ビジネスで使う英語は、学校で習う英語とは異なるという人が多くいます。
確かに一理ある指摘です。
しかし、だからといって、学校で習得した英語が全く役に立たないかというと、そうではないことは明らかです。要は、学校での知識を利用しながらも、それだけに頼らずに、いかに応用し、臨機応変に変化させられるかが課題なのです。
例えば、Because は接続詞だと学校で習います。それはその通りですし、何も間違いではありません。
しかし、実際のビジネスでは必ずしも Because は接続詞の用法の通りには使用されません。なぜでしょう。
それは、海外の人が遠慮せず、Why を連発してくることにあります。相手を攻撃しようとしているのではなく、単純に提案やステートメントについてその意図を確かめたいと彼らが思っているからです。
しかし、日本人は Why といわれると、攻撃されていると勘違いして、立ち往生してしまうことが往々にしてあるようです。
Why? ときかれれば、あたかもテニスのボレーのように Because といって対応すればいいのですが。
次の例文に注目してください。
Let’s visit their office tomorrow.
Why?
Because they are about to make a decision to purchase our product. We need to give them one more push.
(なぜなら、彼らは我々の商品を購入することを決めようとしているから、もう一押しするんだよ)
この会話では、Because は接続でありながら、単に「なぜなら」という意味で使用されています。文法的には正しい英語かどうか疑問です。
しかし、最初の Let’s visit their office tomorrow. という文章と Why? のあとの文章を繋ぎ合わせれば、because が見事に接続しとして機能し、一つの文章になっていることがわかるはずです。
英語を母国語とする人との会話は、えてして会話の途中でいきなり相手から質問されたり、コメントされたりと、正にテニスの打ち合いのようになってしまいます。
ですから、時にはこのように、文法は後回しにして、前の文章を巧みに繋いで相手に対応する即応力が求められるのです。
学校で学んだ英語は大切です。しかし、それに固執するのではなく、実際の世界に適合させることを念頭に、この事例のように表現を柔軟に変化させ、対応してゆくことが大切なのです。