タグ別アーカイブ: アメリカの歴史

山久瀬洋二「バードに敬礼」
海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

チャーリー・パーカーの命日にアメリカの伝統を思えば…

【バイオリニストTeddy Brume の回顧録より】

I sat there by myself, tears coming out of my eyes, feeling holy, thinking of the last time I was together with him. It was on 10th Street. We both got stripped naked, and he took the saxophone out—he was so far gone I thought he was going to drop dead. He didn’t know how sick he was…. We were playing together naked. He would have killed me if I didn’t go along with him in his whim.

(葬式のとき)私は涙を流しながらそこに座っていたよ。胸が詰まったよ。奴と最後に一緒だった時を思い出した。あれは 10丁目の路上。奴と一緒に素っ裸になって。あいつはサクソフォーンをとりだした。正気じゃなかった。そのまま死ぬんじゃないかと思ったよ。奴自身、自分がどれだけぼろぼろだったか気付いてはいなかったがね。二人で裸のまま演奏した。もし奴の狂気に付き合わなかったら、きっと殺されていたかもしれないよ。

【解説】

61年前の 3月12日、一人の天才が 34年の短い生涯を閉じました。彼はニューヨークのホテルの一室で、テレビをみながら亡くなりました。
この文章は、Teddy Brume テディ・ ブルームというバイオリニストが、そんな彼と最後に一緒に演奏をしたときの思い出を綴ったものです。
アメリカの音楽史に革命をおこした Charlie Parker チャーリー・パーカーの死は、その 25年後にジョンレノンが暗殺されたときと同じように、大きく報道され、ファンが涙したのです。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

ケネディ大統領暗殺50周年の意味するもの

【海外ニュース】

Forty years after his death, John F. Kennedy and his cruelly abbreviated presidency continue to resist generalization.
(2003年11月22日のニューヨークタイムズ より)

暗殺によって無惨にも中断されたその任期は、ジョン・F・ケネディの評価そのものを今なお困難にしている。

【ニュース解説】

アイルランドを旅すると、ニューヨークのブルックリンブリッジの写真がパブなどの壁にはってあるのを見つけることがあります。
マンハッタン南部は、昔アイルランド系をはじめとする、ヨーロッパ各地から移民が居住する地区として知られていました。そこにかかるブルックリンブリッジの写真は、移民たちが本国に送る格好のイメージだったのです。

そして、アイルランド系移民にとっての自慢は、初めて彼らの子孫として大統領に就任した John F.Kennedy にほかなりません。
アイルランド系移民は、アメリカでは後発の移民で、しかもカトリック系。元々アメリカで幅をきかせていたプロテスタント系の移民にとっては正に差別の対象でした。No Irish Need To Apply (アイルランド系はお断り) という言葉が当時はよく使われていました。これは、仕事の募集などのときに、アイルランド系の人を閉め出したスローガンです。

差別された彼らは、公務員となって社会進出を試みます。アメリカの都市部の警察官や消防士にアイルランド系の人が今でも多いのは、そうした背景によるものです。やがて彼らは数の力で政界に進出します。街の実力者にのし上がるために、彼らはマフィアなどとも連携します。

このあたりの移民同士の壮絶な確執を描いたのが、レオナルド・デカプリオが主演した映画、Gangs of New York だったのです。

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4年ぶりに本音を語ったのか?オバマ大統領の就任演説

【海外ニュース】

It was an expression of a genuinely pluralistic America, the first inaugural address of a new sort of American civil spirituality.(ワシントン・ポスト紙 より)

これは、純粋に多様なアメリカをかたり、アメリカ国民の新たな精神性を語るはじめての就任演説である。

【ニュース解説】

ニールセンの調査によれば、オバマ大統領の2期目の就任演説 Inauguration address をテレビでみた人の数は 2000万人以上。1期目の 3700万人以上という記録的な数字に比べれば少ないものの、2期目の演説としては、かなりの視聴率であったと評価されています。

オバマ大統領の2期目の就任演説は、日本ではあまり報道されませんでした。
しかし、この演説はアメリカの原点に立ち返り、それを未来へとつなげてゆこうというインパクトのある演説でした。正直なところ、話題となった1期目の就任演説より、内容的には彼の抱くビジョンにより踏み込んだ哲学的ともいえる深みのあるものでした。

それだけに、この演説には、アメリカを理解する英語表現が満載で、アメリカでの政治的なテーマや、様々な場所での著名人の演説を理解する上でもとても参考になるスピーチでした。

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ニール・アームストロングの死で終わった一つの時代

【海外ニュース】

Private service Friday in Ohio for Neil Armstrong; President Obama orders flags at half-staff(ワシントンポストより)

ニール・アームストロングの家族葬が金曜日にオハイオで。オバマ大統領は半旗にするように指示

【ニュース解説】

人類最初の月旅行をした元宇宙飛行士ニール・アームストロングが今月25日に他界したことは、日本でも既に報道されています。

ワシントンポストによれば、オハイオ州生まれ The Ohio native のニール・アームストロングは、オハイオ州シンシナチ市で今週金曜日に家族に見送られて埋葬されるとのこと。オバマ大統領は声明を発表 issued a proclamation し、ホワイトハウスをはじめ、軍や海外のアメリカの公館庁を含む全ての政府の建物に掲揚されている星条旗を、弔意を示し半旗 half-staff (half-mastともいいます) にするように指示をだしました。
1969年7月20日にアポロ11号で彼が月に降り立ったとき、That’s one small step for a man, one giant leap for mankind (一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である) と言ったことは、余りにも有名です。ここで使われている leap という単語は、いきなり大きく動いたり跳ねたりすることを指す単語です。

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相次ぐ銃乱射事件: 大統領選挙にも影響を与える銃規制の課題

【海外ニュース】

Gun-Control, Gun-Rights Groups Ready For Renewed Debate After Colorado Shooting
(ABC Channel 7)

銃規制派、銃容認派は共にコロラドでの乱射事件を受けてそれぞれの見解についての論議を再会する準備が整っている模様

【ニュース解説】

コロラド州デンバーの郊外、デンバー国際空港からもそう遠くないオーロラ市の映画館で20日におきた銃乱射事件は、12人が死亡、58人が負傷 (内10人が重体) というアメリカでも最悪の乱射事件となりました。ジェームス・イーガン・ホームズ容疑者 (24) は、神経科学 neuroscience で博士号 doctor degree を目指す、おとなしく優秀な学生だということです。彼はバットマンの新作を上映中の映画館の前方ドアから侵入、屋根に向かって発砲したあと、いきなり後方に歩きながら観客に向け乱射をはじめました。

銃による大量殺人事件 mass murder がおきる度に、アメリカ中で噴出する銃規制 Gun-Control の是非をめぐる議論。そもそも、アメリカでの銃規制はなぜ困難なのでしょうか。実は、このテーマはアメリカの憲法にも関連し、アメリカ人にとっての「人権と自由」という価値観にも関連する重大な問題なのです。まず、この問題を歴史的な側面から検証してみましょう。

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