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コロナの危機に向け、クオモ知事に学ぶべき日本の行政

“Again, I’m not 100% sure it holds or it’s accurate, but the arrows are headed in the right direction. And that is always better than the arrows headed in the wrong direction.”

(何度も言うように、私は全ての正確な情報を持っているわけではない。しかし、矢は正しい方向に向いている。全く誤った方向に向けるよりはましなはずだ。)
 

“Ventilators, ventilators, ventilators, we need 30,000. We have in the existing hospital system, 4,000 ventilators. This is just in the normal operation of hospitals, et cetera. We have a couple of thousand anesthesia machines in our hospitals and we’re converting them to work as ventilators.”

(何と言っても人工呼吸器が必要だ。我々は30,000の呼吸器を必要とする。しかし今、病院には4,000しかない。通常普通の病院ではそれで足りる。そこで、今麻酔装置を急ぎ人工呼吸器に改造しようとしている。)
― Andrew Cuomoの3月26日、27日のスピーチ より

為政者として市民に語りかける知事の姿

 新型コロナウイルスの拡散のように、全世界を揺るがす大事件が起こると、その国ごとの政治家や官僚、さらにはマスコミの特徴、長短が浮き彫りにされてきます。
 
 アメリカでは今、ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ評価が高まっています
 その理由は簡単です。前代未聞の大惨事の中で、彼は州知事としてほぼ毎日メディアを通して、冒頭に紹介したように市民に向けて、現状、今後の見通し、困難なこと、さらには今すぐやるべきこと、将来のために準備すべきことを、具体的な数字と資料を画像に映しながら説明しているのです。
 それも、ただ注意しましょうとか、外出を控えようなどといった日本の政治家の抽象的なインタビューとは全く異なった手法をとっているのです。
 
 まず、彼は机を前に座って話します。話し方はカジュアルで、常に情報の内容も状況に合わせて変化します。文章を読み上げたり、官僚の用意したものを反復したりしているわけではありません。彼の前にはマスコミ関係者が並んでいますが、決してマスコミに向けて話しているわけでもありません。常に市民に向けて語りかけています。市民や国民に向けて、首長となる行政の責任者が直接語りかけることが極めて少ない日本とは大きな違いです。
 彼は、知っていることと、まだわからないことをはっきりと区別して語ります。そして、それは「市民との情報共有」という政治家がなさなければならない根本的な義務に従い、透明に科学的な数字をもって行われます。よく短期間にこれだけ学んだなと思わせるような事柄も、そこには含まれています。
 
 数日前には、日本時間の深夜にカメラの前に現れ、「たった今まで大統領との会議が長引いたので、予定が遅れたことをお詫びします」と言い、その後しばらくの間人工呼吸器について語りました。そのほんの一部が、緊迫感溢れる冒頭のスピーチです。
 
 ニューヨークでは、コロナウイルスが蔓延するピーク時に予測される人工呼吸器の数は30,000台です。一台あたりのコストが、日本円でおよそ300万円かかることも正直に表明しています。そのための対応として、患者を一つの街だけで治療するのではなく、空いている街に移動させながら分散させ、ピークに備えるよう地図に図面を描いて彼は語ります。
 
 「私は今まで、人工呼吸器のことなど何も知らなかった。でも、今ではそのことで頭がいっぱいです」と本音で対応を進めていることを、あたかも家族に語りかけるように説明し、もし人工呼吸器が足りないときは手動の簡易呼吸器があり、それはこうして動かすのだと机の上に出し、実際に動かしてみせます。
 彼は、「ニューヨークは2週間前まで平穏だった。今はすべての行政力を総動員して、この恐ろしい敵との戦いに挑んでいる」と、戦時体制であることを強調し、すでに現場で戦っているニューヨーク市の警察官と警察署の職員ですら826人に陽性反応が出ていると伝えます。
 

地方分権において発揮されるリーダーシップ

 今アメリカでは、中国を上回るコロナウイルスの罹患者で溢れ、影響は全国に広がっています。地方分権が進むアメリカの特徴は、このように現場に近いリーダーが国に先だってどんどん政策を打ち出し、市民にそれを報告することです。ニューヨークの友人は、このことについて大変参考になるコメントをくれました。
 

