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ノンバーバル「非言語」と異文化の誤解について理解しよう

“Non-Japanese people want to create meaningful relationships,
but they cannot do so if you do not help them.”

(日本人だけではなく、我々も意義ある人間関係を造ろうとしているんだけど、色々と教えてくれないと無理なのです)
これはある外国人の日本人へのコメントです。

異文化の罠につかまると、善意が誤解の連鎖に変わってしまう

仕事で海外の人と一緒に活動するとき、「なんでこんな反応をするんだろう」と、外国人に対して不信感をいだいたことはありませんか?
実は、その原因の一つは日本人側にあることに気づいていない人が意外と多くいるのです。
もちろん外国の人は意義ある人間関係を構築しようとしています。
しかし、日本人が助力しないかぎりその達成は不可能というわけです。
英語ができるということと、外国人とうまくコミュニケーションができ、ビジネスができるということは、必ずしも一致しないのです。
その言語の、相手に合った使いかた、そして言語の他に必要なコミュニケーションの方法を知らない限り、海外の人とうまくビジネスをすることはできないのです。

相手に合った言語の使い方とは、

1) 聞き方と喋り方、あるいは書き方
2) 相手の頭の中に入るような情報の出し方
3) プレゼンテーションやフィードバックのノウハウ

などを意味します。

そして、ここで言葉以外のもの、つまりNon-Verbal(非言語)とは何かについて考えてみましょう。

非言語とは、

1) ジェスチャーや表情
2) 言いたいことの表明の仕方
3) 相手とのやりとりのテクニック

のことです。

まず、言語以外のコミュニケーションについて触れてみます。1)ジェスチャーや表情とは、正に文字通り、どのような手振り身振りをすれば相手に自分の言いたいことが伝わりやすくなるのかであり、笑みや深刻な顔を使い分けることによって相手との言葉のキャッチボールを少しでもスムーズにすることを意味します。
2)言いたいことの表明の仕方とは、いつどのような形で自らの主張を切り出し、合意を求めるかという、プレゼンテーションのテクニックです。
3)相手とのやりとりのテクニックとは、相手にどういう方法でメッセージを伝えるか、わからないことをどのようなタイミングで質問するかという、相手とのコミュニケーションを促進する上での目に見えないノウハウです。
 
この3つの要素をしっかりと理解した場合、たとえ語彙力などが充分でない人でも、相手との信頼関係を構築でき、ビジネスでの交渉も、英語が上手くてもこれらの要素を満たしていない人よりも上手く進めることができるのです。もし、聞き取り能力が不安な人でも、その不安をかなり解消することができるのです。
 
そして、こうしたノウハウの習得のためには、まず「異文化」とは何かということを理解することからはじめなければなりません。

常識や判断が通じない異文化環境について理解しよう

まず、以下のコメントについて考えましょう。

Japanese people are used to living in a monoculture. This has deprived them of the need to explain individual differences in thought in order to understand each other.

(日本人は、単一文化の中で生活することに慣れてきました。これは、人と人とが意見の違いがあるときに、それをちゃんと説明しお互いに理解する必要性を疎外してきたのです)
 
これは、多くの外国人が日本人に対して指摘していることです。
この言葉は、グローバルな環境では、日本人がついつい言外に意味を含ませて相手に伝えようとする「阿吽(あうん)の呼吸」での意思疎通は通用せず、いかにしっかりと言いたいことの内容を説明することが大切かということを意味しています。そして彼らはこう説明します。

In this multicultural community called earth there is no value in vagueness as individuals from various backgrounds seek business and social opportunities together.

(この地球という多様な文化が共存する社会では、様々な文化背景をもった人々が一緒にビジネスやお互いの社会的な利益を追求するとき、曖昧模糊とした表現は通用しないのです)
 
まず知っておきたいことは、異文化環境では、今まで自分が正しいと思ってきた常識や判断が通用せず、時には裏目に出ることもあるということです。それが、「異文化」という環境の特徴なのです。
しかも、自らの常識に従った行動は、あまりにも日常的なことなので、多くの場合無意識になされ、それが故にまさか相手が全く異なった受け取り方をしているということにも気づくことなく、誤解が深刻になっていく可能性があることを知っておく必要があります。
これが異文化間のコミュニケーションで発生する悪循環なのです。

* * *

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ネイチャーの警告は、日本の教育のあり方への苦言

” Japan’s status as a science superstar is vulnerable. Nature Index 2017 Japan reveals that although the country is still among the upper echelons of global research, its output has continued to slide.”
(日本の科学分野での優位が危機に直面している。ネイチャーインデックス2017をみると、日本が今でも世界のリサーチレベルでの上位にあるものの、その発表量は常に減少傾向にあることがわかる)
Nature Index より


日本の教育のあり方

このヘッドラインは科学雑誌で有名なネイチャー(Nature)が発行する ”nature INDEX” の日本についてのヘッドラインです。
実は、日本の競争力の基盤となる「科学技術」や「リサーチ能力」の衰微が、現在深刻な問題にさらされているのです。
nature INDEX は、世界での優秀な論文の発表数を詳細にまとめて公表しています。それによると、日本からの科学研究成果の発表数がこのところ他の先進国と比較しても減少傾向にあるのです。
この原因をじっくりみるとき、我々は「教育のあり方」そのものを見つめ直す必要性に迫られていることに気付かされます。

