readings and bill deliveries following the month-long coronavirus quarantine in Luzon.”

(長期に及ぶコロナウイルスによる隔離措置に対応し、ルソン島では水道や電気など公共料金の請求を留保)
― マニラタイムズ より

フィリピンへの出張中止と困惑

 新型コロナウイルスによって世界が閉ざされ、人々はますますネットでのコミュニケーションに頼って仕事をしようとしています。
 こうしたとき、異文化への理解がどれだけ大切かが痛感されます。
 
 3週間前のことでした。私は台湾への出張のついでにフィリピンまで足を伸ばし、現地オフィスのメンバーとの打ち合わせをしようと考えました。コロナウイルスが世界規模で甚大な脅威をもたらす直前のことで、日本と韓国が要注意国となっていたタイミングでの出張予定でした。
 
 私は従業員への配慮から、マニラから離れたフィリピンの現地オフィスを訪ねるのではなく、主要な社員にマニラに来てもらい、安全で清潔なホテルの会議室で打ち合わせをし、そのまま帰国することを考えていました。
 台湾では、関係者がこうしたときにわざわざ訪ねてきてくれたことを感謝され、有意義な打ち合わせができました。
 しかし、日本を発つ前日にフィリピンのマネージャーから連絡があり、社員の母親が心配しているので、マニラまで出張ができないかもしれないという連絡がありました。
 
 首都マニラのインターナショナルホテルでの打ち合わせにもかかわらず、何を心配しているのかと、多少心外にも思ったものでした。もちろん、マスクも消毒用アルコールも用意し、相手に不快感を与えないように配慮しての出張です。
 しかも、台湾では公共の場所では誰もがマスクを着用していたものの、取引先のオフィスでの打ち合わせは、いつもと変わらずマスクもなしで、活発に進み、その後夕食を一緒にするという状況でした。
 結局、マニラでの打ち合わせはキャンセルとなり、私は台北から直接帰国したのです。
 
 その数日後、台湾での外国人の入国禁止が発表され、それに追い打ちをかけるようにフィリピンのルソン島セブ島での同様の措置が発表されました。
 私はその直前に台湾で面談ができ、ほっとしたわけです。同時にこれからフィリピンのオフィスをどのように管理しようかと困惑しました。
 

現地の人々が感じている恐怖

 さて先日、そんなフィリピンのマネージャーとSkypeで連絡を取りました。
 彼女は早々に近況を報告します。まず、フィリピンでは私が出張を計画していた頃から、コロナの感染者数は少なかったものの、マニラなどで医師が肺炎で死亡するケースがいくつかあり、さらにコロナ感染が疑われても検査の準備ができないままに死亡するケースも増えていたということでした。
 今、ルソン島では午前5時から午後1時まで、一家族一人まで食料調達など生活のための外出しか許可されず、違反すると逮捕されるという厳しい規制がしかれています。
 
 マネージャーもオフィスへ出勤できず、社員によってはネット環境が十分でないところに居住している者もいます。さらに問題は、銀行のサービスも人手の関係で制限され、日本からの送金が無事に銀行に届き、給与を支払うことができるかどうかも懸念材料だと、彼女は言います。しかも、受け取った資金を社員にどのように給与として届けるかということも深刻な課題です。現金を手渡すことが当たり前のフィリピンでは、これは我々が思う以上に悩ましい課題です。
 しかも、社員によっては、そのわずかな給与で一家を支え、銀行口座も保有していない人がいます。給与が文字通り現金として手渡されないときは、そのまま生活の維持ができなくなるという深刻な事態につながるのです。
 
 コロナ感染の実態がつかめないまま、医師まで含む死者や病人が増えているために、フィリピンでは政府が非常事態を宣言しているのです。
 しかも、私のオフィスの社員が住む地方都市では、我々が考えるような隔離や医療従事者を保護する設備が充分ではありません。病院自体が危険な環境にさらされている中で、喘息やアレルギーをもつ一部の社員は、疾患があっても見えないウイルスが怖くて病院に行けません。彼らはこうした状況でマニラへ出張することに恐怖を感じていたわけです。
 
