“Under intense pressure from the United States, South Korea reversed itself at the last minutes Friday and extended an intelligence-sharing pact with Japan, a sign that the Seoul government wanted to halt fraying relations with the two countries.”
日本と韓国、双方にとって大切な隣人
実は、日本にとって韓国、そして韓国にとって日本は、失うことのできない大切な隣人なのです。正直なところ、その現実を冷静に見ることのできない双方の政治の世界の貧困さに、思わず絶望してしまいます。
経済的に、日本も韓国も、中国とアメリカという巨大なIT大国に挟まれています。どのようにもがいても、GAFAと呼ばれるアメリカの巨大IT企業、さらには中国のアリババやテンセントといった同様の企業の間に置かれ、二つの国は連携をすることでかろうじて自国の経済的利益を守れるのが実情です。
軍事的にも同様です。日本と韓国とが分裂した瞬間に、どちらもアメリカに対して強いカードを切れなくなるのみならず、中国の拡張政策にも抗えなくなるのです。今回、GSOMIAの破綻を一番気にしていたのは、実はアメリカでした。日韓関係が破綻すれば、アメリカにとって極東への軍事的な傘の骨を失うことになりかねないからです。
隣国の捉え方を狭めるナショナリズム
さて、ここで日本と韓国とがいかに似た状況に置かれているかを、列挙してみましょう。
1) どちらも経済的には先進国でありながら、人口減少による将来への不安を抱えている。
2) どちらも、高齢化社会への傾斜を危惧しながら、基本的に単一民族国家としての意識が強く、移民政策には慣れていないため、将来の労働力欠如、知的生産物の瑕疵への不安を抱えている。
3) どちらも、旧来の学歴社会への歪みを抱えていて、格差社会の拡大に悩んでいる。
4) どちらも、北朝鮮や中国への脅威にさらされ、同時にアメリカの傘下の中で軍事的に自立できずにいる。
5) どちらも、直接国境を通して人々の行き来のない地理的に孤立した国家である。
6) どちらも、資源に乏しく伝統的に貿易立国として成長しなければならない運命にある。
7) どちらも、漢字文化圏に属し、多くの伝統と文化を共有している。
8) どちらも、アメリカと中国という超大国の間の微妙な環境の中で、政治的にも経済的にも生き抜かなければならない運命を背負っている。
そしてこの二つの国は、狭い海峡を挟んだ隣国なのです。
しかし、日本語を話せる韓国人の方が、韓国語を話せる日本人よりはるかに多いことは、我々は認めなければなりません。さらに、決して流暢とは言えないまでも、英語でコミュニケーションのできる人口も韓国の方がはるかに多いように思われます。
これは韓国だけではなく、台湾に行ったときも感じる、日本にとっては悲しい事実です。過去に日本がこれらの国々を植民地にしていたから日本語ができて当然と思う人がいるとすれば、それは時代錯誤も甚だしい愚かな感想と言えましょう。
日韓の未来のために今、求められること
それは、一歩海外に出てみれば誰でも感じることのできる現実です。そんな将来の不安を解消し、自らの未来の生活を守るために日本と韓国とが連携してゆくことが必要だと気づかないとすれば、それは国の将来に対する無責任な誤認であるといっても過言ではありません。
特に大切なことは、お互いにへりくだって相手を見つめ合うという伝統的な美徳です。声を張り上げて相手を中傷する行為は、日本人の本来の伝統や美意識にも反する行為です。もし、百歩譲ってナショナリズムを肯定した場合でも、冷静に考えれば相手をなじる行為は日本人としての美意識そのものを傷つけているのだということに、我々は気づくべきなのです。
その上で、未来の日韓関係をもう少し合理的な方向から見つめ直してゆくことが必要です。20年、30年先のお互いの生き残りのためにも、目先の感情に流されず、心を開き合う勇気が今、求められているのです。
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