タグ別アーカイブ: 日中関係

「ポピュリズムに注意喚起」
海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

外交戦略を対人関係の心理をもって分析すると

【海外ニュース】

Voters gave Tsai Ing-wen and her Democratic Progressive Party, which is skeptical of a closer relationship with China, control of Taiwan’s legislature for the first time.
(New York Timesより)

有権者は、中国との関係強化に懐疑的な蔡英文と彼女の率いる民進党が台湾議会を初めて支配することを選択

【ニュース解説】

人類始まって以来、世界の国々は外交によって繋がってきました。
外交が行き詰れば戦争になり、侵略され、経済的にも大きな影響を被ります。
日本は地勢的に、昔から中国や韓国との外交を軸にしてきました。そして、戦後は対米外交を軸に、こうした周辺諸国にも対応してきました。

今回は、台湾に蔡英文政権ができたことを踏まえながら、日本の外交について考えてみたいと思います。
蔡英文政権は、台湾を独立した国家として維持し、中国とは一定の距離をもって接してゆこうとしています。ただ、この本音をあからさまにしてしまえば、2つの国家の存在を認めない中国の強い反発を招くことは必至です。そんな台湾の新政権は親日政権だとマスコミは伝えます。実際、蔡英文氏は知日家として知られ、日本との政治、経済交流の促進を望んでいることは周知の事実です。

外交は対人関係の確執に似ています。AさんとBさんが親しくなれば、Cさんが嫉妬する。嫉妬心の裏返しとして、CさんはAさんかBさんに、あるいは双方に接近して、その存在をアピールしたり、二人の仲に割り込もうとしたり。国家間の関係とこうした実に単純な人間模様を重ねてみると、外交戦略のパズルを解くための思わぬヒントが生まれるというわけです。

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「世界の心の交差点で」〜コミュニケーションと誤解の背景〜

日韓関係などにみる:各論の応酬が、負のスパイラルを加速させる

「おい、先週、なんで人の前で俺の顔を潰すような発言をしたんだ」

「何だって?あの時俺のことを蔑むように笑ったのはあんたじゃないか。だから僕は戸惑ったんだ。そもそも君がいけなかったんだ」

「蔑むって?だって、君だって僕を無視するように自分のことばかり喋っていたじゃないか」

「そりゃ、あんたの対応が本気なように思えなかったから、お客にちゃんと対応しようとして色々喋ったんだ。だって先月の顧客との会合だって、ドタキャンしたじゃないか」

「そんな言い方はないよ。無責任な言い方だ。そもそも、あれはドタキャンではない。あんたがいかにも来て欲しくなさそうなので、遠慮しただけだ」

「そんな風に人を信用していないお前こそ、無責任なもんだ」

「あんたこそ。そもそもそんなに俺の事が嫌いなら、俺と仕事なんてしなければいいじゃないか」

「ばかばかしい、私情を仕事に交えて話をするなんて、子供っぽすぎる」

「子供っぽすぎるって?俺はあんたのそんな傲慢な態度が許せないんだ」

いやな会話ですね。
でも、この会話をしっかり分析してみると、そこに人と人との行き違いのスパイラルがみえてきます。
最初に問題となったのは、一つの行為です。つまり相手の「顔をつぶすような発言」に対するクレームが喧嘩の発端です。
その行為に対して、相手はクレームを言った人の別の行為に対してクレームをつけます。つまり、それは「蔑むように笑った」という行為です。
さらに行為に対するクレームが続きます。「ドタキャンした」と。
そしてそのあたりから、お互いに本音が見えてきます。つまり行為ではなく、相手の性格や人格そのものが気に入らないという応酬が続くのです。

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韓国の嫌日政策の本音

【海外ニュース】

Park offers North Korea massive aid
(Korea Times より)

朴大統領は北朝鮮に大幅な援助を提案

【ニュース解説】

日本の安倍首相が韓国のパク・クネ大統領に韓国語で挨拶をしても、彼女は極めて冷たく対応したというニュースは、韓国でも大きく報道されています。
「今回は、日本との関係改善はなかなかできないのでは。いつもと違って、お互いに相当深いわだかまりが積もっています」
ハンウルという政治問題などの出版を手がけているソウルの中堅出版社の顧問で元外交官のパク氏は、渋い表情のままそう語ります。
「日本は自らの行動で、韓国を中国にくっつけてしまったのです」
日韓の連携の重要さを説いてきた、同社のキム社長はそれを受けて、ため息とともに、そう付け加えました。

出張で上海を発ちソウルへ向かう日、上海の英字紙は朝鮮戦争の折に韓国に遺棄された中国兵の遺骨の返還式の模様を大きく取り上げ、中韓の最近の絆の強さを強調していました。ソウルの空港に着き、韓国側の新聞をみると、同じ記事が韓国の英字紙 Korea Times の一面にこれまた大きく掲載。その横に、今回紹介するヘッドラインをもとに、ドレスデンで講演するパク大統領の様子が紹介されていたのです。

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「世界の心の交差点で」〜コミュニケーションと誤解の背景〜

西海岸からみた歴史認識

過去にその国がしたことに、今の人が責任があるかどうか。それは日本を取り巻く国々との摩擦をみたときに、いつも考えさせられる課題です。
最近アメリカで、台湾出身の陳さんという友人と、この点について話したことがあります。陳さんはアメリカ西海岸に長く住み、いわゆるグローバルな企業に勤務している人で、その見方は私よりはるかにドライでした。
私は、以前ある中国で現地の人が、私が日本人だとわかった瞬間に反日感情を露にした経験を語ったのです。
陳さんいわく。

「ねえ。だってさあ。君は戦争の時、生まれていなかったんだろ。どうして君がその責任を感じなければならないんだい?」

彼はビールを飲みながら、そして笑いながら私にそう言いました。

「だって、考えてもみてよ。僕は台湾生まれだよ。親父は戦争経験があって、あまり日本のことをよく思ってはいない。それは彼らの世代さ。しかも、我々は誰だってどこに生まれるかなんて選択できない。だから、手の届かない過去のことで、君が何か言われるのは筋違いだよ。それって、下手すると公民権法にも関わることじゃない?」

公民権法は、アメリカにあって、人をその人の変えることのできない背景をもって差別してはいけないという法律です。例えば、人種、国籍、肌の色、宗教的背景などなどがそれにあたります。

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海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

グローバルな時代にふさわしいメディア対策の必要性

【海外ニュース】

Japanese leader revives dark memories of imperial-era biological experiments in China
(ワシントンポスト より)

日本のリーダーが、戦前の中国における生体実験の暗い思い出を触発する

【ニュース解説】

日本の過去の戦争責任への解釈の違いは、今まで韓国と中国をはじめとする周辺の国々との摩擦の原因となってきました。
しかし、現在アメリカもがこの問題について、日本の指導者のスタンスに強い懸念をもっていることは日本でも報道されています。

今回のワシントンポストの記事は、その延長線上にある気になるものです。
1936年以降、当時の満州 (中国東北地方) で、日本軍が組織的に中国人などの捕虜に対して人体実験を行いました。その実験は、石井四郎という軍医の高官の指揮下で行われた実験であったため、それを実践した部隊を人々は石井部隊と呼んでいましたが、その公の名称は 731部隊でした。
そして、今回、安倍首相が自衛隊の航空機に搭乗し、笑顔でメディアに応えている写真が掲載されたところ、その航空機に 731 という番号が書かれていたのです。

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