 私たちが恵まれた環境で考え、感じていることとはまったく異なる不便さ、さらには生命への脅威があることに私がいかに鈍感であったかを、彼らのその後の状況を知るにつけ反省させられたのでした。
 
 私がそんなやりとりを現地としていた頃、セブ島では私の知人の日本人が奮闘し、1000名の日本人語学留学生を帰国させるために日夜働いていました。フィリピン航空と交渉し、日本への帰国便を2便チャーターしたのです。本来なら日本政府の仕事ではないかとも思うことを、彼女ら現地を知り尽くしている人々が昼夜駆け回って手配したのです。
 

©岐阜新聞社

現状に目を向けた適切な行動を

 今、世界中がコロナ感染に翻弄されています。しかし、フィリピンなど途上国を見舞う恐怖とは対照的に、この3連休で穏やかな日が続いた日本では、なぜか観光地も賑わったと報道されています。アメリカでは、政府の警告を無視してビーチなどで騒ぐ若者の姿がテレビに映ります。
 
 コロナの感染では、若者の不用意な行動が、体力のない老人や病人に深刻な影響を与えることが繰り返し報道されています。そして国際的には、ここに紹介した典型的な「南北問題」にも影響を与えているのだということを、我々は理解しなければならないようです。
 

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誰も守ってくれない、世界で最も貧しい人たち

『Unseen Faces, Unheard Voices』リビングストン&都・アーミテッジ (著)Unseen Faces, Unheard Voices』リビングストン&都・アーミテッジ (著)

この本の登場人物は,主にアフガニスタン、カンボジア、ネパール、パキスタンに住んでいる。彼らは国家という枠組みの外に生きており、栄養も教育も医療も、雇用の安定も、身の安全すらなく生活している。社会的に排除された人々が見せる人間としての尊厳―その目を見張る美しさを通して、彼らの苦しみに光を当てる写真集。日英対訳。

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コロナウイルス近況、最も身近な戦争体験

“Saudi Air is operating a very limited route. I am optimistic to get a flight to London on Tuesday and then connect to the US from there. It is always a pleasure to visit Japan and comforting to know I have a trusted friend in you. I will let you know how things go.”

(サウジエアはとても限られたルートだけ運行しているので、なんとかロンドンへ火曜日に出てアメリカへの帰国便に挑戦してみるよ。日本に行って、信頼のできる友人がそこにいることはとても嬉しい。また状況を伝えるよ)
― 友人からのメール より

経験して感じる各所の対応と影響

 新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、世界中が混乱しています。
 先日、台北に出張しました。飛行機の乗客数は行きも帰りも20名そこそこ。このままでは、多くの航空会社が倒産に追い込まれそうです。
 台北の空港内はトイレの各個室に消毒用アルコールの噴霧器が置かれ、手を洗う洗面台にも別途噴霧器が置かれていました。
 入国時には特別な書類に健康状態を記入して、検温を受け、中国へ入国していないこと、特に武漢へ行っていないかとの確認を受けました。
 ホテルでチェックインをしていると、係りの人が検温が必要なのでと、体温計を額にあてられます。その後、外出から帰ってくるたびに同様の処置を受けることになりました。
 
 そんなとき、北京在住の知人から連絡が入りました。
 日本から北京へ入国するときに、14日間の自宅待機を命じられたということです。アパートに戻ると管理人が彼に同行して彼の部屋に行き、その通告を実施することを告げられます。部屋のドアには「日本人で14日間自宅待機」という張り紙が貼られていたとのことでした。
 彼は、ゴミを捨てたりする正当な理由のあるときは、アパートの敷地を歩くことは許されていたものの、実際にそれをやると住民が出てきて苦情を言われ、管理人も即座に方針転換。完全に自宅軟禁状態となったそうです。
 ただ、ゴミはドアの前に置いておけば分別して持って行ってもらえるし、食事は電話やネットで注文すれば運んできてくれるため、生活そのものに急を要することはない、とのことですが。
 