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*インタビューはYouTubeにもアップしています。
「ニュースにならないコロナの現実 ニューヨーク編 Part 1 (7:18)」
https://www.youtube.com/watch?v=uQCrVW4DOUQ
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「こうした緊急時には外出禁止令にしても、警察官などの動員や病院での対応などは、全て地方の権限で迅速に進められる。アメリカは民主主義国なので、行政による管理が強すぎて人権などの問題に抵触するのではないかとよく聞かれるが、そのために4年ごとに選挙がある。だからクオモ知事のように、どんどんリーダーシップをとることができるのだ。彼が権力だけを行使して人権を侵害したり、コロナを利用して売名を試みたりすれば、次の選挙で落選するだけのこと。為政者が有権者のことを常にプライオリティのトップに置いていることが、こうした時には超法規的とも思われるものの、実践的な緊急時の迅速な行動や強いリーダーシップ、アクションを可能にしているのだ」

 
 これが彼のコメントです。
 失言を恐れ、官僚の練った文章に基づいて語る日本の指導者とは一味違う、民主主義のあり方が見えてきます。
 例えば、海外では治療の現場まで報道しています。しかし、日本では個人情報などの建前で、千葉県の森田知事など、ときには犠牲者の年齢すら明かさないのが現状です。罹患者と市民と行政とが一体となるには、こうした同じ目線に立った、建前だけに右往左往しない指導力が求められるのです。
 
 事が起きるまでは意外にも無防備に見えるアメリカが、ひとたび有事となると極めて柔軟に強い攻撃力を発揮できるのは、こうした背景にあるのでしょう。今回のコロナウイルスの件でもこの状況は変わりませんでした。このことは、1月28日付のブログでも予測しています。是非参照してください。
 
 アンドリュー・クオモは80年代に大統領候補になるのではと騒がれた、マリオ・クオモ元ニューヨーク州知事の息子です。彼は、日本にもよくある2代目の政治家ということになります。そんなイメージとは裏腹に、彼の強いリーダーシップによって、市民の間には彼こそ民主党大統領候補に向いているのではという声が上がっているほどなのです。
 

日本は行動もなしに感染爆発を迎えるのか

 今、日本のコロナウイルスの発症者は2,000名弱。ニューヨークもほんの前までは同様でした。これを思うとぞっとします。
 しかも、保菌者を割り出す検査を日本では抑制したままで、次の施策に移れずにただただ政治家は注意を抽象的に喚起しているだけです。
 「検査をするのは、保菌者の数を把握するためではない。そこを取り違えないように。保菌者が誰かを把握し対応するためなのだ」とクオモ知事は話し、中国より韓国より密に検査を実施していると説明しています。その上で、病院にはベッド数を大幅に増やし、コンベンションセンターを臨時の収容施設に改造するよう指導を強化しています。
 
 今、「我々は戦争状態にあるのだ」と世界の主だったリーダーは口を揃えています。戦争中には戦争中の予算があり、他のインフラ整備などの出費を削ってでも防衛に予算を切り分けます。こうした柔軟な知恵が必要なのです。
 この強い指導力と状況に応じて政策を変える柔軟性に、異議を唱える者はいないはずです。
 日本だけがこうした緊張と行動力の輪から取り残されているような、不快な疎外感を抱いてしまうのです。
 

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『あたらしい高校生 海外のトップ大学に合格した、日本の普通の女子高生の話』山本 つぼみ (著)あたらしい高校生 海外のトップ大学に合格した、日本の普通の女子高生の話』山本 つぼみ (著)
著者は、英語がまったく話せない普通の高校生でした。そんな彼女が地方の公立高校に通いながら、米国最難関大学と呼ばれるミネルバ大学を含めた日米豪のトップ大学の合格を勝ち取りました。 本書は、日本人が海外名門校を受験する苦労や、入学してからの体験談も豊富に紹介され、海外留学を目指す高校生にとって【必要な心構え】や【やるべき準備】を知ることができる、貴重な情報が満載です。
帰国子女でも有名進学校の生徒でもない彼女の挫折と成功体験の記録が、これからの時代に生きる高校生に、あたらしい選択肢を示す一冊です。

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