海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

韓国を取り巻くもの。それは今なお、日本と中国、そしてロシア


【海外ニュース】

Russian Railway Expand North Korean Connection
ロシアの鉄道が北朝鮮へ拡張
(The St. Petersburg Times より)

Park to push Eurasia Initiative discuss North Korea with Putin
朴大統領はプーチンと北朝鮮問題を語り、ユーロアジアでの連携を要請
(The Korea Herald より)

【ニュース解説】

最初のヘッドライン headline は、去る10月10日のロシアの新聞からです。それは北朝鮮の北東端、ロシアに接した羅先 (ナサン) まで、ロシアからの鉄道が整備され、正式に開通したというものです。
ナサンは北朝鮮にあって、外資に開かれた特別区として脚光を浴びる場所。ここで中国とロシアは北朝鮮との将来に向け投資を競っています。ロシア国内には、旧態依然とした共産主義体制に固執する北朝鮮への投資に疑問を抱く人も多くいます。Russian executives had mixed reaction to the experience of investing. (この鉄道への投資に関わったロシア人幹部には複雑なリアクションがあった) と、この新聞でも報道しています。
とはいえ、政治的にみた場合、北朝鮮の経済の牽引役ともなるナサンにくさびを打ちこんでおく利点は充分に理解できます。

そして次は、今月12日の韓国の英字紙の headline で、そこには朴大統領が北朝鮮問題で、ロシアとの連携を強化したいと、韓国を訪れたプーチン大統領にラブコールをおくった様子が報道されています。その中で、なんと彼女は、釜山からロシアへとつながる新たな鉄道ルートを開設しようと呼びかけ、その名前を Silk Road Express と名付けています。

19世紀に極東での権益拡大の牽引役となったシベリア鉄道。更に 20世紀前半に満州鉄道を通して中国東北部へ進出した日本の状況を思い出させる鉄道投資に 21世紀になってこだわるロシアと韓国。ここに、北朝鮮を巡って綱引きをするこれらの国々、そして中国の微妙な思惑が見え隠れします。
特に、ナサンを通してロシアが北朝鮮に進出するとき、韓国が自らのプレゼンスを維持するために、あたかも相乗りの提案をしているかのように見える今回の報道。既に、中国が吉林省からナサンを経由して、中国南部に鉱物資源を運搬するルートを着実に開発しているなか、後追いに焦る韓国、ロシアの利害が一致するかがこれからの焦点になるはずです。

朴大統領は、日本を文字通り無視するかのように、中国、ロシア、ヨーロッパへと訪問外交を展開し、韓国の人にいわせれば外遊ばかりで国内で何をしているのかわからないという批判もある有様です。
竹島と慰安婦問題でこじれた日韓関係の代わりに、中国やロシアとの連携を模索する韓国ですが、ソウルを歩けば日本料理店が今まで以上に目立ち、若い世代はネットカフェでアニメなど日本のポップアートに夢中になっています。
「中国のように、日本が憎ければ日本文化や日系商店まで憎悪の対象とされた現象は韓国ではおきません。日本の食文化やアニメなどを好む人と同じ人が、政治問題になると、日本への厳しい批判に傾くという現象がおきています」
私の長年の友人で、大学で日本のメディア研究などのテーマで教鞭をとるムンさんはそう語り、さらに付け加えます。
「報道が問題をこじらせます。例えば竹島問題や慰安婦の問題での日本への憎悪は昔から韓国に根強くあるもの。政治家は自らの政権基盤を維持したいとき、この問題をクローズアップさせます。一方、最近の原発問題で韓国では日本から輸入する食品などへの警戒感が高まっています。でも、これは単純に日韓双方での情報不足からくる健康不安によるもので、政治問題とは全く無縁。でも、それが日本に伝わるとき、韓国の嫌日として一つのテーマでくくられます。縺れた紐をさらに縺れさせるのです。こうしたことが双方共におきていますね」

いずれにせよ、韓国が日本を外において、北と西に目を向けながら、そこでのパワーバランスをコントロールしようとしていることは事実です。その象徴がこの「鉄道外交」に見えてきます。
韓国は、日本と中国、そして近代ではロシアという3つの大国の確執の中で、独立まで失った国家です。だからこそ、我々をもっと見て欲しい、理解して欲しいという切実な国民意識が彼らにあるのは事実です。それが韓国の文化であり、日本との異文化摩擦 Intercultural friction の原因ともなっています。異文化間の摩擦はどちらかが 100% 悪いということはあり得ません。それぞれが 50% ずつ自らの非を認めながら、未来を建設する方途を模索するのが王道です。しかし、まだそのスタートラインに立つにはかなりの時間がかかりそうに危惧するのは、私一人ではなさそうです。

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