LA fires at critical stages as winds to return and death toll rises.
焼失したロサンゼルスの街に住む人々
そんな環境で育ったペリーはシカゴの大学に行ったときも、学費を稼ぐためにアルバイトでビルの掃除をしていました。その働きぶりが素晴らしく、そこにあった語学学校のオーナーに誘われて、卒業後その会社に入社しました。その後40年間をかけ、ペリーはその会社を世界企業に育てました。80代になっても、時差が辛いなどという弱音は一言も口にせず、現在では自らが起こした英語のテスト会社のオーナーとして世界各地に販売代理店を広げ頑張っています。
その日、彼は私にいきなりFaceTimeをかけてきて、「お前がいつも宿泊しているホテルに来ているよ。避難命令があったのでね」とニコニコしながら話していました。その直後にこれほどの悲劇に見舞われるということには、私も彼も気づいてはいませんでした。
そんなシュリフの父親がいつも楽しみにしていたのが、息子とショッピング街のそばの公園のベンチで午後を過ごすことでした。カジュアルなカリフォルニアで、父親は必ずイラクに住んでいた頃と同じように、ジャケットにネクタイをして外出していたといいます。そんな親子が集っていた思い出の場所も、今では空襲のあとのように、焼け焦げてしまいました。
そんなウイリーが去年の10月、私に70年にわたってアメリカを渡り歩いたその人生を語ってくれました。それは、映画の一コマのように、鮮やかな映像となって私の心に焼き付きました。そんな彼の家も、今ではもうありません。彼がどうしているかもまだ消息不明です。
山火事は天罰か、地球温暖化への警鐘か
そして、ある人はマテリアリズムの象徴としての富裕層が焼け出されたことで、これで人々が地球温暖化にもっと真剣に向き合うのではと思ったかもしれません。
さらに、典型的な「セレブ」としてアメリカの富を象徴しているヒルトンホテルの創業者の孫、パリス・ヒルトンの豪邸が焼け落ちたという報道がされたとき、経済や社会の分断のなかで貧困に悩む人々の中には、心の中で喝采をした人もいたかもしれません。
今回の火事は、ここに記したような人々に代表される何千何万という人々の「アメリカの記憶と記録」を葬り去ったのです。この喪失は計り知れないインパクトをアメリカ社会に与えたはずです。
そして、ここに住む市民こそは、アメリカの富をつくってきた人々で、彼らがあらゆる意味において世界に影響を与えてきた人々です。そして、個人としては、その多くが勤勉に働いて家族を大切にし、あるいは社会人として成功を収めたあと老後を過ごしていた人々です。
そんな人々の思い出の場所が消えてしまったことには心が痛みます。
「夢のカリフォルニア」に思いを馳せて
被災した地域がこれからどうなるのか。巨大な資産が失われ、居住環境が破壊された「夢のカリフォルニア」の跡地への思いは複雑です。
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『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』
キングスレイ・ウォード (原著)
英米文学の原文で英文読書の醍醐味を味わいながら読解力を磨く! IBC洋書ライブラリー創刊! 成功した実業家である父親の真情から、自分と同じ道を志そうとする息子にあてて書かれた30通の手紙は、ビジネスの世界で働くための心がまえやアドバイスのみならず、進路や教育、友人関係など、人生で遭遇するさまざまな局面への知恵と示唆にあふれています。英語学習者が、原文のまま名作の内容を余すことなく味わえるよう、作品解説・章ごとのあらすじ・ページごとの要約・巻末のワードリストで読書を強力にサポート。原書チャレンジに最適なシリーズです!
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