タグ別アーカイブ: 政治と宗教

山久瀬洋二「偏見が風評をささやいて」
海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

英語の語源からみる大統領選挙で煽られる宗教と民族の根強い対立

【海外ニュース】

Pope Francis said Trump is not Christian if he wants to build a wall along the US-Mexico border. Trump shot back that the pontiff’s comments were “disgraceful”.
(CNNより)

法王フランシスは、アメリカとメキシコとの国境に壁を作るというなら、トランプはキリスト教徒ではないと批判。トランプは法王の発言は恥ずべきことだとやり返す。

【ニュース解説】

英語に Barbarous という言葉があります。「野蛮な」とか「文化的でない」といったことを意味する形容詞です。この言葉のルーツを探ります。
14世紀ごろから 16世紀にかけて、地中海世界はイスラム教勢力とキリスト教勢力との覇権をめぐる戦場となりました。
スペインでは、元々イスラム教が支配していた地域に、ローマカトリックに後押しされた人々が侵入し、最終的に彼らを地中海の南岸へと押しやります。逆に、東の方ではオスマントルコが勢力を拡大し、1453年には現在のイスタンブールを拠点としていた東ローマ帝国を滅ぼして、さらにヨーロッパ世界に迫ろうとしていました。

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「平和なホリデイシーズン」山久瀬洋二・画
海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

たかが「Merry Christmas」と言い切れないトランプ発言の真意とは

【海外ニュース】

Donald Trump’s “Merry Christmas” has nothing do with Christmas. It’s his way of insisting that America is an English-speaking, Christianist nation.
(New Republic より)

ドナルド・トランプのメリークリスマス発言は、クリスマスそのものとは関係なく、アメリカは英語を話すクリスチャンの国だという主張を、彼ならではの方法で代弁したものなのだ。

【ニュース解説】

共和党の大統領候補の一人、ドナルド・トランプはアメリカ政治の台風の目です。メキシコ移民への差別発言ともとれる毒舌にはじまり、歯に衣着せぬ「本音」の表明が逆に彼への支持を持ち上げ、彼は今や共和党の大統領候補の中でも有力候補となってしまいました。
保守どころか、「クレージーな右翼」と、彼のことを批判する人が多い中、公では口にできないデリケートな事柄をずけずけと喋ることが、むしろ多くの心の人の中に共感をよんだのでしょう。

そんな彼が、私が大統領になったら Merry Christmas というよ。Happy Holidays という人がいても構わないが、私は必ず Merry Christmas というさと、メディアのインタビューに答えてまたもや物議を醸しています。この意味する所は、ある意味でアメリカのみならず、現代社会を象徴した皮肉なのです。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

オバマ大統領の失言と世界の複雑な過去

【海外ニュース】

“Polish” death camps. Mind your language.
(エコノミストより)

「ポーランドの死の強制収容所」言葉に注意

【ニュース解説】

この小さな見出しの意味するところ。それはいかに世界が複雑な過去を背負っているかということ。この記事、オバマ大統領の失言についての記事なのです。
第二次世界大戦中、ポーランドはナチスドイツの占領下にありました。そこには昔から多くのユダヤ系の人々が居住していました。結果として、ヒットラーはポーランド国内に強制収容所を造り、大量虐殺をはじめたのです。「シンドラーのリスト」など、それをテーマにした映画、小説は数えきれません。ポーランドには、前の法王ヨハネパウロ2世がポーランド生まれだったことからもおわかりのように、カトリック教徒も多く住んでいます。中にはユダヤ系市民に偏見を持つ者も多く、実際に根強い差別もありました。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

アンドリュー・サリバン氏の語るキリスト教観とアメリカの政治

【海外ニュース】

Christianity has been destroyed by politics, priests, and get-rich evangelists. Ignore them, writes Andrew Sullivan, and embrace Him.(Newsweek より)

キリスト教は政治家や聖職者そして金をもった伝道師によって破壊されている。そんなものについてゆくな。アンドリュー・サリバンはそう書いて神を称える。

【ニュース解説】

イギリス生まれで、84年からアメリカに移住し、ワシントンDCでコラムニストとして活躍するアンドリュー・サリバン氏が、最近メディアで今日のキリスト教のありかたを、こきおろして話題になっています。
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