 台北では知人と打ち合わせのあと、別の会社でさらに仕事上のプレゼンを受け、夕食にも連れて行かれました。ただ、街にはマスク姿の人がほとんどで、なんといっても繁華街も人影がまばらです。
 そんなとき、台北の次の目的地であるフィリピンの関係者から連絡が入りました。フィリピンも非常事態宣言で、国内の航空機の運行、バスなどの公共交通の利用などに大幅な制限がかかったため、マニラでの打ち合わせが事実上不可能になったとのこと。仕方なく翌日は台湾で時間を潰し、そのまま帰国することになりました。フィリピンなどいわゆる途上国でかつ島国の場合、流行が拡大するとそのリスクは日本などよりはるかに大きいわけです。かつ、実際どれだけの人が保菌者なのかも把握できない状態であれば、その恐怖はなおさらです。
 
 帰国早々、この調子だとアメリカへの次の出張も見合わせなければならないと判断し、アメリカの関係者に連絡を入れました。そこは、大学等と提携して留学生に英語を教える語学学校です。知人の学校のオーナーは、今年予定されていた留学生や留学生を送る法人や団体のほとんどからキャンセルが入り、先行きへの強い不安を抱えているとのこと。ウイルスのワクチンが治験を通して一般に配布されるには、一年以上の時間が必要ということなので、確かにこの状況下でビジネスの継続がいかに困難かはよく理解できます。
 
 ウイルスが経済と社会をここまで攻撃することになるとは、と多くの人は思います。しかし、例えば地球温暖化などで、シベリアツンドラなどが湿原となったときのことなどを考えると、そのインパクトの大きさにさらなる脅威を感じます。今まで人類が触れたことのないウイルスが溶解され、地上に蔓延し始めるのですから。これから我々はそうした時代に直面するのかもしれません。
 

ウイルスに奪われる移動や言論の自由

 ところで、今回のウイルス騒動での勝者はいないはずです。しかし、政治的に見るならば、習近平は国内の世論を誘導し、中国ではウイルスを制圧したということで、自らの政治的立場を強化できたのかもしれません。しかも、このウイルス騒動によって、彼を脅かしていた香港での民主化運動などの脅威も事実上霧散してしまいました。ロシアのプーチン大統領も独裁体制を強化し、そのための法的な整備を行うものの、ウイルス騒動に揺れる世界では以前ほど反発もなく目論見を遂げることができました。
 
 トランプ大統領には課題が残ります。このあと指導力を発揮してウイルスの抑制と経済の立て直しができれば、再選への切符を手にすることができるかもしれません。しかし、そのハードルの高さすら見えてこないのが実情です。民主党側もウイルス対策のことで大統領を批判すれば、人間の生命の危機を政治的に利用したとしてダメージを被ります。ですから、あまり民主党としての激しいアピールはできないまま、大統領候補選定へと進んでいます。
 
 このように、コロナウイルスは、人々の健康と精神への不安のみならず、経済と言論にまで大きな影響を与えているのです。これは、過去にない事態です。人が移動の自由を失われ、経済活動や言論活動の制約に苦しむ状況は、戦争以外には起こり得ないというのが今までの常識でした。ですから、今回の事態は戦争と全く同じ環境に人々が置かれたことになります。政府の発表への疑念が世界中に広がっているのも戦争と酷似しています。実態の把握や対策そのものに正道が見当たらないまま、政府自体も右往左往しているのが実情なのかもしれません。
 
 この混乱は1929年の大恐慌以上のものかもしれません。
 社会の混乱が、未来をより不安に満ちたものにしないことを祈りたいものです。
 ただ、こうしたときこそ、国の舵取りを任された者は国民へ直接語りかけ、情報をできるだけ率直透明に誠意をもって説明するよう心がけなければなりません。そうした対応からほど遠ければ遠いほど、株価は混乱し、人心の混乱により経済がさらに負のスパイラルへと落ち込んでゆくはずです。そうした視点で見る限り、今の日本政府の対応には大きな限界を感じてしまいます。
 

離れていてもメールを送り合えば

 アメリカへの出張を断念した直後、中東へ出張中のアメリカ人の友人から連絡がありました。帰国便がなくサウジアラビアから出国できないままの状態が続いているとのことです。封鎖状態のヨーロッパ経由ではなく、日本経由でのアメリカ帰国を考えてみてはとメールを送り、必要なら私の自宅に泊まってもいいからとメッセージを送りました。冒頭に紹介したのはその返信です。私はさらにその後の状況を心配しながら、彼からのメールを待っているところです。
 世界中で、ビジネスをする人同士、こうしたメールが飛び交っているのかもしれません。
 

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コロナのせいとは言えない「国際女性デー」の報道が少ない日本の事情

©2020 BBC.

