As progressives, we have to lead the fight against Trump and his disastrous policies. But that’s not the only struggle we face. We must also transform the Democratic Party into a party which represents working families and the young, not just wealthy campaign contributors.
建国250年に広がる失望
アメリカの建国250年を祝う式典が全米各地で行われるなか、ひとつの世論調査の結果が公表されました。それによると、アメリカ建国の父といわれるジョージ・ワシントンやトーマス・ジェファーソン、そして奴隷を解放し南北戦争を克服したエイブラハム・リンカーンなどが、いまのアメリカを見たら失望するか、という問いに実に8割近くが「失望する」と答えたというのです。 この調査を行ったのは、中立的な調査会社として知られるギャラップで、CNNなどがその結果を報じました。仮に、どちらかといえば右寄りとされるFOXニュースが同じ調査を行ったとしても、多少の差はあれ、「失望しない」が過半数を占めることは、まずあり得ないでしょう。中立の調査機関による結果である以上、メディアの立場でそこまで大きな差が出ることはないからです。
もちろんこの結果には、近ごろのトランプ大統領の過激ともいえる政策や、それを支持するする人としない人との分断が、さらに深刻になっていることが背景にあります。中間選挙が4か月後に迫るなか、この分断が政治にどう作用するのか、アメリカのみならず世界中が固唾をのんで見守っています。イランやウクライナの危機、さらには世界経済の行方にとって、その影響が甚大だからにほかなりません。
ただ、ここで知っておきたいのは、危機感を抱いているのがトランプ大統領の支持母体である共和党だけではない、ということです。本来なら、トランプ大統領の支持率が下降気味になることは、民主党にとって追い風となるはずです。しかし、民主党も、多くの国民も、そう単純には受け取っていないのです。
確かに、前回の大統領選挙では、多くの中産層がトランプ氏に投票し、それが思わぬ旋風を巻き起こしました。そして、その後のトランプ関税や、ICE(移民・関税執行局)による過激な移民政策、さらにはイラン戦争などへの失望から、その旋風に乗った人々が「トランプ離れ」を起こしていることも事実です。
しかし、では、この膨大な有権者を民主党が取り込めるのかというと、そこに大きな疑問があります。有権者の多くは、物価や移民対策、そして何より、安定した大国アメリカのなかで安心して暮らすことを望んでいます。その願いに力強いメッセージを届けるには、いまの民主党はあまりにも声が弱く、右であれ左であれ、ポピュリズムに傾きやすい現代社会の空気に、対応できていないのです。
皮肉なことに、トランプ大統領の登場によって、共和党はかつての共和党ではなくなりました。世界に向けてリーダーシップを発揮し、国内ではアメリカの伝統的な価値を重んじ、三権分立に支えられた民主主義を守る——そうした保守の立場を維持してきた共和党が、極端なナショナリズムと移民排斥をテーゼに掲げる政党へと姿を変え、穏健な保守というカラーが塗り替えられてしまったのです。しかも、トランプ大統領自身が、議会を無視して戦争を始めるなど、法の支配への挑戦を続けるなか、共和党もそれに追随する政党になりつつあるのが現状です。
つい先日も、ワールドカップでアメリカの選手が受けたレッドカードについて、大統領みずからFIFAに注文をつけ、その出場停止処分の見直しを求めました。自国の、さらには自らの利益のためならルールさえ動かす——そんな露骨な行為に、共和党がブレーキをかけることは、もはや期待できなくなったようです。
では、民主党はどうでしょう。民主党もまた、大企業や富豪からの資金で運営されており、その実態はトランプ政権とそれほど変わりません。ところが、その民主党が、共和党の変化に応じて自らの色をはっきり打ち出したかというと、そこが中途半端なままなのです。
バーニー・サンダースや、彼と同じスタンスでニューヨーク市長になったゾーラン・マムダニのように、富裕層への課税をはっきりと掲げ、中間層や貧困層の暮らしを守る、そうした、極端ともいえる社会民主主義的な政策を、党として打ち出せずにいる。そのことが、民主党の影を薄くしているのです。トランプ氏に失望した人が、マムダニ氏に投票した、この現象が何を意味するのかに、民主党の指導者は答えを出せずにいます。
それは、トランプ離れした有権者の票が割れることを意味しています。そうなれば、岩盤支持層を持つトランプ大統領が、中間選挙までにイラン問題を収拾し、物価や雇用政策で成果を示れば、かえって選挙で有利な立場に立つかもしれないのです。

分断を越える有権者
こうした事態を意識した民主党は、候補者選びに党外の人物を積極的に起用する方針を打ち出し、より明確なメッセージを有権者に届けようと必死になっています。建国250年の式典は、共和党の強いレッドステートでも、民主党が優勢なブルーステートでも、同じようにパレードが行われ、花火が夜空を彩りました。しかし、その足元では、社会の分断が明らかに深まり、有権者の投票行動はますます見えづらくなっているのです。
つまり、トランプ大統領に投票した人が、対極にあるマムダニ氏を支持し、同じような有権者が、次の大統領選挙では今度はトランプ氏の推す候補へと回帰する、そんなことも起こりうるのです。有権者が分断にかかる見えない橋をするりと渡ってしまいかねない、現代ならではの社会現象が、華やかな独立記念日に沸く人々のただなかで起きているのです。
民主党は、党内の改革が急がれます。その危機感を抱く党員も、少なくないでしょう。そして共和党のなかにも、トランプ大統領の暴走についていっていいのか、と危惧する人がいないわけではありません。そうした人々が、これからどのように自らの党のあり方を問い直し、改革に挑んでいくのか、それが、今後の有権者の行動に少なからぬ影響を与えていくはずです。
アメリカの選挙は、投票の1か月前でさえ勝敗が読めないことが、しばしばあります。最後に、ポーカーゲームのように、ニコリと笑って強いカードを大衆の前に差し出せるのは誰なのか。それが予想できないのが、いまのアメリカだと言えるでしょう。
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『日英対訳 英語で話す中東情勢』山久瀬 洋二 (著)
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