【海外ニュース】
The White House for the first time Thursday described the Sept. 11 assault on the U.S. Consulate in Libya as a terrorist attack that may have involved militants linked to Al Qaeda, but it added that no intelligence yet shows it was planned in advance.(LA Times)
ホワイトハウスは、9月11日のリビアのアメリカ領事館の攻撃は、アルカイダの戦士が関わったテロ行為だが、前もって準備されていたものであるとう情報は入手していないと、木曜日に初めてコメントした。
【ニュース解説】
この記事が発表されたのと同じ頃、同紙は日本と中国の尖閣諸島をめぐる紛争についても、詳しく解説した記事を掲載しました。
その記事では、尖閣諸島は明 The Ming Dynasty の時代に中国の島となり、その後中国が領有していたと書かれています。そして日清戦争の時期に、尖閣諸島に投資をしていた日本人の要請で日本に併合されたままになり、第二次世界大戦の後、アメリカが日本を占領したために、自動的にアメリカ軍は尖閣諸島を接収したのだと解説されています。その後尖閣諸島は、日本にアメリカから返還されたものだというわけです。アメリカは冷戦の最中、元々の所有者であった中国に返還することを嫌い、沖縄と共に日本への返還を決定したのだと解説されています。
竹島と同様に、江戸時代以前の領有を示す記事は、双方あちこちにあり、真偽はなかなか証明できません。しかし、この記事をそのまま読むと、アメリカの論調は必ずしも日本全面支援でないことがわかります。日本人はこの領土問題を日本の中からしか見ていません。しかし、海外では必ずしも日本の立場への理解が充分でなく、日本の方が不利であるという見方すらあることを、冷静に見つめる必要があるのです。
さて、そんなアメリカが、外交問題として最も悩んでいるのが、中東での反米デモ。アメリカで制作された Innocence of Muslims という映画が、予言者モハメッド Muhammad を侮辱したということに抗議し、中東のあちこちで反米デモがおき、ついにアメリカの外交官がリビアで殺害されるという異常事態がおきました。
なぜ、アメリカの民間企業で造られた、しかもB級映画がたまたま YouTube に流れたからといって、これだけの反米デモがおきるのでしょう。
パレスチナ問題などでのイスラム教徒の反米意識は常に強いマグマとなって地下にたまっています。それがこうした非合理的ともみえる刺激で爆発を起こすのです。もちろん、この爆発を影で誘導する政治的な反米組織があることも事実ですが、我々は、長年に渡ってこのマグマをコントロールできないアメリカの立場や外交方針にも注目しなければなりません。
これは、中国と日本との関係でも同じこと。中国の中にあるマグマをいかに政治的意図という発火装置に繋げないかという配慮こそ、日本が日中、そして日韓関係で最も注力しなければならない非公式な外交的手腕といえるのです。
中国人にとって「面子」こそが、最も大切な価値であるいわれます。今回、あのタイミングで尖閣諸島を国有化したことは、この問題を棚上げにして将来に向けて解決しようとしていた中国政府の「面子」をつぶしたのだと評論する人もいます。しかし、中国政府が本当に失った「面子」は日本に対してではなく、マグマのたまる中国国内に対してだということを、我々は知らなければなりません。だから、中国政府も自らの「面子」の回復のために後には引けなくなったのです。
イスラム教徒であることへのアラブの誇りを傷つけられてきたと中東の人々が思い続ける限り、理不尽であろうがなかろうが、今回のような反米活動が収束することはありません。イスラム世界とアメリカとの捻れも、既に60年以上の歳月が経過しています。これは、全員ではないにせよ、中国や韓国の人々の心の中にある、戦前の日本の行為などへの意識の一旦をみたときに、実に参考になる問題です。
中国は習近平氏の指導体制へと移管するなか、親米派の習氏の動向が注目されています。習氏が親米であるということは、中国がアメリカと連携し、時には圧力をかけながら、対日政策を有利に進める土台ができつつあることを意味しています。アメリカのメディアの論調は、そうした動きに敏感です。既に、メディアそのものに、中国の影が落とされ始めていることに日本人が気付いていないのは残念です。
この状況から、何を察知し、どう手をうってゆくかを果敢に判断するには、今の日本のやり方はあまりにも正攻法で、かつ優等生です。国連での国際司法裁判所のアピールなどもさることながら、こうしたメディアを含めたしたたかなパイプをどう構築してゆくかは、日本の深刻な外交課題なのです。