その一言が!乗り越えよう異文化摩擦

エグゼクティブ・コーチング(30): 日本人とアメリカ人とのコミュニケーション文化の違いが、実際に誤解の原因となることがあるのですか?


間接的な表現が多い日本語文化と、直截で明快なコミュニケーションを求めるアメリカ文化との間におきた誤解の物語をここに紹介します。

このエピソードは、ニューヨークでアメリカ人の友人とお酒を飲んだときに、彼が語ってくれたものです。
彼は若い頃に数年間日本で生活をしていました。
そのとき、彼には日本人のガールフレンドがいたのです。
付き合いはじめて1年余り経ったときのことです。
二人はデートをして、ある海岸で夕日を見ていました。

大きな夕日が海へと沈んでゆきます。
それを見ながら、彼はガールフレンドに、「素敵な夕日だね。これからもずっとこんな夕日を君とみることができればいいね」と語りかけました。
それから間もなく、彼女から彼に電話がありました。両親に正式に合ってほしいと。彼女は、私の友人の一言をプロポーズと思い、両親にそれを伝えたのでした。

確かに、状況からみて、彼の一言をプロポーズと捉えた日本人の女性の判断は当然のことということができます。
しかし、彼はそういう間接的な表現によって、重大な話をする日本人のコミュニケーション文化を知らなかったのです。
彼からしてみると、夕日が綺麗だったので、その時の感想を述べたに過ぎないのです。直截な表現で相手に意思を伝えることを常とするアメリカ人のコミュニケーション文化と、物事の核心を間接的に表現することで意思を伝達することに慣れている日本人のコミュニケーション文化とのギャップが産み出した、滑稽とはいえ深刻な誤解だったのです。

日本語は、コンテキストの高い言語とよくいわれます。
つまり、「阿吽の呼吸」という言葉があるように、雰囲気や行間の意味を駆使して、相手に意図を伝える風習が日本人にはあるのです。
それに対して、英語、特にアメリカ人の話す英語は、いうべきことをそのまま表現し、ちゃんと説明をすることによって相手に意思を伝達します。

ですから、もしプロポーズをするなら、「結婚してくれますか」と単刀直入に語りかけるのです。

このエピソードの場合、私の友人も、彼のガールフレンドも、英語で会話をしながらも、それぞれのコミュニケーション文化の常識に従って意思を伝え合っていたわけになります。

英語で海外の人と会話をするときは、このように英語という言語の背景にあるコミュニケーション文化の違いをしっかりと理解する必要があるというわけです。

私の友人はその後、誤解を解くのに大変な苦労をしたということでした。

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『日本人が誤解される100の言動』山久瀬洋二日英対訳
日本人が誤解される100の言動
山久瀬洋二 (著)
IBCパブリッシング刊

国際交流やビジネスで日本を再生するためのヒント。日本人が誤解を受けるメカニズムを徹底的に追求し、最善の解決策を具体的に伝授。

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