英会話で聞き取れない表現の大半は、実は簡単な単語を使った単純な表現なのです。
例えば、アメリカなどで、スーパーマーケットのレジの前で店員さんがしたごく普通の質問の意味がわからなくて、おどおどした経験や、それと似たような体験は、ネイティブでない外国人であれば、間違いなく一度はあるはずです。
この表題の一言。これは、映画の中でスパイを演じる男が相棒に車のエンジンを切る事なくそこで待っていろという意味で使った表現です。
エンジンを切らずに待っていろよというなら、Don’t stop an engine. という言葉を頭の中で想定しているかもしれません。そのときに、Keep running. といきなり言われたら、「あれっ?」と思い、どぎまぎするはずです。単語も文章もとても簡単なのに。
このどぎまぎする原因は、コンテキスト、つまり場面の背景と英語表現とがつながらずに、ただ言葉に対してのみ緊張してしまうからに他なりません。
ですから、コンテキストから言葉を類推すれば、概ね理解できるのです。
では、もし相手が複雑な単語を話した場合はどうでしょう。対応は簡単です。
そうした時は、その単語の意味を単純に聞き返せばいいだけのことなのです。
スパイが相棒と車でのりつけ、ターゲットのビルに侵入して機密情報を持ち出し、逃走するというコンテキストを考えれば、Keep running. の一言は充分に理解できるはずです。もちろん、コンテキストが違えば、Keep running. は全く別の意味をもってくるのです。
コンテキストを理解するためには、いわゆる「場」をよむ力が必要です。
英語環境でそれに慣れるには、できるだけ映画やテレビ、そして日常会話などで、どこにでもある簡単な単語を使ったこれらの表現に馴染むことも大切です。
これに慣れるには、日本語とは違う発想で使われるこうした英語表現に戸惑わず、立ち向かう心の準備も必要です。これってなかなか骨が折れますが、心の準備をして、数多くの体験をして場慣れしてゆけば、次第に緊張も溶け、会話も潤沢に進めるようになってゆくはずです。
I know you are learning English. Don’t give up. Just keep running.
ではまた。