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日本人の美徳を世界に生かすためのdialectical approachのすすめ

“Dielectrics decision method helps to overcome such problems as converging too quickly one solution while overlooking others, participants dislike of meetings, incomplete evaluations, and the failure to confront tough issues. “

(弁証法的決済方法は、参加者が会議の内容に合意せず、評価が十分でなく、大きな課題に直面しかねないような状況を、一つの解決方法に時間をかけずに導くための有効な手段である。)
APA Styls より

6月26日の記事で、演繹法的 deductiveな文化と帰納法的 inductiveな文化との相違が現代社会にどう影響を与えているかを、歴史的発想法などを紹介しながら考え、アジア型発想法が、ITやAI社会に思わぬ利益を与えるのではないかということについても触れてみました。今回はこの思考をさらに掘り下げます。
 
哲学的発想には、上記の発想の他に弁証法 dialecticというものがあります。この dialectical approach(弁証法的アプローチ) について触れたいのです。Dialectical approachとは、ヨーロッパに伝統的にあった考え方で、ヘーゲルやマルクス、キルケゴールといった様々な哲学者や思想家が発展的に解釈し採用した思考方法です。
 
簡単なことなのです。一つの考え方を甲とし、別の考え方を乙とします。この甲と乙とが対立をしているとき、それについて思考し、話し合い、より高い段階の発想を生み出そうというのが dialectical approach の基本的プロセスです。それを様々な哲学者が独自に考え、思考や分析の方法を発展させてきたのです。
 
この発想がビジネス上最も活かされるのがブレーンストームという会議形式です。つまり、アイディアをテーブルの上に出して、それぞれの違いについて議論しながら、より高い発想を導き出すというのが、ブレーンストームの形式です。
 
しかし、そこには二つの課題があります。
 
一つは対立した意見から、ビジネス的なアクションプランを引き出す導き手、すなわちファシリテータがそこには必要であることです。異文化間での議論では特にそれが必要です。
 
そして、もう一つが、日本をはじめアジアの多くの国の文化が、このブレーンストームで必要なコミュニケーションスキルであるディベート debateに馴染まないのです。多くの日本人は、英語はできてもディベートは苦手です。そのために自らの意見を提供できず、相手に押し切られたまま、弁証法的アプローチに貢献できないのです。ですから、異文化環境のやりとりでは、それをよく理解したファシリテーターが特に必要というわけです。
 
では、日本人はまったくこうした発想に寄与し、貢献することは不可能なのかといえば、そうではありません。
 
日本人は帰納型の文化で育ってきたことを前にお話ししました。帰納型の文化の特徴は、discount approachにあります。過去や現状を検証し、様々な背景や各論でのリスクを見つけて潰すことで、まず発想をdiscountします。その上で次第に物事を前に進めます。それは、時間はかかるものの実に堅実な方法です。
 
対して、欧米型は逆の演繹型の発想をとりますから、ブレーンストームの時点ではこうした検証はあまり行わず、大前提の計画やルール、そして契約を決め、そこからリスクへのアプローチにはいります。
 
このメカニズムの相違を知れば、日本人は海外に対して自分が思っている以上に貢献でき、かつ日本の企業力そのものの体力強化にも役立つはずです。
 
日本や中国など極東には「沈思黙考」を美徳とする価値観が存在します。
 
大脳生理学的にいうならば、大脳の記憶を司る「海馬」を使って過去の記憶を見つめ、大前提となる発想をdiscountした上で前に進みます。逆に欧米では、アイディアに対して point addition approach、つまり加点しながら未来に活かすシステムに従って議論します。そして演繹法特有のルールと前提をまずこしらえ、詳細にはいります。日本人からみれば、それは成り行き任せの発想に思えます。
 
実際にグローバルなビジネスでは、海外が先に決済し、日本が周到な準備と根回しをしている間に取り残されたり、日本がやっと動き出したときに、海外で思わぬリスクによって方針が転換され、日本側が戸惑ったりという行き違いが頻発しています。海外からみれば日本人はそうした変化に柔軟ではなく、日本人からみれば海外の人は手前勝手で無責任に映るのです。
 
