The C.I.A. Helped Pinpoint a Gathering of Iranian Leaders. Then Israel Struck.
羽田から14時間のフライトを終えて
同時に自らの市民を何万人も殺害してきたイランの最高指導者アヤトラ・ハメネイ師が、CIAとイスラエルの緊密な連携によって殺害されたことも知りました。
イランが民主化されてほしいと願っていたものの、今回の軍事力の行使には複雑な気持ちです。しかも、これでイランの体制が本当に変化するかは専門家の間でも意見が分かれています。
従来のシベリアを経由した直行ルートよりも2時間から3時間ほど航路が長くなります。以前、冷戦期にアラスカに飛び、そこで給油して北極経由でヨーロッパへ飛行していた頃のことを思い出します。冬などは運がよければ右側の窓からオーロラを楽しむことも可能でした。

航路を辿るとみえてくる歴史と国際情勢
氷河期のころ、ここを渡って人々はユーラシア大陸から南北アメリカ大陸の広大な地域へ移動し、各地で文明をつくりました。18世紀にはアラスカに渡ってきたロシア人が、カリフォルニアあたりまで進出し、開墾や交易にいそしみました。サンフランシスコの北の森の中を通る川にはロシアン・リバーという名前が残っているほどです。アラスカを正式にアメリカが購入したのは1867年のことでした。
しかし、ロシアによるウクライナ侵攻を契機にこの計画もなくなりました。その結果、航空機もよりコストと時間をかけてヨーロッパまで遠距離を飛ばなければならなくなったのです。
そこにはグリーンランドの広大な大地が横たわっています。氷で覆われたこの地域は、北極海を隔ててみれば北アメリカとロシアの間にある地政学上の戦略の要です。そこをトランプ大統領が領有すると言い出したことが、ヨーロッパでの新たな緊張の火種となりました。きっとトランプ大統領は160年前のアラスカ買収を意識していたのでしょう。そして、彼の意向に異論を持つ国に対するアメリカの関税問題も表面化しました。
同時にヨーロッパの南、地中海を挟んだ中東や北アフリカは、政治と宗教、そして地域の部族の利害が複雑に絡んだところで、100年以上にわたって多くの血が流されてきました。イランも例外ではありません。
オランダやドイツではそれが政治的な緊張になり、イギリスはこうした要因に加え、大陸側とのさまざまな利害の対立でEUを離脱することになりました。
飛行機がフランクフルトに着陸するとき、そこが米軍の大きなプレゼンスがある地域で、NATOの戦略拠点であることも思い知らされます。そして今では、イギリス人がドイツを訪れるときはEUの人々と同じ条件で出入りができなくなり、日本人など他の地域の人と一緒に出入国審査を受けるのです。

移動の自由とともに失われてきたもの
先住民の中には民族の伝統や言葉まで失った過去があることもよく知らされます。日本でいえば、ここで取り上げたオホーツクの人々、アイヌ、沖縄など、日本という一つの国家が成熟してゆく過程をみるだけでも、こうした現象がいくつかおきています。飛行機の長いルートの下では、同様なことが無数にあったはずです。文明や科学の発展により、近代国家が成長するなかで、民俗文化が消滅し、自然破壊も進んでいったわけです。
これが歴史の習いといえばそれまでですが、果たしてそう切り捨てていいのかということを、今回の14時間のフライトが語ってくれました。
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『日英対訳 英語で話す中東情勢』山久瀬 洋二 (著)
さまざまな宗教・言語・民族が出会う世界の交差点・中東の課題を、日英対訳で学ぶ! 2023年10月に始まったハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃と、イスラエル軍によるガザ地区への激しい空爆と地上侵攻は世界に大きな衝撃を与えました。中東情勢の緊迫化は、国際社会の平和と安定、そして世界経済にも大きな影響を及ぼします。地理的にも遠く、ともすれば日本人には馴染みの薄い中東は、政治・宗教・歴史などが複雑に絡み合う地域です。本書では、3000年にわたる中東・パレスチナの歴史を概説し、過去、現在、そして未来へと続く課題を日英対訳で考察します。読み解くうえで重要なキーワードや関連語句の解説も充実!
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