“Marches to raise awareness of discrimination against women have taken place around the world to mark International Women’s Day.”

(国際女性デーを記念して、世界中で女性への差別を撤回する行進が行われる)
― BBC より

韓国のスラングに見る女性の姿と意識

 新型コロナウイルスのニュースに世界中が震撼する中で、3月8日が「国際女性デー」であったことが報道されることは、あまりありませんでした。ウイルスによる感染の拡大を受けて集会等の制限が強化される中、それでも世界各地で女性の地位向上を求めるデモなどがありました。
 
 そんなとき思い出したのが、チョ・ナムジュ氏による「82年生まれ、キム・ジヨン」という小説でした。韓国社会における女性のおかれているデリケートな現実を克明に描いたこの小説は、日本でも売り上げを伸ばしベストセラーの仲間入りをしています。
 
 その韓国で男性たちの多くが、今の若い世代の女性を「キムチ女(じょ)」というあだ名で悪口を言っているという話を耳にします。
 「キムチ女」とは、会社では軽い仕事しかしていないのに、女性の権利を主張し、男性には強くあたる最近の若い女性を皮肉ったスラングだと言われています。徴兵制度のある韓国では、女性は基本的に徴兵されることはなく、大学を卒業すれば就職もでき、キャリアを伸ばしたい人はそうすることも可能です。それに引き換え、男性は軍隊には必ず行かなければならず、就職難では常に矢面に立たされ、かつ女性から男性は女性差別をしていると批判されるというわけです。
 そんな韓国の人たちが、「スシ女(じょ)」と言って日本人女性を羨んでいるという皮肉な情報も聞こえてきます。彼らは男性に従順でやさしい女性を、このように呼んでいるのです。
 実際、韓国ではこうした言葉に象徴されるように、「男女の平等」というテーマをめぐって、男性と女性が激しくネットでも火花を散らしているようです。
 
 こうしたことを、アメリカ人の友人と話していたときのことです。
 彼が日本のある番組を、名指しで批判します。
 彼は、日本の長寿番組として知られる「おかあさんといっしょ」という子供番組を見るたびに、そのタイトルに怒りを覚えるというのです。理由は、このタイトルの裏に潜む日本人の意識にあります。「子育てや家庭のことはお母さんと」という偏見が、このタイトルには滲んでいるというわけです。さらに、週末には「おとうさんといっしょ」という番組があることから、男性と女性に対するステレオタイプを助長していると海外の多くの人が思うのです。
 

平等を主張する女性、柔軟に合わせる女性

 歴史的に見て、差別の廃止を求めて運動するのは、差別をされている側に偏っています。アメリカで黒人や日系人への差別に向けて立ち上がったのは、黒人であり日系人でした。もちろんそれに理解を示し、支援する他の人種の人々が多かったことも事実です。しかし、差別されている人の強い声がない限り、制度を変革し、人々の意識を変えてゆくことはなかなかできません。
 女性への差別も同様です。国際女性デーの起源も、1904年3月8日にニューヨークで、婦人参政権を求めて女性達がデモを起こしたことに起因しています。
 であれば、韓国で日本人の女性を「スシ女」とイメージしていることは、極めて皮肉なことといえましょう。
 
 実は、そんな話をするきっかけは、オフィスで国際女性デーについて意見を求めたとき、ある女性社員から、

「食事をするとき、なぜ男性が食事代を支払わなければならないのでしょうね」

というコメントをもらったことでした。

「しかも、それをラッキーと思っている女性が結構多いんです。これが問題なのではと思うんです」

と彼女は指摘します。
 お金をしっかり稼ぐ男と結婚すればそれで安心、という女性も多くいます。また、かわいければそれでよいと思っている男性に同調する女性も多くいます。そんな女性の意識を、国際女性デーでは考えさせられると彼女は思っています。

