海外ニュースの英語と文化背景・時事解説

人権問題に揺れた 2014年


【海外ニュース】

Religious leaders gather to fight slavery
(CNNより)

宗教指導者が奴隷制度の廃止を求め会合を

【ニュース解説】

今回は、国際社会と人権 Human rights というテーマを考えます。
去る12月2日にローマ法王フランシスがバチカンに世界の宗教指導者を招き、今なお世界に頻発する人身売買 human traffic と、それに関連した奴隷制度を撲滅しようと呼びかけました。

この21世紀にと思う人も多いと思います。
しかし、今年はナイジェリアでイスラム教過激派組織ボッコハラムが多くの女子高校生を誘拐し、奴隷として売り飛ばすと声明を発表し、世界に衝撃を与えました。
また、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユフスザイさんは、イスラム社会で女性が教育を受けられず、奴隷化されていることに抗議していることもよく知られています。

これらのニュースの背景にある基本的人権の課題は、日本を一歩離れると、世界中で最も語られ、議論されているテーマであることを知っておきましょう。

例えば、先週紹介したアメリカのセントルイスでおきた黒人少年が警察官に殺害された事件。これも人権問題に他なりません。
アメリカでは、先週もニューヨークで黒人男性が警察官に拘束されたときに窒息死し、その警察官が訴追されなかったことが深刻な問題となりました。

また、メキシコでは、なんと麻薬組織と癒着した市長が警察官を使って多数の学生を殺害するという事件もおきています。
そして中東では、拘束されたジャーナリストが公開処刑されるというニュースも何回も世界を震撼させました。

これら全ては人権問題です。
では、宗教界はどうでしょう。
CNNでは、法王が発議したこの奴隷撲滅への国際会議に際して、カトリック教会で頻発している聖職者による子供への性犯罪を取り上げ、その撲滅にどのように取り組んでゆこうとしているのかと、このニュースの中で厳しく指摘しています。

人権問題とは、権力が個人を不当に侮辱したり肉体的、精神的に危害を加えたりすることから発生します。さらに、人や組織が人に対して不当な危害を加える行為を公が黙認したり、黙殺したりすることも人権侵害に他なりません。

であれば、この問題は他国の問題だとはいいきれないことがわかってくるはずです。例えば、学校が子供のいじめに対して対応しないこともれっきとした人権問題なのです。また成田空港では、不法入国を疑って拘束したスリランカの人が体の不調を訴えたとき、関係者がそれに対応しなかったための死亡事故が最近おきています。これはセントルイスやニューヨークでの事件と酷似したれっきとした人権問題です。

実は、今年私が取り上げたニュースの6割以上が人権問題となんらかの関わりをもっているのです。こと 2014年に関わらず、人類は人権をいかに守り、人としての尊厳を尊重しようというテーマと終始取り組み闘っているのだということを、知っておかなければならないのです。
国際社会が最も過敏に、そして鋭く反応するテーマこそ、人権問題に他ならないということは、日本の内政、外交政策を考える上でも重要なテーマなのです。

最後に、人権とは、全ての人に与えられている権利だということを、ここに確認します。例え、犯罪を犯した人でも、裁判で公正に裁かれ、法の元で偏見や差別に晒されることなく冷静に刑に服すこと。これも大切な人権なのです。

来年も人権のテーマや人権に関する様々な事件が、世界でおき、議論されるはずです。グローバルな視点をもって世界の人とコミュニケーションをしてゆくためにも、そうしたテーマへの関心を維持し、感覚を磨いてゆきたいものです。

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