Why don’t you wear a suit you’re the highest level in this country’s office and you refuse to wear a suit just want to see if you do own a suit.
会談で交わされた関係者の発言を分析してみると
理解していただきたいのは、実際のアメリカのビジネスミーティングでは、あのようにヒートアップすることはよくあることで、私も何度か経験があります。
表題のように記者団とのやり取りの途中に、いきなりゼレンスキー大統領に対して、なぜホワイトハウスを訪問するときに背広とネクタイをしないのかと、突飛な指摘が飛び込んできたことが気になりました。
実は、質問したのは記者ではなく、そこになぜか出席していたトランプ氏側の人物だったのです。しかもその人物は、トランプ氏を熱烈に支持するマージョリー・テイラー・グリーン下院議員のボーイフレンドでした。どうしてこのような人物がバンス副大統領の側にいて、相手側を侮辱するような質問をしたのでしょう。
この質問は45分間のやりとりの中間で、全体の流れとは無関係に飛び出しました。こうした人物がそこにいて発言すること自体が異例です。そのときのトランプ氏側の人々の雰囲気をみたときに、実はホワイトハウスがゼレンスキー大統領をいかに「邪魔者」であると意識していたかが垣間見えました。
会談という政治の場でビジネスを強調する意図
捕虜虐待の写真や児童の誘拐などといったロシア側の残虐行為を直接示し、彼はアメリカ側に必死に訴えました。英語を聴くと、アクセントの強い言葉で、不利な条件の中で必死にウクライナが最低限必要としている安全と国民への保護を訴えていたことがわかります。痛ましい光景です。
彼は再三「まずディールをしよう」と繰り返します。さらに、記者団の質問に対しても自分はビジネスマンだと強調します。ウクライナをサポートするものの、その見返りなしにただ援助を繰り返したバイデン前大統領を厳しく非難し、過去の政権と自分は異なることを強調しました。そして私はビジネスマンで、アメリカの支援に対する代償としてレアアースを供給し、アメリカの産業に活用できるようにするといった取り決め(ディール)にまず合意することが、ゼレンスキー大統領の懸念を払拭するための前提だと強調し続けたのです。ゼレンスキー氏の安全への不安に対して「まずディールをしよう。そうすれば大丈夫だから」という対応を繰り返したのです。
それは、バンス副大統領がいきなり苛立ちを露わに、大統領がここまで話し合いに応じているのに、ホワイトハウスという場所で、アメリカの記者団に対してあなたの対応は失礼だと指摘したことでした。これはいわゆるトドメでした。しかも、そのコミュニケーションスタイルが、東ヨーロッパの人々を刺激しやすい、ストレートで強い口調だったのです。ゼレンスキー大統領がその発言に強く反発した瞬間に、トランプ大統領がバンス氏を擁護しながら、ゼレンスキー大統領にディールへの合意を強く迫ったことが、会談を一挙に破局に導いたのでした。
ディールを盾にした「脅迫」にどう対応するべきか
「あなたは戦争で追いつめられ、切れるカードもなくここに来た」というトランプ大統領の恐喝にも近い批判に晒されながら、ゼレンスキー大統領が自国の安全と戦闘員の保護への要求を曖昧に処理されたことへの怒りが、最後にバンス氏に背中を押されるように会談を決裂させた原因となりました。
根本は、トランプ大統領が再三指摘してきた、自分はビジネスのディールをしているのだという未来のみを語る言葉にあります。それに対して、戦争による被害の実態を理解してもらい、二度と同じことが起きないよう、アメリカのサポートを要求する、過去と現実をあわせて語るゼレンスキー大統領の異文化ともいえる意識との隔たりが、バンス副大統領の会話への介入で顕著になったのです。
実際、和平がアメリカの経済と軍事力を背景としたビジネス的な「脅迫」によって達成されようとしていることに、世界は当惑しています。それが、ゼレンスキー大統領が最後までアメリカだけではなく、ヨーロッパの重要性を強調した本意であるといえましょう。
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『日英対訳 世界の歴史[増補改訂版]』
山久瀬 洋二 (著)、ジェームス・M・バーダマン (訳)
シンプルな英文で読みやすい! 世界史の決定版! これまでの人類の歴史は、そこに起きる様々な事象がお互いに影響し合いながら、現代に至っています。そのことを深く認識できるように、本書は先史から現代までの時代・地域を横断しながら、歴史の出来事を立体的に捉えることが出来るよう工夫されています。世界が混迷する今こそ、しっかり理解しておきたい人類の歴史を、日英対訳の大ボリュームで綴ります。
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