 
 確かに男性から見て、そうした女性が多いことも否めないようです。また、女性が職場で差別されている現実をみとめたとき、それを乗り越えようとして頑張る女性の姿も見えてきます。そんなとき、男性よりコンピュータを使いこなせ、締め切りを守り、頼んだことはきっちりとこなすというパフォーマンスを意識し、それを売り物にしながらも、それ以上組織の上層へと上がっていけない皮肉もそこには存在します。心の中で、自分の方が仕事はできるのに、と思っている女性は無数にいるはずです。
 
 一方、アメリカでは、海外へ駐在しマネージメントをするには女性の方が適しているのではないか、という指摘もあります。
 それは、女性の方が表面上の名誉などにこだわらず、人の話や意見にも柔軟に対応し、話をよく聞こうとするため、異文化環境での摩擦への対応がうまくいくからだというわけです。
 

社会にくすぶる男女の役割問題

 「キムチ女」と陰口を言う韓国の男性社会。そして、その男性が日本人の女性を「スシ女」と言い、そのことをまんざらでもないなと思う人が多い日本社会。
 国際女性デーがクローズアップされなかった理由は、単にコロナウイルス騒動でマスコミが手一杯だっただけではないかもしれません。
 「ジェンダー・イシュー」といわれる性の違いへの配慮の複雑さは、過去から引きずる男性と女性の役割へのステレオタイプとともに、まだまだデリケートな課題として社会の中にくすぶってゆきそうです。
 

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『30秒でできる!ニッポン紹介 おもてなしの韓国語会話』IBCパブリッシング (編集)、リムワン (訳)30秒でできる!ニッポン紹介 おもてなしの韓国語会話』IBCパブリッシング (編集)、リムワン (訳)
シンプルだけれどしっかりと伝わる、韓国語の日本の紹介!
双方向に活発な交流がある、おとなりさん、韓国。ビジネスやプライベートでも韓国語の習得を目指す学習者が急増しています。本書では、韓国人がよくする質問への回答や、おもてなしに欠かせない表現を30秒以内のシンプルな韓国語で学べます。日本人と似ているけど、微妙に違う韓国人の文化についてのコラムも充実。この本で韓国語をマスターして、ニッポンナビゲーターになりましょう!

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世界を蝕むコロナウイルスと疎外という二つの病根

“EU raises coronavirus alert level to high.”

(EUではコロナウイルスへの警戒レベルを引き上げ)
 

“Turkey says it will not stop refugees headed to Europe.”

(トルコは難民のヨーロッパへの移動を抑制しないと表明)
― いずれも CNN より

国境を越えるウイルス、越えられない難民

 新型コロナウイルスが世界経済に影響を与えようとしていることは、単なる検疫や防疫という課題以上の恐怖となって、人々を惑わしています。
 もともと2010年代に入ってから、世界はだんだんと閉鎖的な方向に進んできました。移民の排斥や自国の利益のために他国との連携を排除しようという新しい心理が、選挙のたびに人々の心を大きく揺さぶりました。
 コロナウイルスの問題は、そうした人間の排他的な意識をさらに刺激しているようにも思えます。防疫のニーズによる対応と差別とをきっちりと分けるように意識することが、今求められていることは言うまでもありません。
 
 そうした混乱の最中に、目下中東から膨大な難民がヨーロッパやトルコに押し寄せていますトルコ政府はそうした難民の受け入れに限界を感じ、トルコとギリシャとの国境を開放し、難民のヨーロッパへの流出を促そうとしました。これに反発したギリシャは国境に警察を配備し、催涙ガスを発射するなどして難民の流入に備えています。
 アサド政権下の内戦、加えてロシアによるISISへの空爆などにより、食料補給や医療という人間にとって基本的な生命維持手段を奪われた人々が、トルコへと流れ込み、今寒波に見舞われているトルコ東部に集結しようとしているのです。テント生活どころか路上で焚き火をして寒さに耐えながら、ギリシャからの救済を待っているわけです。
 
