どちらかというと控えめで、遠慮しがち、そして過去から現実を見詰めながら将来を考えがちな日本人。
そうした日本人のコミュニケーションスタイルを見詰めながら、日本人が英語で海外の人と交流してゆくために考えなければならない点を、ここにまとめてみました。
海外の人と交流するには、まずなんといってもマメであること。
思ったことを常に言葉で伝え、相手のやったことへのフィードバックも怠らない、頻繁なやりとりがとても大切。
ここまでいうと言い過ぎではとか、褒め過ぎで却って皮肉に聞こえるのではと思わずに、心を開いて、率直に相手に接することが大切です。
honest と trust は、人間関係を構築する上で、英語で最もよく使われる言葉であり価値観です。日本語で直訳すれば正直と信頼となりますが、むしろ率直で本音で語る姿勢という風に訳すとわかりやすいかもしれません。
ですから、日本人が相手との和を保とうとするあまり、本音と建前を使い分けたりする行為は、時には honest ではなく、trust できないと思われてしまうのです。
だからこそ、率直に、そして本音で語ることがとても大切になってくるのです。
さらに、まず相手の素晴らしいところをみとめ、批判的ではなく建設的に話す姿勢をもつことも忘れてはなりません。
先ほどフィードバックと書きましたが、相手に自分がどう考えているかを伝えるとき、つまりフィードバックを行うとき、いきなり問題点や過去のことを指摘しても、話は前に進まないどころか、相手との信頼関係にもヒビがはいります。
一緒に未来を造るという前向きな姿勢で、まず相手の強いところを引き出し、その上で改善点を一緒に模索するタクティックスが必要です。
このように、日本人のコミュニケーション文化の奥ゆかしい部分が、却って海外と交流する上での弱点とならないためには、常に相手に信号を送り、言葉をかけ、言葉と言葉のやりとりでフィードバックを交換し、物事を解決したり、協力関係を培っていったりする姿勢が大切です。
そして、さらに気をつけなければならないことは、マメであってもおせっかいではなく、常に相手の意思を尊重する姿勢をもつことです。
個人として自立し、相手との和よりも、自らの立ち位置を重んずる欧米の社会では、個々が異なる発想をすることは当たり前のことなのです。
ですから、相手が自分の意図や集団の意思に合わせてくるものだと想定せず、同時に相手もこちらがそのように従順であることを期待していないことを知っておくべきです。個々に違う意見があることは、むしろ多様で歓迎されるべきことだということを理解して相手と対応するのです。
マメで、建設的で、そして個性を尊重したコミュニケーション。これが海外の人と交流してゆく最も大切な3つのポイントだと思います。
その上で、もう一つ味付けをするならば、敢えて完璧を求めない姿勢を持ちたいものです。
日本人は、まず完璧に準備万端整えて前に進みたがります。また、一度何かを決めると、それを極めて真面目に守り抜こうとします。
しかし、日本以外の多くの人は、まず行動し、試行錯誤を繰り返しながらだんだんと完璧に近づこうとします。その過程の中では一度決めたことでも、それを変化させることに余り躊躇しません。
このギャップが、海外の人とチームを組んで物事を進めてゆく上で、得てしてお互いへの不信感のもとになるのです。
そう、柔軟であるべきなのです。柔軟性こそは、海外の人と交流を深める上で、先の3つのポイントをより効果的に実戦するスパイスとなるのです。
これらのポイントを心に留めて相手と交流することは、英語を話す能力以上に大切です。英語は相手と理解し合うためのツール。ですから、これらのポイント心得ずに英語を使っても、相手と理解し合うことができず、ツールとしても役にたたないのだということを、是非知っておいて欲しいのです。