これを解決するためには、discount approach と point addition approachとの対立こそを弁証法 dialectical approachで解消すればいいのです。
 
まず、伝統的な沈思黙考を奨励しましょう。そして、そこで生まれた課題やリスクを、解決への資料として提出します。この資料を海外からみると examples、つまり「もしアクションを起こすことを怠ったり、準備不足だったりしたときに起きる事例」として理解されるように努めることが大切です。
 
そのためには時間差も必要です。日本は、早い段階で会議のアジェンダや語られることへの課題を想定して、まず各々が沈思黙考の美徳をもって準備します。
 
沈思黙考とは、単に黙って考え込むことではありません。自分に対して言葉で語りかけ、自分の内部でしっかりとブレーンストームを繰り返し、より高い発想へとそれを独自に育ててゆく、従来日本にあった発想法を思い出すことが大切です。独り言を繰り返し、発想を磨くメソッドを身につけるのです。
 
次に、そうした発想を持ち寄り会議を運営するグループを蘇生し、日本人だけで議論を重ね、日本人が得意とするグループでのスタンスを決めておくのです。
 
国際会議では最初に小グループでの会議を提案します。小グループの会議ののちに、大グループにそれを持ち寄って議論する段取りを組むのです。日本人の持ち寄った発想を大グループでのブレーンストームに飲み込まれ消滅させないために、これは必須です。小グループには英語でのプレゼンテーションの得意な人(外国の人かもしれません)が必ずいるはずで、その人に大グループでのプレゼンテーションを託すのも一案です。
 
日本人特有の discount approachは、今までネガティブで意図不明なものと誤解されてきました。しかし、グローバルでの合意なしには物事が前に進めない社会に進化した現在、日本人の discount approach、そして帰納型 inductive approachはむしろ世界をリードする重要なアプローチとなるはずです。
 
この異文化でのコミュニケーションのプロセスをもって、deductive cultureの人と、inductive cultureの人とが語り合いdialectical approachに従って、より強固な結論を導き出すのです。この方法こそが cultural synergy effect (異文化でのシナジー効果)を導き出すのです。
 
明治時代以来、第二次世界大戦で敗戦して以来、日本人は欧米に物事を学ばなければというコンプレックスに苛まれました。そして今、英語教育においても、日本流の英語教育が失敗だと批判されています。確かに日本流の文法読解中心の英語教育では国際舞台には通用しません。しかし、日本人が従来持っていた帰納型発想とdiscount approachは今後の世界戦略への強い武器になるはずです。
 
そのことを理解し、英語でのコミュニケーションの方法をそれに合わせて変化させてゆく教育、発想法が今求められているに過ぎないのです。
 

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英語力だけじゃない、世界に通用するスキルを身につけるなら

『日本人がグローバルビジネスで成功するためのヒント Tips for How to Succeed in a Global Business Context』ジョン・K・ギレスピー (著)、小野寺粛 (訳)日本人がグローバルビジネスで成功するためのヒント Tips for How to Succeed in a Global Business Context
ジョン・K・ギレスピー (著)、小野寺粛 (訳)
グローバルビジネスのスキルを学びながら、英語学習にもなる。ビジネスパーソンのための対訳読み物。
20年間で、海外の日系企業の5000人を超えるビジネスパーソンと面談を行ってきた著者が教える、「日本人のためのグローバルビジネスで成功するためのヒント」。日本人以外の人々とのコミュニケーションやビジネスに対する見方を説明しながら、日本人の問題点を指摘し、その解決方法を伝授。グローバルに成功したいビジネスパーソンのみなさんに、英語力よりももっとはるかに大事なことをお教えします。

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ノンバーバル「非言語」と異文化の誤解について理解しよう

“Non-Japanese people want to create meaningful relationships,
but they cannot do so if you do not help them.”