 ところが、EUの中でも経済難に苦しむギリシャとしては、そう簡単に難民を受け入れるわけにはいきません。まして、ギリシャからEU圏内に難民がさらに流れこむことで、国内世論の右傾化を懸念する周辺諸国にとっても事情は同じです。なぜ他国で起こった混乱のつけを我々が払わなければならないのかと、世論は硬化しつつあります。この意識が拡大すれば、様々な国々と経済体制を融合させようというEUの枠組み自体が危機に瀕してしまいます。
 そして、ウイルスがイタリアで蔓延したとき、それまではアジアの人々に向けられていたウイルスを通した偏見がイタリア人にも向けられる、というジョークとも言えず笑うこともできない現実が、ヨーロッパで垣間見られます。
 
 トランプ政権によるメキシコの壁も同様です。メキシコの壁に向かって殺到した人々は、メキシコ人とは限らないと言われています。政治的・経済的混乱の続く中米の人々が、メキシコを縦断して歩いてきたのだと言われています。トルコとメキシコとが置かれている状況には、皮肉な類似点があるのです。
 

防疫・安全が先か、国益・支持率が先か

 そして、国境での緊張と移民の流入に右往左往している世界の国々を、コロナウイルスが伝播しました。
 まさに国境など、ウイルスには関係ありません。アメリカが中国の武漢からの帰国者の防疫体制を楽観視した結果、アメリカ国内でもウイルスに感染した人々が拡大しているという懸念を専門家が指摘すれば、それを聞いたトランプ大統領が渋い顔をするといった醜い状況が、生々しくテレビで中継されます。
 トランプ大統領としては、再選のためにどうあっても好景気を維持しなければなりません。そこにウイルスが待ったをかけようとしたのです。その深刻さをあまり国民に知ってほしくなく、楽観的な見方を強調しようとした同じ場所で、コロナはパンデミック(大流行)の恐れがあると関係者が発言するものですから、大統領は苦笑してしまったのです。
 
 移民の流入に待ったをかけ、アメリカの国益はアメリカ人だけで享受すべきだとして支持率を上げてきたトランプ大統領にしてみれば、ウイルスにも「国境」があってほしいのです。
 同様に、つい最近まで日本と韓国との間には、国境を挟んで厳然とした政治的課題があり、お互いがプライドをぶつけ合ってきました。そんな両国も、海峡という国境を越えて同じウイルスに見舞われ、今やお互いに収束に向けてやっきになっています。
 元々ピラミッド型の組織の中で硬直し、上からの指示なくしては何も判断できない日本の制度が、ウイルス検査の実施を遅らせました。一方の韓国では、慌てて全国的に検査を徹底しますが、感染者の数は増える一方です。もっとも検査が徹底できない日本での実際の感染者の数は未知数であるという事実も忘れてはなりません。
 
 ウイルスの拡大は経済のみならず、東京オリンピックの開催にも影響を与えるかもしれません。しかし、世界中がまさにオリンピックさながらに、自分の国こそウイルスへの対応で優等生になろうと、他国を横目に見ながら指導者たちは国内への政治的アピールに必死です。
 安倍首相も国民をさんざん待たせたあと、遅れに遅れたリーダーシップを国民に向け誇示しています。そこには、トランプ氏と同じ心理が見てとれます。経済への波及は最小限に食い止め、同時に医療対応の不備への国民の怨嗟を処理しようと重い腰を上げたわけです。現場でどんどん判断し危機に対応する、という権限委譲のできていない国の組織の末端は、そんな首相の動向を見ながら、改めてどうしようかとあたふたするという体たらくです。
 

©JIJI PRESS LTD.

閉鎖的な世界に蔓延する人々の不安

 そして、トルコとギリシャの国境では難民が、ウイルスに目を奪われている世界の人々からも放置されたまま、寒さに震えています。恐らく、我々には想像もできない劣悪な環境の中、ウイルスに感染したりインフルエンザで落命したりする人も多いのではないでしょうか。
 
 株式市場も大荒れです。株式市場はそれ自体が経済を即日直撃するものではありません。問題は、株式市場は人々の不安を率直に照らし出し、その不安が経済にじわじわと影響を与えるのです。
 