つい先日、長崎の大学で講義をすることがありました。
講義の冒頭、学生にテーマを与えました。「海外の人に日本を紹介するとき、どのように日本のことを伝えますか?」というのがその内容です。
すると出席した70名のうち、95%の人から日本は「安全」「清潔」「食事が美味しい」「美しい四季がある」「便利」のいずれか、そして日本人は「親切」「丁寧」であるというコメントがかえってきました。
さらに、ほとんどの人が、日本人には「おもてなし」の精神があるといっていました。

さて、この回答と、Natureでの指摘とは、どのようにリンクしているのでしょうか。

日本の教育現場での課題

まず、彼らがどうしてこのように回答したかを考えましょう。
彼らに問いかけてみると、多くの場合高校教育の過程で同じようなテーマで討議を盛り込んだ、いわゆる「アクティブ・ラーニング」を経験しているのです。
また、日本での報道からの影響も大きく、多くの外国人がそうコメントしているという理由も伺えました。

では、仮に外国から来た人が、日本をみてそのようにコメントしているからといって、それを日本人がこうしたことを海外に向けて逆に表明することがよいことなのかを考えてみましょう。
きっと多くの外国人は、「え、どういうこと?」と思うはずです。多くの国の人は思います。「我々にだって美しい四季はあるよ」「それって、われわれは清潔でないってこと?」「我々はまずいものばかり食べているの?」「そうかなあ、我々は親切ではなく、雑なんだ」と思うかもしれません。

彼らのコメントには、相手の身になってものごとを考え、そのデリカシーをもって日本を紹介するという、ちょっとした意識の変換への知恵が欠如しているのです。また、海外のことを知らないままに、日本に向けて語られた報道のみを受け売りにしていることも忘れてはなりません。
さらに課題は、そうしたコメントを学校の教育現場でも支持してきたことです。テレビ等での海外の人の外交的なコメントの報道について、それを検証したり、考えたりすることを教育現場で奨励していないことにも大きな課題があります。

教育現場が生み出した負の遺産

科学的な発想力の根源はといえば、「常識を疑う心」です。これが想像力を育み、人類の進歩をもたらします。引力の発見、地球が球体であることや太陽系の一員であることの認識など、すべてはそれ以前の常識にメスをいれることから、それらの発見がはじまりました。
日本の教育は、覚えること、暗記すること、さらに試験に合格するノウハウを磨くことという技術に特化し、先生のいうことにWhy?という質問を投げかけること自体をタブーにしてきたのです。
ですから、報道されていること、教科書に書かれていることを丸のみにし、模範回答をする子供が優秀とされ、それにWhy?と切り込み個性をみせる子供は異端とされてしまいがちです。親も子供に学校の方針に合わせることが無難だという教育を行います。その結果、親と教師が一緒になって子供の能力を摘み取っているケースが数知れずあるはずです。
「日本を海外の人にどのように紹介するか」というテーマを与えたとき、正に模範解答のようにここで紹介した内容のコメントで埋め尽くされた事実は、このWhy?という能力を磨くことを怠っている教育現場が生み出した負の遺産なのです。

批判する目を養う意識が欠如しながら、報道や国のいうこと、あるいは権威があるといわれる人のいうことを鵜呑みにして、判で押したような回答をする子供が増えているのです。その結果、海外の人と柔軟にコミュニケーションのできない人材が日本を埋め尽くすことになりかねません。政治上、あるいは国際関係の上では一応うまくいっているようにみえても、実際は精神的に世界から孤立した人が増え続けるのではという危惧を抱くのです。

本当に大切なのは英語 ”+α” の力

よく、日本人は自らの国を島国で、だからこそユニークだといいます。
世界に島国は数え切れないほどあり、それぞれがユニークな文化を持っているにもかかわらず、日本人は自分のことを特殊扱いしがちです。その意識が歪んだ優越感へと退化した結果、こうした判で押したような日本礼賛のコメントがでてくるのです。
こうしてみると、ネイチャーの記事が指摘する、日本人による優秀な論文や科学的発表の機会の減少は、単に英語力だけの問題ではないことがわかります。英語力は大切ですが、英語を使いどのように人とコミュニケーションをし、Why?という疑問をぶつけ合いながら切磋琢磨できるのかという点こそが大切なのです。これは日本の教育現場全体に投げかけられる課題なのです。
英語教育の改革の現場で、4技能の育成がとやかくいわれています。しかし、ここに指摘した課題を踏まえずに改革を実施した場合、それは新たな「受験技術」を磨くための教育がはじまったに過ぎないことになります。

英語教育をどのように変えてゆくかを見据えることと、Natureの指摘する危惧をどのように克服するかというテーマとは同次元の深刻な課題なのです。

今、日本では教育者自身の意識改革こそが問われているのです。


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  • おもてなしの精神
  • 英語教育について思うこと・目次へ
  • 『日英対訳 アメリカQ&A』山久瀬洋二日英対訳 アメリカQ&A
    山久瀬洋二 (著)
    IBCパブリッシング刊

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