タグ別アーカイブ: スポーツ選手

海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

家庭内暴力に象徴されるアメリカの法治文化

バレンティン選手が陥った事件の背景

【海外ニュース】

Japan home run leader Balentien arrested in US.
(マイアミヘラルドより)

日本のホームラン王、アメリカで逮捕

【ニュース解説】

まだ、デジタルカメラが普及していない頃のこと、フロリダで、日本人がトラブルに巻き込まれたことがありました。シャワーを浴びたばかりの子供二人と父親が、ベッドでふざけていた様子を妻が写真にとったのです。その写真を現像しようと、写真屋さんにだしたところ、業者が警察に通報し、警察が父親を拘束したのです。極めて円満な夫婦が、子供と遊んでいただけのことでした。
しかし、写真館と警察は、子供に対する性的虐待の可能性があるとして、父親を拘留、母親からも事情をききます。
その後、地元の関係者が聴取をし、両親は子供への接近を禁じられるという深刻なトラブルに発展したのです。
今回のバレンティンの拘束劇の一報に接したとき、私は真っ先にこのケースを思い出しました。

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「世界の心の交差点で」〜コミュニケーションと誤解の背景〜

本田圭佑のミラノでのインタビューが語るもの

「本田圭佑のミラノでのインタビュー、どう思った?」

今日、私のオフィスにやってきたあるアメリカ人に質問しました。
私は、本田が英語には多少間違いはあったものの、堂々と対応したこと、AC Milan へ の敬意を地元の人々の前で語ったことなど、よかった点をまずコメントし、彼の意見を求めました。

すると、彼はいきなりこういいました。

「ねえ。本田がインタビューを受けたぐらいで、日本人はどうしてそんなに騒ぐんだろう。しかも、彼が英語で応対したということで誰もがすごいなっていっている。日本人にとって、海外で英語で喋ることがそんなにすごいことなんて、ちょっとびっくり。これってごく当たり前のことなのに」

思わぬフェイントにちょっと驚いたものの、確かに彼のいいたいことは理解できます。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

楽天田中投手のガッツポーズから見える business とパーソナルの境界線: 野球での一幕に business への教訓が

【海外ニュース】

Marlins, Braves almost brawl over Jose Fernandez’s home run. Braves didn’t like the 21-year-old phenom’s trot around the bases.
(USA Today より)

マーリンズとブレーブズ、ホセ・フェルナンデスのホームランで舌戦。ブレーブズは、21歳の天才が並足でベースを回ったことに憤慨

【ニュース解説】

去る9月11日のこの記事は、同日フロリダ・マーリンズとアトランタ・ブレーブズとの試合中、マーリンズのルーキー、ピッチャーのホセ・フェルナンデス選手が、6回裏にホームランを打ったときにおきた一悶着を報道しています。
彼はキューバからボートピープルとして亡命後、野球の才能を買われ入団します。そしてその日、彼はメジャー初の記念すべきホームランを打ったのです。
ところが、この祝福されるべき快挙をブレーブズの選手は憮然として眺め、本塁ベースに戻ってきたフェルナンデス選手に喧嘩腰で文句をつけました。
ブレーブズのマイク・マイナー投手もそれに加わるや、マーリンズのプレイヤーはこのキューバ出身のルーキーを庇うために駆け寄り、乱闘一歩手前の状況になったのです。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

英語ではない。コミュニケーションこそ世界で生き抜くコツ

【海外ニュース】

Walk-off win for Blue Jays. Munenori Kawasaki was the hero on Sunday afternoon, as his late ninth inning hit won the game 6-5 for the Toronto Blue Jays over the Baltimore Orioles.
(Toronto Star より)

ブルージェイズはサヨナラ勝ち。川崎宗則は日曜日午後の試合で、9回裏のヒットでボルチモアオリオールズに勝ったヒーローとなった

【ニュース解説】

シカゴ、セントルイスでの仕事のあと、今ニューヨークから車でモントリオールにはいっています。 
最近日本でも、大リーグに移籍した川崎宗則選手がトロントで人気を博しているということが話題になっています。カナダにおいて、フランス語圏の最大都市モントリオールと英語圏を代表する都会トロントとはライバル意識も強く、モントリオールでは余りトロントのことを話題にはしません。
しかし、面白いことに川崎人気はこのモントリオールにまで届いてきます。
正直いって、彼の英語はひどいもの。では、なぜ彼はここまで人気者になったのでしょう。
それは、移民文化のダイナミックスの中で躍動するアメリカやカナダの人々の心の琴線にみごとにヒットする、彼のフランクで明るいコミュニケーションスタイルが原因です。

英語ができても、伏し目で曖昧な表現に終始したり、にんまりと笑みを浮かべ怪訝がられたりする多くの日本人に比べて、英語が下手でも堂々と、しかも限られた英語で最大限に自らを表現する彼のパフォーマンスが好感を持たれているのです。トロントだけでなく、シアトルやニューヨークの野球ファンが、川崎をオールスターにとコメントしたり、ニューヨークヤンキースに移籍させろとツイートしたり、ちょっとしたフィーバーです。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

スポーツ選手の人種的発言によるトラブル

【海外ニュース】

Chelsea captain John Terry has been cleared of racially abusing QPR defender Anton Ferdinand – a complicated case that simply comes down to nobody being sure what happened.(BBC)

チェルシーのキャプテン、ジョン・テリーがクイーンズ・パーク・レインジャーズのデフェンダー、アントン・フェルジナンドを人種的発言で侮辱したとされる一件は、一体実際に何が起きたのかはっきりしない混迷を極めた事件として結局有罪とされることなく終了した。

【ニュース解説】

今、オリンピックを前にしたロンドンで話題となっている事件が一段落しました。
それは、名門サッカーチーム、チェルシーのキャプテンをつとめるジョン・テリー John Terry が、クイーンズ・パーク・レインジャーズ Queens Park Rangers に所属する黒人系の選手アントン・フェルジナンドに対して、去年10月23日の試合で人種的な暴言をはいたということで、イギリスサッカー協会からチャンピオンの地位を剥奪された事件です。
その後、警察が事情聴取を行い、ジョン・テリーはその発言をしたという容疑で訴追されました。
しかし、このケース。どこにも確実な証拠はありません。被害者のアントン・フェルジナンドですら、ジョン・テリーが何を言ったか定かでないという始末。証拠として提出されたのは、試合のビデオから読唇術 lip reading によって読み取られた言葉だけだったのです。
結果は、被告人は証拠不十分により無罪。
口の動きから専門家が読み取ったとされるのは “fucking black cunt”。「黒人のゲス野郎」という意味の、確かに下品な表現です。
実際、警察がテリーに事情聴取をはじめ、ビデオが広く放映されると、その口の動きから本当は何を言ったのかと、多くの憶測が全英に広がりました。

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