 内向き志向へと偏りつつある世界の傾向に拍車をかけた、国境なきウイルスの蔓延。この皮肉をこれからどのような気持ちで注視してゆけばよいのでしょうか。
 

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『英語で読む そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー (原著)英語で読む そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー (原著)
孤島の洋館に集められた年齢も職業も異なる10人の男女。招待主は姿を見せず、10人は嵐が襲う島から出られなくなってしまい、やがて、館に伝わる童謡になぞらえた殺人が起こる。誰かが殺されるたび、10体あった兵隊人形も一体ずつ消えていく。ひとり、またひとりと殺されて、ついには…。
今も世界中で映画化やドラマ化がされるミステリーの女王、アガサ・クリスティーの傑作が、日英対訳で楽しめる一冊です。

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下請けからメーカーに至る自動車業界の未来への課題とは

“Multiple parties are already at work developing autonomous-driving technologies, and the trend toward putting SDVs on the road is rapidly gaining momentum across a broad front that encompasses OEMs, suppliers, mobility providers, technology companies, academic institutions, governments, and regulatory bodies.”

(自動運転への対応は、様々な業種や変革に対応する企業、テクノロジー関連や学術部門から政府や規制を行う部門に至るまで、広範な領域を巻き込んで、来るべき変化に向けてすでに迅速な稼働を開始している)
― ボストンコンサルティング・グループ より

自動車産業に押し寄せる変化の波

 「IT革命」と言われるようになって、すでに20年以上の年月が経とうとしています。
 最初は通信革命から始まりました。そしてAIITとが融合するようになり、革命の波は通信からあらゆる産業へと波及しようとしています。
 よく今後30年でなくなる業種のことが云々されています。人間はその瞬間になるまで、変化が自分の生活にどのような影響を与えるか実感できません。人ごとのように思え、まあいつかは来るだろうけれど慌てなくても…と思っているうちに、波は津波のように一気に産業を変えてゆきます。
 
 日本の基幹産業である自動車業界には、この津波の轟音がすでに聞こえてきています。電動化、自動運転カーシェアリング、さらにAIと直結したコミュニケーションシステムの改革によって、自動車のあり方が大幅に変化しようとしているからです。それはすなわち、内燃機関に頼っていた自動車産業そのものの体質が変わることを意味しています。
 コンパクトなボックスが、シャーシーと呼ばれる自動車の骨組みの上にぽつんと置かれ、そこから発信する信号でタイヤへ動力が伝達され、ハンドルとも連結されるようになります。また、車は「所有する」時代から消費者が「シェアする」時代に突入しようとしています。これらの変化に対応したインフラ整備、法的な整備も必要になってきます。
 
 ここで課題になるのが、日本の下請けとメーカーとの関係です。
 今まで、自動車業界はメーカーが下請けに君臨していました。メーカーはエンジンのピストンを磨く研磨技術から、ドアノブの触感に至るまで、下請けをコントロールしながら厳しい競争に打ち勝つために技術を磨き、コストを抑えてきました。同時に、阿吽の呼吸で業務ができるように、下請けとの関係自体を密にしてきました。
 90年代に、そんな自動車産業に最初の波が襲ってきました。日産マツダといった日本を代表するメーカーが経営危機に見舞われ、下請けのピラミッド構造そのものを見直す動きも出てきました。
 

問われるメーカーと下請け企業のあり方

 しかし、これから日本の自動車産業を見舞う波は、90年代のものをはるかに凌駕しているはずです。
 まず、今まで必要不可欠であった部品のほとんどが不要になります。内燃機関から電動で駆動する自動運転へと車が変化すれば、ボンネットの中を埋め尽くしている機材の多くが無用の長物と化すからです。
 問題はそれだけではありません。今まで下請けの上に君臨していたメーカーの部品調達のノウハウそのものが、これから問われることになるのです。購買部門は下請けに対して絶対の力を持っていました。購買部門は「納期・品質・コスト」の三種の神器すべてを自社の都合でコントロールし、下請けに伝達していたのです。また、メーカー内でも、もともと躯体とエンジンこそが自動車の中心という意識のもと、設計においてもまずこの二つの要因に合わせてすべてが調整されていました。ところが、これからはプログラムや電子システムの方がはるかに重要になってきます。これらの調達は、今まで経験したことのないグローバルな視野での新しい交渉が必要となります。
 
