海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

我々も、より多様なニュースソースを、スーダン問題の背景から


【海外ニュース】

Barack Obama, the US president, has urged the leaders of Sudan and South Sudan to stop the fighting between their countries and begin negotiations to settle their disputes.(Al Jazeera より)

バラックオバマアメリカ大統領は、スーダンと南スーダン両国のリーダーに、戦争をやめ、問題解決のための交渉をはじめるべく強く求めた。

【ニュース解説】

世界のニュースをみるとき、我々はどうしても日本の視点に捉われてしまいます。例えばパレスチナ問題、さらにイラクやシリアの問題を語るとき、我々はそれを総括して中東問題といいます。中東とは、Middle East からきた言葉。しかし、アラブの人からみれば、我々がイメージしている中東という地域は極めて狭義です。

アラブ語 Arabic を話す人は、東はイラクから西はモロッコまで、つまり中東から北アフリカほぼ全域に及びます。中東の CNN といわれる放送局アルジャジーラの本部は、アラビア半島の東側にある国カタールにあります。そして、半島の紅海 The Red Sea を挟んだ西側がアフリカのスーダン。実際サウジアラビアなどには多くのスーダン系の人が働いています。
つまり、我々が中東と呼んでいる地域の人々は、アフリカとの繋がりが深く、イスラム教の影響もあり、広範なアフリカ地域への関心が高いのです。

エジプトの南のスーダンで現在おきている紛争は、その中でも特に注目されています。
20世紀前半にエジプトがイギリスの影響下にあったとき、アフリカ中部、ナイル川の水源にある国ウガンダも、イギリスが管理していました。イギリスはアフリカ中部に近く、部族的にも宗教的にも北部と異なるスーダン南部をウガンダとくっつけ、イスラム色の強いスーダン北部は、エジプトに管理させ、分断して統治しようと目論みます。
戦後になって、スーダンが独立したあとも、こうした過去に起因した南北対立が続きます。南スーダンがやっとスーダンから独立できたのは去年のことで、それは日本でも報道されました。
現在、スーダンも南スーダンも石油資源が注目されています。そんな列強の思惑も重なり、この地域は世界の不安定要因の一つとなっているのです。
実際、南スーダンが独立したあとも、両国の国境地域では、正規軍や、民兵までを交えた戦闘が終わらず、スーダン側のコルドファンという地域では、飢餓と軍事衝突による、大量虐殺の可能性まで危惧されています。In Southern Kordofan rebels are fighting to defend their people against what they say is “genocide” (南コルドファンでは、スーダン政府に反旗を翻した軍隊が、大量虐殺から自らの人々を守るために闘っている) これもアルジャジーラの報道です。

我々からは遠い国の話ですね。しかし、中東問題とは、こうした広範な地域に関係し、19世紀以降の列強の複雑な国際関係とも絡み、もつれきったまま火薬庫となってしまった問題であることを、ここで確認しておきたいのです。しかも、こうしたニュースや、時には中東の歴史的背景まで、我々は日本のメディアや教科書から情報を入手しているのも事実です。

例えば、大航海時代 Age of Discovery に喜望峰をまわり、インドへの航路を見つけたのは、ポルトガル人のバスコ・ダ・ガマだと、我々は歴史の教科書で習いました。しかし、彼の水先案内をして、インドまで連れて行ったのは、アラブ人であることを知っている人は余りいません。アラブ人は西欧の人よりもずっと以前から、東西を結ぶ航路にも、陸路にも精通していました。19世紀以降、欧米が世界をリードする中で、バスコ・ダ・ガマらの冒険物語だけが大きく取り扱われ、日本人の多くも、航海の歴史を塗り替えたのはヨーロッパの冒険家だと、教育されるようになったのです。

こうした歴史認識の問題にはじまり、現在の中東問題の捉え方にも、様々な視点があり、日本のメディア報道だけを情報源にする危険性を、最近痛感しています。そんな意味からも、国際社会を理解するために、世界のニュースをできるだけ多様なニュースソースから視聴することを、お勧めしたいのです。

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