Japanese yen hits new low
(日本円はさらに安く)
― BBC より
円安の深刻さを語ることができない政府と日銀の言い訳
金融関係者は、現在の円安を「いやな円安」と呼んでいます。
政府や日銀は、いまだに円安は貿易立国である日本には有利という昭和の神話をくり返していますが、今回の円安の本質は思っている以上に深刻です。おそらく政府や日銀も、その深刻さはわかっているはずです。しかし、なぜかその実情を具体的に語る人がいないのは不気味です。
政府や日銀は、いまだに円安は貿易立国である日本には有利という昭和の神話をくり返していますが、今回の円安の本質は思っている以上に深刻です。おそらく政府や日銀も、その深刻さはわかっているはずです。しかし、なぜかその実情を具体的に語る人がいないのは不気味です。
さらに、政府やマスコミが口を揃えて円安の原因としているのが、アメリカと日本との金利差の問題です。おそらく、そうでも言わなければ、辻褄を合わせられないのでしょう。
つまり、物価高(インフレ)が進み、それを抑制するためにアメリカが金利を上げたために、利益の上がるドルが買われ、円が売られていることが現在の円安の原因だというのです。言い換えれば、この円安の原因はアメリカにあって、日本にはないかのような報道が続いているのです。
つまり、物価高(インフレ)が進み、それを抑制するためにアメリカが金利を上げたために、利益の上がるドルが買われ、円が売られていることが現在の円安の原因だというのです。言い換えれば、この円安の原因はアメリカにあって、日本にはないかのような報道が続いているのです。
しかし、冷静に見ればわかるように、今世界中で原油や小麦粉といった我々の生活に必要な資材は高騰しています。そうした環境は日本もアメリカも同様のはずです。実際、日本ではかなり前から木材などの建築資材が不足して、住宅の建設コストが金利上昇によって支払われるコストを上回りかねない状況が続いています。さらに、原油の価格もロシアによるウクライナ侵攻の前から乱高下していました。
つまり、金利差による円安というのは、実に表層的な説明なのです。もちろん、金利が円安の一因であることは事実です。しかし、もっと大切なことはその裏側に隠れている事実です。そこを無視した説明をしても仕方ありません。
金利差による円安という説明だけにマスコミが固執しながら報道しているのを聞くと、ロシアや中国でマスコミの報道が統制されていて、国民に本当のことが知らされていないという事実が、日本にも当てはまるのではないかと思ってしまうほどです。表層を語り、その背景にある真相に目を瞑り、そっぽを向いた状況で国民に情報を伝えている有様が実によく似ています。
金利差による円安という説明だけにマスコミが固執しながら報道しているのを聞くと、ロシアや中国でマスコミの報道が統制されていて、国民に本当のことが知らされていないという事実が、日本にも当てはまるのではないかと思ってしまうほどです。表層を語り、その背景にある真相に目を瞑り、そっぽを向いた状況で国民に情報を伝えている有様が実によく似ています。
海外では多くの人がこのように語っています。
そもそも、なぜ金利差が生まれるのかと。実際、金利差は理由なくして生まれるものではありません。言い換えれば、アメリカは金利を上げる余裕があり、日本が金利を上げられないから、その差が拡大するのです。コロナ禍に見舞われながらも、アメリカ経済はインフレ気味になるほど好調でした。それは日本とは逆の現象です。この事実にスポットを当てることが大切です。
そもそも、なぜ金利差が生まれるのかと。実際、金利差は理由なくして生まれるものではありません。言い換えれば、アメリカは金利を上げる余裕があり、日本が金利を上げられないから、その差が拡大するのです。コロナ禍に見舞われながらも、アメリカ経済はインフレ気味になるほど好調でした。それは日本とは逆の現象です。この事実にスポットを当てることが大切です。
低金利でなければ支えられないほど沈滞した日本経済
誰もが知っているように、金利を上げれば、企業は設備投資をするための資金などを調達しにくくなり、個人は住宅ローンなどを組むことが難しくなります。このことによって経済活動にブレーキがかかります。それを突きつめれば、今日本はいまだ経済的に沈滞していて、安い金利でなければ経済を支えられないでいる厳しい現実が見えてきます。
円安になれば、必然的に輸入品の価格が上がり、物価が高騰します。つまり、物価が上がるのであれば、本来は経済も活性化してインフレを抑制するために金利も上げなければならなくなります。しかし、日本の場合は、物価上昇に購買力や企業力が追いつかないのです。ここで金利を上げてしまえば社会が混乱してしまうのです。
円安になれば、必然的に輸入品の価格が上がり、物価が高騰します。つまり、物価が上がるのであれば、本来は経済も活性化してインフレを抑制するために金利も上げなければならなくなります。しかし、日本の場合は、物価上昇に購買力や企業力が追いつかないのです。ここで金利を上げてしまえば社会が混乱してしまうのです。
国やマスコミは、経済停滞の原因をコロナだとしています。もちろん、それは一面的には正しいでしょう。