(日本人だけではなく、我々も意義ある人間関係を造ろうとしているんだけど、色々と教えてくれないと無理なのです)
これはある外国人の日本人へのコメントです。

異文化の罠につかまると、善意が誤解の連鎖に変わってしまう

仕事で海外の人と一緒に活動するとき、「なんでこんな反応をするんだろう」と、外国人に対して不信感をいだいたことはありませんか?
実は、その原因の一つは日本人側にあることに気づいていない人が意外と多くいるのです。
もちろん外国の人は意義ある人間関係を構築しようとしています。
しかし、日本人が助力しないかぎりその達成は不可能というわけです。
英語ができるということと、外国人とうまくコミュニケーションができ、ビジネスができるということは、必ずしも一致しないのです。
その言語の、相手に合った使いかた、そして言語の他に必要なコミュニケーションの方法を知らない限り、海外の人とうまくビジネスをすることはできないのです。

相手に合った言語の使い方とは、

1) 聞き方と喋り方、あるいは書き方
2) 相手の頭の中に入るような情報の出し方
3) プレゼンテーションやフィードバックのノウハウ

などを意味します。

そして、ここで言葉以外のもの、つまりNon-Verbal(非言語)とは何かについて考えてみましょう。

非言語とは、

1) ジェスチャーや表情
2) 言いたいことの表明の仕方
3) 相手とのやりとりのテクニック

のことです。

まず、言語以外のコミュニケーションについて触れてみます。1)ジェスチャーや表情とは、正に文字通り、どのような手振り身振りをすれば相手に自分の言いたいことが伝わりやすくなるのかであり、笑みや深刻な顔を使い分けることによって相手との言葉のキャッチボールを少しでもスムーズにすることを意味します。
2)言いたいことの表明の仕方とは、いつどのような形で自らの主張を切り出し、合意を求めるかという、プレゼンテーションのテクニックです。
3)相手とのやりとりのテクニックとは、相手にどういう方法でメッセージを伝えるか、わからないことをどのようなタイミングで質問するかという、相手とのコミュニケーションを促進する上での目に見えないノウハウです。
 
この3つの要素をしっかりと理解した場合、たとえ語彙力などが充分でない人でも、相手との信頼関係を構築でき、ビジネスでの交渉も、英語が上手くてもこれらの要素を満たしていない人よりも上手く進めることができるのです。もし、聞き取り能力が不安な人でも、その不安をかなり解消することができるのです。
 
そして、こうしたノウハウの習得のためには、まず「異文化」とは何かということを理解することからはじめなければなりません。

常識や判断が通じない異文化環境について理解しよう

まず、以下のコメントについて考えましょう。

Japanese people are used to living in a monoculture. This has deprived them of the need to explain individual differences in thought in order to understand each other.

(日本人は、単一文化の中で生活することに慣れてきました。これは、人と人とが意見の違いがあるときに、それをちゃんと説明しお互いに理解する必要性を疎外してきたのです)
 
これは、多くの外国人が日本人に対して指摘していることです。
この言葉は、グローバルな環境では、日本人がついつい言外に意味を含ませて相手に伝えようとする「阿吽(あうん)の呼吸」での意思疎通は通用せず、いかにしっかりと言いたいことの内容を説明することが大切かということを意味しています。そして彼らはこう説明します。

In this multicultural community called earth there is no value in vagueness as individuals from various backgrounds seek business and social opportunities together.

(この地球という多様な文化が共存する社会では、様々な文化背景をもった人々が一緒にビジネスやお互いの社会的な利益を追求するとき、曖昧模糊とした表現は通用しないのです)
 
まず知っておきたいことは、異文化環境では、今まで自分が正しいと思ってきた常識や判断が通用せず、時には裏目に出ることもあるということです。それが、「異文化」という環境の特徴なのです。
しかも、自らの常識に従った行動は、あまりにも日常的なことなので、多くの場合無意識になされ、それが故にまさか相手が全く異なった受け取り方をしているということにも気づくことなく、誤解が深刻になっていく可能性があることを知っておく必要があります。
これが異文化間のコミュニケーションで発生する悪循環なのです。

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