タグ別アーカイブ: 公民権

山久瀬洋二「バードに敬礼」
海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

チャーリー・パーカーの命日にアメリカの伝統を思えば…

【バイオリニストTeddy Brume の回顧録より】

I sat there by myself, tears coming out of my eyes, feeling holy, thinking of the last time I was together with him. It was on 10th Street. We both got stripped naked, and he took the saxophone out—he was so far gone I thought he was going to drop dead. He didn’t know how sick he was…. We were playing together naked. He would have killed me if I didn’t go along with him in his whim.

(葬式のとき)私は涙を流しながらそこに座っていたよ。胸が詰まったよ。奴と最後に一緒だった時を思い出した。あれは 10丁目の路上。奴と一緒に素っ裸になって。あいつはサクソフォーンをとりだした。正気じゃなかった。そのまま死ぬんじゃないかと思ったよ。奴自身、自分がどれだけぼろぼろだったか気付いてはいなかったがね。二人で裸のまま演奏した。もし奴の狂気に付き合わなかったら、きっと殺されていたかもしれないよ。

【解説】

61年前の 3月12日、一人の天才が 34年の短い生涯を閉じました。彼はニューヨークのホテルの一室で、テレビをみながら亡くなりました。
この文章は、Teddy Brume テディ・ ブルームというバイオリニストが、そんな彼と最後に一緒に演奏をしたときの思い出を綴ったものです。
アメリカの音楽史に革命をおこした Charlie Parker チャーリー・パーカーの死は、その 25年後にジョンレノンが暗殺されたときと同じように、大きく報道され、ファンが涙したのです。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

ミズーリの「長い暑い夏」が語ること

【海外ニュース】

Michael Brown‘s funeral: Hope, tears and a call for social change.
(CNNより)

マイケル・ブラウンの葬儀、希望と涙、そして社会変革への声の中で

【ニュース解説】

8月25日、アメリカでは国中がある葬儀に注目していました。
去る8月9日、アメリカの中西部、ミズーリ州で、マイケル・ブラウン Michael Brown という18歳の黒人少年が、白人の警察官に射殺されたのです。

事件発覚当初、地元の警察は狙撃した警察官の名前を秘匿し、狙撃が正当であったことを主張しました。しかし、被害者が丸腰であったこともあり、警察の行為は、黒人への差別だと人々は憤慨します。
やがて、抗議の群衆は暴徒化し、混沌 turmoil が世界に報道されたのです。
ジェイ・ニクソン Jay Nixon 州知事は、非常事態宣言を発令し、警官隊を導入して鎮圧に臨みますが、それが人々の怒りに油を注ぐことになりました。

実際に事件は、当初の発表のように、警察官が正当な行為として発砲したのか、それとも無抵抗の被害者を射殺したのかはっきりしません。FBIも調査に乗り出し、司法解剖を行い、少なくとも、被害者は6発の銃弾を被弾し、そのうち2発は頭部に命中したことが明らかになりました。このことから、どのような状況であれ、警察の行為は過剰だったのではと世論は傾きます。

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「世界の心の交差点で」〜コミュニケーションと誤解の背景〜

西海岸からみた歴史認識

過去にその国がしたことに、今の人が責任があるかどうか。それは日本を取り巻く国々との摩擦をみたときに、いつも考えさせられる課題です。
最近アメリカで、台湾出身の陳さんという友人と、この点について話したことがあります。陳さんはアメリカ西海岸に長く住み、いわゆるグローバルな企業に勤務している人で、その見方は私よりはるかにドライでした。
私は、以前ある中国で現地の人が、私が日本人だとわかった瞬間に反日感情を露にした経験を語ったのです。
陳さんいわく。

「ねえ。だってさあ。君は戦争の時、生まれていなかったんだろ。どうして君がその責任を感じなければならないんだい?」

彼はビールを飲みながら、そして笑いながら私にそう言いました。

「だって、考えてもみてよ。僕は台湾生まれだよ。親父は戦争経験があって、あまり日本のことをよく思ってはいない。それは彼らの世代さ。しかも、我々は誰だってどこに生まれるかなんて選択できない。だから、手の届かない過去のことで、君が何か言われるのは筋違いだよ。それって、下手すると公民権法にも関わることじゃない?」

公民権法は、アメリカにあって、人をその人の変えることのできない背景をもって差別してはいけないという法律です。例えば、人種、国籍、肌の色、宗教的背景などなどがそれにあたります。

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ワシントン大行進から50周年、あの名演説は未だ夢か

【海外ニュース】

Marching for King’s dream: ‘The task is not done’
(WSFAモンゴメリーより)

キング牧師の夢への行進「いまだミッションは完結せず」

【ニュース解説】

今年は、アメリカの歴史にとって大きな節目の年です。
1963年8月28日に、ワシントンDC のリンカーン記念館 Lincoln Memorial の前に集まった20万人の群衆に向け、キング牧師 Martin Luther King, Jr. が行った名演説から50年にあたる年なのです。
この50周年記念にあたっては、オバマ大統領もスピーチを行い、キング牧師のスピーチを行った場所には当時と同じように、人々が集まります。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

4年ぶりに本音を語ったのか?オバマ大統領の就任演説

【海外ニュース】

It was an expression of a genuinely pluralistic America, the first inaugural address of a new sort of American civil spirituality.(ワシントン・ポスト紙 より)

これは、純粋に多様なアメリカをかたり、アメリカ国民の新たな精神性を語るはじめての就任演説である。

【ニュース解説】

ニールセンの調査によれば、オバマ大統領の2期目の就任演説 Inauguration address をテレビでみた人の数は 2000万人以上。1期目の 3700万人以上という記録的な数字に比べれば少ないものの、2期目の演説としては、かなりの視聴率であったと評価されています。

オバマ大統領の2期目の就任演説は、日本ではあまり報道されませんでした。
しかし、この演説はアメリカの原点に立ち返り、それを未来へとつなげてゆこうというインパクトのある演説でした。正直なところ、話題となった1期目の就任演説より、内容的には彼の抱くビジョンにより踏み込んだ哲学的ともいえる深みのあるものでした。

それだけに、この演説には、アメリカを理解する英語表現が満載で、アメリカでの政治的なテーマや、様々な場所での著名人の演説を理解する上でもとても参考になるスピーチでした。

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