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「おもてなしの精神」

この言葉を英語で説明? 意外と難しいかも。
というのも、ただ日本は「おもてなしの国」などといえば、「なにいってるの。どこの国だって外から来た人をもてなそうとするぜ。うぬぼれんなよ!」ということになってしまうから。

じゃあ、一般的に、人をもてなすことって、どう説明する?
人を「もてなす」というときのキーワードは entertain だよね。または、「おもてなし」という名詞を直訳する場合、hospitality という言葉があてはまる。だから単に「おもてなし」を英語でいうときは、こうした単語を使えば問題は解決。でも「精神」という言葉をいれて説明しようとするとそうはいかない。

日本人的にみたとき、「おもてなしの精神」とは、心がこもっていないとだめだから、例えば、
Omotenashi means to treat or entertain someone sincerely and warmheartedly.
とすれば、結構いけるんじゃないだろうか。
Sincerely とは「心から」という意味だし、warmheartedly とは文字通り「暖かい気持ちで」というわけ。

で、この時に、日本独特の「おもてなしの精神」を説明する前に、是非やっておきたいことがある。
それは、「あなたの国ではどんなおもてなしをする?」と質問をしてみること。そして、それを参考に、日本の「おもてなし」の事例などを説明すれば、よりフェアに日本の「おもてなし文化」を説明できるはず。

例えば、オフィスに訪ねてきた人に、ただお茶を出すことは「おもてなし」ではあっても、「おもてなしの精神」とまではいかないね。欧米では、オフィスに来た人に、Do you want something to drink? と聞いて、水かお茶かコーヒーなど選択してもらうけど、これは日本にはない「おもてなし」。

こうした事例を聞き出した上で、日本流の「おもてなしの精神」を説明するといいのでは。
例えば、
At the core of omotenashi is attentiveness to the needs of others.
といえばどうだろう。
attentiveness とは「思いやり」という意味の言葉。覚えておくと便利だよ。
つまり、「おもてなしの精神」の本質は、他人へのおもいやりにありという論法で、進めようというわけ。

そこで attentiveness の意味するところを更に説明してみよう。
To be attentive means to read the atmosphere, sense the mood, and feel the invisible energy pervading an occasion.

ではどうだろうか。
ちなみに pervade とは「充満する」という意味だから、invisible energy pervading an occasion とは、「その折々に充満する目に見えない雰囲気」ということになる。日本ではこのように、空気を読んで相手の身になっておもてなしができたら理想だと思っていて、それが「おもてなしの精神」なんだと説明するのも一案かな。

日本の文化をうまく説明することは、意外と大変。でも楽しく考えてみよう。これが異文化でのコミュニケーションの面白さなのだから。

では、こうしたことを加味して、「おもてなしの精神」を英語で説明してみよう。構文は簡単。わからない単語があれば、辞書をひいても構わないよ。

Omotenashi means to treat or entertain someone sincerely and warmheartedly, whether that person be a visiting guest, a business contact, or a friend or acquaintance. At the core of omotenashi is attentiveness to the needs of others. To be attentive means to read the atmosphere, sense the mood, and feel the invisible energy pervading an occasion. Ultimately, or ideally, it means not to entertain the guest to achieve some kind of self-satisfaction, but to be quick in perceiving the guest’s needs, desires, and the overall mood, and to entertain the guest accordingly.

次回は「気配り」。「おもてなし」と深い関係があるよね。

では
Have a nice day!!

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