In a defense white paper released in December, is a reaffirmation of Tokyo’s commitment to playing a more active role in East Asian security.
「台湾有事」への防衛とリスクを現地から考察すると
当然、軍事上の理由から、主要空港の空中からの撮影も禁止されています。
台湾の人々は、ロシアのウクライナ侵攻をめぐって諸外国がどのような反応を示すかを常に気にしています。ロシアの行為がそのまま成功へとつながれば、中国が同じように台湾に侵攻することもあり得るからです。
しかし、我々にとっての「有事」とは何かということについて、それを国やメディアが論理的に伝えているかといえば、極めて疑問です。
これから日本が直面し得る「有事」と「防衛」の実情
もちろん日本にとって最も確率の高い有事とは、台湾への中国の軍事侵攻に他なりません。習近平政権の基盤が脅かされるような事態が中国で起こったときに有事の確率が上がるかもしれません。そうしたときに、中国が主張する「一つの中国」という根本原理が完全に否定されたとき、つまり台湾が正式に国家として独立を宣言したときなどに、その確率が極めて高くなることは言うまでもないことです。それはウクライナがNATOへの加盟を宣言したときにロシアがとった行動をみればよくわかります。
では、有事で本当に被害を受けるのは何かということになります。
それは経済なのです。有事によって、またはそのあとに東シナ海と南シナ海の航行が困難になった場合、日本と海外を結ぶ物流に大きな影響が出てくることは誰もが予想できることです。また、半導体は無数の機器に使用されているために、その供給に課題が生じれば、日々の生活にも具体的な支障が出てくるはずです。さらに、その懸念から株価が暴落し、人々が所有する資産そのものがおびただしく毀損されることも容易に予想されます。
北朝鮮がミサイルを発射し、本土が攻撃を受ける可能性を声高に示威している背景には、むしろ日本の国民が本当の被害が何かということを意識することから逸らす目的があるのでは、とすら思えてならないのです。というのも、北朝鮮が単独で示威行為を繰り返しているとは到底思えないからです。
また、アメリカも北朝鮮が示威行為を繰り返してくれればくれるほど、極東の安全のために日本の協力を強く求めてくることは周知の事実です。日本の経済が弱体化し、アメリカへの依存が高まることはアメリカにとってもありがたいことでしょう。
そして、さらに極東への戦略を中国からみたときには、戦車による侵略ではなく、日本が経済的に崩壊するための目に見えない作戦を練ってゆく方が、地域全体により大きな影響がでることを理解しているはずです。
一方でアメリカは、軍事支援という名のもとに、イスラエルやウクライナに武器を供与しています。これで潤うのはアメリカの企業です。もちろん、アメリカの企業が潤えば、日本企業にも良い波及効果があるのは事実です。しかし根本は、アメリカ政府が武器を供与する予算を組んで議会を通過させれば、その資金はそのままアメリカ企業のバランスシートの売掛金に組み込まれるわけです。
では、日本の資金供与や対外援助はどうでしょうか。一部の建設業者を除き、それが国や企業のバランスシートの資産になることはないはずです。日本は明らかに、税金を資産に変えることができないまま、ただ他国にお札を渡しているのです。
日本にとっての有事を意識し、脆弱な経済防衛の見直しを
有事とは国土に具体的にミサイルが落ちることではなく、経済的な混乱によって国民の生活が疲弊することを意味しているのです。憲法を改正しようが、法制度を整えようが、こうした事実を照射しない限り、日本の有事を想定した外交戦略、さらには、防衛戦略は中身のないスローガンに基づいたお札のばら撒きだけに終わってしまうのです。
すでに、日本の防衛力は装備の面では世界有数です。しかし、経済戦略はというと、極めて脆弱です。それは、東芝がアメリカの原子力事業との合弁事業で破綻し、最も大切な半導体部門を壊滅させた過去の事例などからみても明快で、当然この事例は氷山の一角にすぎません。
憲法を改正しなくても、十分な防衛力は維持できるはずです。しかし、経済防衛があまりにも脆弱で、かつ意識も低いことが、TSMC戦略での試行錯誤に揺れる台湾に来ればよくわかります。
経済防衛は、ただ工場を多く造成することではありません。TSMCが苦慮しているように、グローバルに人材の流通が可能になるような、多角的な人材育成のプロットもそこに含まれます。
英語でのコミュニケーション力がアジアでも最低レベルといわれている日本が、こうした総合的な視野を持つには、構造疲労を起こした各方面での、思い切った手術が必要なのかもしれません。
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