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エグゼクティブ・コーチング(33): 会議の場などで、相手が何か提案をしたとき、その場でそれに異議を唱えることは本当に失礼ではないのですか?

ビジネスでのデスカッションなどでは、異議があればむしろそれを率直に表明した方がいいのです。
このことを理解するには、欧米での会議の文化について理解をする必要があります。

極めてフォーマルなセレモニーの場を除いて、ビジネスでの対話の底流にある考え方は、ブレーンストームという発想です。

しかし、このブレーンストームという概念は、ある意味では日本人が最も苦手とするアプローチかもしれません。特に英語でやれといわれると戸惑ってしまう人も多いのではないでしょうか。

そもそも、ブレーンストームとは、一つの発想や提案をテーブルの上において、それをみんなで叩き合って、賛成意見や反対意見をたたかわせながら、より高いレベルのアイディアを導き出す作業を指します。
そうした場では、例えその場の思いつきでも、どんどん頭に浮かんだことを出し合ってゆかなければ、ブレーンストームは成立しません。
また、何か提案がなされたとき、その提案者の立場や地位に関係なく、自らの対案や懸念を表明できる環境も必要です。
ちょうど、キャッチボールをするように、アイディアをお互いに投げ合いながら、その内容を高めてゆくのです。
仮に反対意見があったとして、それを表明しても相手に対して失礼なことでも、個人攻撃をしているわけでもないという前提がなければ、ブレーンストームは成立しないのです。

ここで、Think outside the box. という言葉について考えます。
この言葉は、常識や固定概念、あるいは今までの経験にとらわれず、広い視野から思い切った発想をしようということを意味しています。
ブレーンストームなどを活性化させたいとき、リーダーがこのように言えば、より思い切った提案や対案がでてくるというわけです。
そして、こうした発想を思い切ってアピールするためには、横の人を気にして「だんまり」を決め込んでいてはだめなのです。「目からうろこ」という言葉がありますが、「なるほど!」と相手に納得してもらうアイディアを自分が一人でコツコツと創造するのではなく、会議に参加する全ての人が議論することで、そうした「名案」を一緒に編み出してゆくのです。

日本人には、ビジネスなどの公式の場で何か意見を表明するとき、しっかりとその背景を考え、準備をしてからスピーチをするべきだという常識があります。また周囲の立場にも配慮するべきだとも考えます。
しかし、こうした常識は、海外では会議に参加していない、アイディアを提供していない消極的な態度と誤解されます。
ですから、海外でビジネス上の対話を行うときは、そうした日本流の常識を敢えて横において、思い切って会話の中に飛び込む意気込みが必要です。

Think outside the box. という発想をもって、自分の発想をしっかりアピールし、相手からもどんどんそれを叩いてもらい、さらに対案を思いつけばその場で表明するのです。

Participation、つまり会議に参加するためには、自己の主張をしっかりと表明し、自分の存在を認識してもらうことが大切です。
日本人は顔がみえないとか、何かを考えているのかわからないという批判がよくありますが、そうした誤解を受けないためにも、会議に参加する (participate) ためのノウハウを習得しましょう。
ブレーンストームの場でフランクに意見を表明することに慣れることこそ、そのノウハウにあたるのです。

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