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エグゼクティブ・コーチング(2): 英語で問題点を指摘するとき、「ちょっと問題があるのですが」といっても構わない?

英語で問題点を指摘するとき、
「ちょっと問題があるのですが」といっても構わない?

この表現、そのまま英語にすれば、誤解の原因となるかもしれません。

日本人が日本人の意識に基づいて英語を話すとき、最もありがちな過ちはときかれても、そんな事例はたくさんありすぎて、一つ一つ例を挙げればきりがありません。
しかし、共通していえることは、日本のビジネス文化に基づいて、ただ日本語を直訳しても、相手に伝わるときには、期待した通りに自らの意思や意図が伝達できないことが多いということです。

表題の事例はその典型。
日本人は、大きな問題があっても、なかなか目を剥いて両手を上げながら「大問題だよ」と公式な場所では言いません。
身内の間であればともかくも、やたら問題点を振りかざすことは、却って人と人との和を乱す行為と考えられるリスクがあるからです。そんなことをすれば、時には物事をわざと大袈裟に表明していると誤解されることすらあるかもしれません。
こうした日本人の行動の背景には、「遠慮」や「謙遜」という日本人独自の価値観が働いています。そしてこれらの価値観に従って、相手とコミュニケーションをすることが、相手との人間関係を維持する上で大切だと考える日本人は、敢えて大きな問題があっても、口頭では「ちょっと問題で」といいう風に表現して、トーンを抑えてしまうのです。
もちろん、同じコミュニケーション文化を共有する日本人同士であれば、そのように言われた場合、それが結構深刻な問題であるということは、容易に推察できるのです。

ところで、「ちょっと問題が」という「ちょっと」を、日本人はよく little bit という言葉で直訳します。
つまり、We have a little bit problem. (ちょっと問題があるのですが) などという風に表現してしまうのです。しかも、そう言ったあと、何が問題でどのように解決するのかという部分が曖昧なまま相手に伝達されることが、相手に更なる誤解を与えてしまうのです。

では、そうしたメッセージを聞いた外国の人の多くは、どう思うでしょう。リスクとしては、「小さい問題ならなぜ自分で解決しないのか」とか、「これほど重大な問題がおきているのに、小さい問題とは、認識不足なのでは」という風にそのメッセージを受け取って、思わぬ誤解のプロセスにはいっていくことがあげられます。

従って、問題があるときは、ちゃんと深刻な顔をして、We have a problem that we need to fix. とか、Here is the situation we need to consider seriously. という表現で話し始め、その重要性を伝える必要があるのです。
ここで we need to fix という表現を付加した理由は、会社などが問題をおこしたとき、その重大性を認識すると同時に、ちゃんとそれを解決する意思があのだというメッセージを、相手に伝えることになるからです。

次回も、このテーマを掘り下げ、別の事例を通して日本人と欧米の人との間の誤解のプロセスについて解説してゆきます。

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