Maeda from Japan is now at the plate pitching for the Dodgers.
(日本の前田が今ドジャースの投手としてマウンドにあがったよ)友人のメールより
今日、アメリカのワールドシリーズで、前田健太投手は3ランホームランの洗礼を浴びてしまいました。ワールドシリーズは一進一退の壮絶なゲームが続いています。
ここに紹介したのは、アメリカの友人からの短いメールです。彼とはここ6年間、様々な仕事を一緒にしています。
彼はロサンゼルスの郊外に住んでいます。普段はそれほど野球には興味がないのですが、さすがに地元の球団がワールドシリーズに出るとなるとその成り行きが気になるようです。
日本時間の朝10時に彼とスカイプで話をしました。
ロサンゼルスは午後6時です。この時間の場合、彼は通常は赤ワインをいれたグラスを手に、カメラの前に出てくるのですが、今日は普通のコップをもっています。
「どうしたんだい。ワインは飲まないのかい」と聞くと、
「今日はアイスティだよ。特に理由はないけどね」と応じます。
仕事の話を10分ほどした後、これからワールドシリーズを見るんだと言ったのです。
「それなら、きっと日本人の投手が出るはずだ。注意して見るんだよ」というと、
「わかった。そいつはドジャースだな」と念をおします。
「もちろんさ。Enjoy!」といってスカイプを終えたのです。
それから1時間半以上経過。
コンピュータに向かって仕事をしていると、このメールが飛び込んできたのです。
そして午後、遅い昼食をとコンビニで買ったサンドイッチをかじりながら、LA Timesのサイトを開くと、
Astros are one win from World Series title after outslugging Dodgers 13-12 in game 5
という見出しが飛び込んできたのです。
新聞のヘッドラインは、限られたワード数の中にニュースの緊迫感や臨場感を盛り込まなければなりません。この見出しは、そうした意味では珠玉の見出しです。ワールドシリーズまで勝ち残った2つのチーム。片方はヒューストン・アストロズ、そしてもう一方がロサンゼルス・ドジャースです。第5戦目、勝った方が王手をかける大切な試合でした。
outslugging という言葉に注目です。なかなか素敵な単語です。 slug は動詞でお互いに譲らず徹底的に戦うことを意味する単語です。そして同時に、玉などを強打するという意味でも使われます。その前に out がついているわけですから、まさにとことん戦って競り勝ったことを意味しているのです。
残念ながら、前田はホームランを打たれ、その後も乱打戦が続いた後、アストロズが13対12で延長戦を制したのです。ワールドシリーズのチャンピオンのタイトルまで、アストロズはあと1勝というわけです。
ところで、海外の人と英語で話をする時に、どんな話題を話せばよいか困っている人が多いと聞きます。たとえビジネスでの会話でも、スモールトークといって、このように仕事の話に入る前や後などに、世間話をするのも、海外の人と仕事をする上での大切なルールです。
今日は、そんな話題に最も適したニュースが転がっていたのです。そして、そんな会話と共に、ビジネスの打合せを済ませ、スカイプを終えた後に、この一行のメールが私のところに届いたというわけです。なんと気の利いたメッセージでしょうか。仕事を超えた人間関係を作ってゆく潤滑油のような一行メールというわけです。
海外とのコミュニケーション。それはやはり人と人との信頼関係を造ってゆくものでなければなりません。ジョークを飛ばす英語力がなくても、こうした一行メールを交わしながら、楽しく仕事ができれば最高です。
I hope Dodgers will survive with good pitch of Maeda in next game.
とこれから彼に返信をして、帰宅します。
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