この一言の中で使用されている前置詞が正しいかどうか。
日本の英語のテストでは、「駅で会いましょう」というこの文章で at か in かあるいは by かといった前置詞を列挙して、どれが正解ですかと聞いてくるはずです。そして大方は at が正解とするのでしょう。
この試験の最大の欠点は、英語でのコミュニケーションのノウハウを完全に無視して、言葉を直訳してリンクする前置詞だけを特定しようとしていることです。「駅で」の「で」が、ピンポイントの場所を示すので正解は at となるというわけです。確かにその場合、それは正解かもしれせん。
しかしよく考えてみてください。
どこの誰が、広い駅を at として捉えて、その場所で相手と実際に会うことができるのでしょうか。
例えば、現実の会話はこうなります。
まず、多くの人は駅で会うではなく、駅の中で待ち合わせます。
従って、
See you in the station.「駅の中で会おうか」
Where? 「どこで」
Let’s see. I will wait for you beside the information counter in the concourse.「そうだね。コンコースの中の案内のカウンタイーの横で待っているよ」
Good. See you at noon. 「そうしよう。ではお昼にね」
などという会話が成り立つはずです。
つまり、at となることも in となることもあれば、場合によっては in front of となることもあるのです。どの前置詞でも正解なのです。
問題は、お互いに会話の中で、面会する場所についてより詳細に確認し合い、最終的には駅の中のどこで会うか、何時にあうかを確認する技術の方が遥かに大切なのです。
この会話のプロセスを練習することを学ぶ方が、「で」を at とリンクさせるより役に立つどころか、そもそも、正解の前置詞を選ぶ事自体がナンセンスというわけです。
言語に正しい答えを求めることはテクニカルには可能です。
また、例えばそれぞれの前置詞の意味を把握することも大切でしょう。
しかし、そうした技術を身につけることがプライオリティとして重要かどうかには疑問が残ります。
まずは、いかに相手から情報を引き出し、そして自らに意見をいい、コミュニケーションを深めてゆくかという技術の方が、はるかに重要なのです。