では、今世紀に入って人件費はどのように推移しているでしょうか。今世紀どころか、バブル経済の頃から日本の人件費はほとんど上昇していません。子どもは高度成長を生きた親の資産を食い潰しながら、一応「まともな」生活をしているに過ぎないのです。
では、その子どもが親の世代が築いた資産を使い切ったとき、日本の社会はどうなるのでしょうか。人件費が上がらなければ、購買力はつきません。購買力がつかなければ企業は収益を上げられません。企業が堅調で前向きにならなければ人件費は上がりません。つまり、これは負のスパイラルに他ならないのです。
では、今世紀に入って人件費はどのように推移しているでしょうか。今世紀どころか、バブル経済の頃から日本の人件費はほとんど上昇していません。子どもは高度成長を生きた親の資産を食い潰しながら、一応「まともな」生活をしているに過ぎないのです。
では、その子どもが親の世代が築いた資産を使い切ったとき、日本の社会はどうなるのでしょうか。人件費が上がらなければ、購買力はつきません。購買力がつかなければ企業は収益を上げられません。企業が堅調で前向きにならなければ人件費は上がりません。つまり、これは負のスパイラルに他ならないのです。
この負のスパイラルがずっと続いていることを忘れて円安を語ることはできないのです。本当に日本経済が安定していれば、ウクライナにロシア軍が侵攻したときに、市場は円高に向かうはずです。アメリカやEUがロシアとの摩擦に晒され、社会不安が助長されることを予測すれば、直接影響が少なく社会が安定した日本の円が買われ、円高傾向になるはずです。しかし、今回はその逆でした。
脆弱化した日本経済が、コロナとウクライナ問題でトドメを刺され、ずるずると円安を起こしているわけです。これが、金融関係者が「いやな円安」と言い、市場で円への興味が希薄化している原因です。
さらに大変なのは国債です。国の借金の返済にも金利は影響を与えますから、金利を上げることは、借金で首の回らない政府自体をさらに苦しめることになるわけです。
つまり、金利を上げない限り円安は続き、国内の物価のバランスはいびつになります。ですから、どこかで金利に手をつけない限り、経済は回りません。しかし、金利を上げれば企業や個人の投資が鈍り、国の借金の返済のハードルも高くなります。これこそジレンマという言葉がぴたりと当てはまる状況です。
さらに大変なのは国債です。国の借金の返済にも金利は影響を与えますから、金利を上げることは、借金で首の回らない政府自体をさらに苦しめることになるわけです。
つまり、金利を上げない限り円安は続き、国内の物価のバランスはいびつになります。ですから、どこかで金利に手をつけない限り、経済は回りません。しかし、金利を上げれば企業や個人の投資が鈍り、国の借金の返済のハードルも高くなります。これこそジレンマという言葉がぴたりと当てはまる状況です。
利上げか据え置きかのジレンマに陥った日本を変えていくには
課題は、こうした現状を直球で語り、対策を練り、国民に語りかける指導者が不在で、マスコミもなぜかそこまで切り込んだ報道をしていないことです。
さらに、コロナ禍でも東日本大震災後にも見られた、日本人の同調圧力という文化が、こうした状況の中で突出したコメントをすることを抑制させているのかもしれません。型にはまっていると安心で、安定感もあるでしょう。しかし、その型自体が崩れたとき、我々は出口のない混迷の中に突き落とされるかもしれません。
さらに、コロナ禍でも東日本大震災後にも見られた、日本人の同調圧力という文化が、こうした状況の中で突出したコメントをすることを抑制させているのかもしれません。型にはまっていると安心で、安定感もあるでしょう。しかし、その型自体が崩れたとき、我々は出口のない混迷の中に突き落とされるかもしれません。
このジレンマをどのように乗り越えなければならないか。それは、決して簡単に答えの出せるものではありません。ただ、変化することが下手な日本社会がまた次の変化を迎えるには、ペリー提督の来航と太平洋戦争での悲劇に続く、もう一つの外的要因が必要なのかもしれません。できれば、そのようなことがなく、日本人の知恵と決断で、今のジレンマを克服したいものです。
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『日本語ナビで読む洋書 What is Global Leadership?』
山久瀬 洋二(ナビゲーター)/アーネスト・ガンドリング、テリー・ホーガン、カレン・チヴィトヴィッチ(原著者)
世界を舞台に活躍することを目指すビジネスパーソン必読の書!
本書は、「グローバルリーダーシップ」という概念をアメリカ人に浸透させたロングセラービジネス書を日本人向けのやさしい英語にリライトし、日英対訳にしたものです。
日本企業が世界進出で成功するために必要な組織論と、リーダーシップの概念を学べます。文化の違いを理解し、さらに会社としてのビジョンやモラルを現地に導入し、かつ現地が独立して新たなリーダーを育て、自立して世界レベルの作業に貢献できるリーダーシップを育てるにはどうしたらよいか、また新たな時代が求めるグローバルリーダーシップとは何か、がわかります。