Bears have killed a record 7 people in Japan this year.
2本の映像がうつし出すクマと人との共生のあり方
しかし、その一方で、我々が考えなければならない、もう一つのファクトについての報道が減っていることが気になります。つまり、よく言われる開発と温暖化などの気候変動によって追いつめられる動物の実態についてです。
これと同じことは知床半島などでもありました。クマは人の至近距離となるすぐそばで生活圏を持っていて、その境界線を越えようとすると漁師がイラン人と同じように叱りつけるのです。すると、クマはそのまますごすごと立ち去ってゆきます。
カナダの太平洋岸にはシロクマが生息する地域があります。ここでも現地の人々とクマの光景がみられます。そこでは餌は与えません。最初に紹介したイランの映像のように、人間は人間の、クマはクマの生活圏で静かに共存しているのです。
実は、これが以前ではごく当たり前の、人と自然とが共生する姿だったのです。クマは基本的には攻撃的な肉食の捕食者ではないので、人々はむしろその大きな姿に愛着すら覚えていたのです。
イランからの動画にせよ、この童話にせよ、その背景にあるのはクマと人との親密な関係です。
森を消失させた人はクマを駆除するしかないのか
森林を伐採して開発をしたのは人間です。気象異変にしても、さまざまな説はあるとしても、人間に全く責任がないかといえば疑問が残ります。そして、その結果クマが街に出没したとき、人々はそれを脅威としてクマをあたかも容赦なく人の命を奪う悪者のように報道をはじめたわけです。
ただ、その結果駆除されたクマへの心の痛みを忘れた一方的な報道には、多少うんざりしています。絶望的な環境のなかで食料を求めて人里をさまよい、その結果殺害されたクマに向けて、せめて心の中で手を合わせるような報道はないのかと考えさせられます。
それは、北海道でクマによる犠牲者がでたときのニュースを一緒にみていたときのことでした。
世界からも問われている人と野生動物との共生
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