その一言が!乗り越えよう異文化摩擦

エグゼクティブ・コーチング(20): 日本人は完璧に物事を進めようとしすぎるという指摘があります。それが具体的にどのような海外との摩擦になるのでしょうか?


よく、日本人は完璧に物事を進めようとしすぎるという指摘があります。それが具体的にどのような海外との摩擦になるのか教えてください。

このコメントは、実際多くの外国人から聞かされます。
そして、それがいくつかの摩擦の原因になっていることは事実です。
今回はその中で特に「決裁」すなわちディシジョン・メイキングでの摩擦について解説します。また、それ以外のテーマについても、さらに別の機会に触れてゆきます。

私は、よく日本の決裁は、スペースシャトル型であると指摘します。
すなわち、打ち上げまでに、ボルト一つまで完璧に仕上げ、日取りも決めて完璧なまでに準備をしてから打ち上げにのぞみます。
こうした準備を進めるには、反対する人がいないよう、しっかりと根回しを行い、コンセンサスをとってゆかなければなりません。時には細部にわたった問題点の指摘を受けながら、四苦八苦してやっと打ち上げという「決裁」に至ります。

それに対して、欧米型の決裁は、日曜日の家族ドライブです。
家族内で話し合い、意見交換をした上で、例えば日光に行こうということになります。これが「決裁」です。もちろん、目的地に着くまでどのようにドライブして、どこで休憩をとり、ガソリンを補給するかなど細かくは決めません。それは目的地に向かう途上で適宜判断ということになります。そして、目的地に向けて動き出した後で、天候が急変したり、渋滞に引っかかったりすると、予定そのものを変更することもあり得るのです。
そうです、速い段階で決裁をして、試行錯誤の中で、いよいよ最終段階になって、最終戦略に全員が同意して目的を達成しようとするのです。

スペースシャトル型の決裁を良とするビジネス文化の国と、ドライブ型の国とが一緒に仕事をすれば、当然苛立ちや誤解が生まれますね。
ドライブ型の人からみれば、相手がなかなか決裁してくれず、細かい質問や指摘に終始してうんざりさせられます。逆にスペースッシャトル側からみれば、せっかく決裁したのに、そのあとでふらふらして目的地まで変更するドライブ型の人に翻弄され、なんて無責任な連中だと思うかもしれません。

スペースシャトル型の強みは、なんといっても決裁するまでにしっかりと準備ができ、チームワークが完成していることです。しかし、弱点は一度スペースシャトルを打ち上げると引き返したり、方向を変えたりすることは極めて困難で、柔軟性に欠けてしまうことです。
ドライブ型の場合は、そこに柔軟性があり、状況に応じて適宜対応し事を前に進めることが可能な点です。しかし弱点は変更が多くあるため、スケジュール通りに物事が進まなかったりするリスクはあります。しかし、スペースシャトルのように、打ち上げた段階で状況が変わると対応できず、大惨事になるリスクは防ぐことができるのです。

このように「ディシジョン」という言葉一つをとっても、日本と欧米との間には、それに対する極めて大きな解釈の違いがあるのです。
英語を文字の意味だけをとって、お互いに理解したと誤解することのリスクを、このケースは如実に物語っているといえましょう。

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