After Renee Good Killing, Derisive Term for White Women Spreads on the Far Right
民主主義の「ガードレール」が破壊されようとしている
議会制民主主義国家が機能している場合、法が社会の規範をつくり、人は法によって裁かれる一方、その法律は国民が選挙で選ぶ代議士によって制定されます。
アメリカなどの大統領制度をとっている国は、国家の元首である大統領が国民によって選出される一方、大統領の権限は軍事と外交を主体としながら、国家全体の安全と繁栄に貢献するための権限が与えられ、議会や司法のチェックを受けることもあるのです。
当然、こうした機能を稼働させるためには、市民の言論や思想信条、さらに信仰などの自由が保障されなければなりません。
また、国際法も法である以上、それを批准した国は、それを国内法と同様に尊重するというのが、近代国家での民主主義のルールであり、ガードレールとなってきました。
アメリカの北部にあるミネソタ州で、今月7日に移民執行官(ICE)の職員が、自家用車に乗っていたルネ・ニコール・グッドさんを射殺するという事件が発生しました。トランプ政権になって以来、ICEによる移民に対する厳しい取り締まりと強制送還への脅威がアメリカの社会問題となっていました。彼らは不審に思った人物を拘束し取り調べる権限を持ち、かつ銃の携帯と使用も許されています。
グッドさんの場合、彼女はアメリカの市民であり、特に社会的にマークされていた人物でもありませんでした。しかし、ICE側は彼女が車で職員にぶつかろうとしたから発砲したと主張しています。ところが、現場にいた多くの目撃者はその事実を否定します。
事件の直後からICEの行為は犯罪だとして、抗議運動が全米でおこりました。

MAGAの憤懣の矛先が向けられようとしているのは
また、大統領は民衆の抗議活動を左翼による暴動だと非難し、反乱を鎮圧するために国軍を派遣することも考えると発言したのです。
さらに、事件の調査をFBIなどの国家機関が強制的に行ない、証拠の透明な開示もなく、地元の警察等の介入までもが困難になっていることも、地方の自治への重大な侵害だと人々は訴えます。
つまり、セクハラにしろ、人権侵害にしろ、歴代の政治家は弱者といわれる女性や有色人種、あるいは移民の権利に重きをおいて、白人男性は常に加害者として糾弾されると彼らは思っているのです。
今回の事件の犠牲者も、抗議に参加している人々の多くも、このカテゴリーの「人種」だと彼らは公言し、トランプ大統領によるガードレールをも破壊するかのような改革に溜飲を下げているのです。
この経歴だけでその人物をステレオタイプに捉えることは危険ですが、今回の彼の行為と、彼がMAGAであることを組み合わせると、今のアメリカの分断が、暴力を誘発するほどに深刻なものである現実が浮き彫りにされます。同時にそれを背景に、国軍の投入をほのめかし、事件の捜査を国が一方的にハンドルし、抗議者を威嚇までする現トランプ政権のスタンスにも危機感を覚えます。

中間選挙を前にアピールに固執するトランプ政権の手法
トランプ政権の手法は、こうした過激な意思表示によって、ガードレールが邪魔ならばそれを壊して、新しいガードレールを造ればよいという主張をすることで、民意を得ようとしているわけです。
このことが、外交面でいえば、グリーンランドの領有やベネズエラへの介入など、目に見えるその場での成果をもって中間選挙にアピールしようとする行為にもつながっているのです。
ですから、ミネソタの市長も州知事も、危機感をもってトランプ政権やICEに強い抗議を行なったのですが、その行為を受けて、トランプ政権や共和党系の政治家の多くが、彼らが反乱を煽動しているとカウンターアタックにでているのです。多くの共和党の議員は、今ではそうでもしないと票が取れないという危機感に陥っているのかもしれません。
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『怪談 Kwaidan: Ghosts, Yokai, and Curiosities in Old Japan』
小泉八雲 (原著)
ギリシャ生まれで後に日本に帰化した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の代表作『KWAIDAN(怪談)』は、1904年にアメリカで出版されました。八雲の妻である小泉セツから聞いた日本各地の古い民話や幽霊話などを基に、独自の解釈を加えて文学作品として英語で書き上げた『KWAIDAN』には、17編の物語作品と3編のエッセイをあわせた20編が収められています。本書では、日本人に馴染み深い怪談である「耳なし芳一」や「ろくろ首」「雪女」をはじめ、原書の20編が全て原文のままの英語で楽しめます。
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