 今までは英語と無縁であった技術者も、調達部門と一緒にシリコンバレーなど世界各地のハイテクメーカーに開発と協力を求めなければなりません。そうしたネットワークによる調達のノウハウは、従来の下請けに対する調達のノウハウとは根本的に異なるフラットなものとなるでしょう。つまり、上下関係ではなく、横のネットワークによる対等な交渉が求められるのです。
 阿吽の呼吸で言うことを聞いてくれていた企業に要求する調達部門のあり方そのものが問われるようになるのです。
 しかも、技術革新は分刻みで進み、技術の供給は自動車のみならず、人の生活に関わるありとあらゆる産業に共有されるため、自動車メーカーとはいえ、今までのように優遇されることはありません。
 
 下請けはさらに大変です。その昔、ランプの部品を作っていた企業が、電灯が拡販されるようになったときにどうなったかを想像すればよくわかるはずです。実際はそんな変革どころの騒ぎではないかもしれません。ランプから電灯へと変わるときは共有できていた部品も、内燃機関から電動による自動運転へと変化するときには共有できないからです。
 下請けの多くは、自動車産業以外にも自社の技術を応用した販路を求めなければなりません。また、陶器メーカーが特殊なセラミックやその製造技術を応用した未来型の製品を開発してきたように、精密なエンジンのピストンを作っている会社も、同様な対応を求められるに違いないのです。しかし、そうした新たな分野を先取りするには、現在の自動車メーカーの要望に応えるのが精一杯で、時間、人材、資金のすべてに余裕がないかもしれません。二次、三次下請けとなればなるほど、激しい変化に対応する舵取りは難しいはずです。
 

波の到達を前に求められる国際化

 このように、日本の自動車産業全体、つまりピラミッドの頂点であるメーカーからその最底辺の町工場までのあらゆる人の耳に、津波の轟音が聞こえ始めているわけです。
 課題はその波の到達予測、そして到達地点にいる人々の予測の甘さ、つまり自分たちは大丈夫だろうと安心している、企業の管理職や調達部門などの楽観的な意識です。下請けは仕事を失い、メーカーは新たなニーズに合わせた調達ができなくなるという日がやってきたとき、日本の自動車産業の足元が崩れてしまうのです。そのことは、自動車産業に支えられている日本経済に今までにないインパクトを与えるはずです。
 
 海外の企業の強みは、こうした変化への柔軟性と迅速な対応力です。まず、言語でいえば英語で即座にメールをし、交渉をし、相手とフラットな立場に立って、妥協しながら商品開発を進められることです。これは、重厚なピラミッド型の産業構造に慣れている日本企業が一番苦手とするノウハウといえましょう。
 
 教育のあり方、過去の常識へのこだわりなど、日本の産業構造を変えてゆくためのバリアは、日本社会のいたるところに存在しています。それを変えるには時間がありません。であれば、なおさら、海外から直接人材を含めたノウハウを引っ張ってくる国際化が、企業内部にも求められているのです。また、企業そのものが従来の下請けと改めて対等な立場に自分を置いて、それぞれの弱点を補いながら資金と人材の双方で新規事業を育成してゆく協力姿勢を構築することも求められているはずです。
 

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『シリコンバレーの英語: スタートアップ天国のしくみ
Silicon Valley Buzzwords』ロッシェル・カップ、スティーブン・ガンツ(共著)シリコンバレーの英語: スタートアップ天国のしくみ Silicon Valley Buzzwords』ロッシェル・カップ、スティーブン・ガンツ(共著)
排他的で閉鎖的。世界が注目するシリコンバレーの奇妙な英語とは?!
アップル、グーグル、フェイスブックなどの名だたるインターネット企業が本社を置く場所としても知られ、IT企業の一大拠点となっているシリコンバレー。そんな世界中が注目する場所で生き抜くために必要な100のキーワードを徹底解説。世界で活躍するために最先端の英語を身につけよう。シリコンバレーでエンジニアや ITべンチャーを目指す人はもちろん、世界最先端の企業が集う場所で使われる英語に興味のある人におすすめです。

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