President Donald Trump is heading into another volatile week of his trade wars facing an urgent need to de-escalate the clash he ignited with China before it inflicts deep damage on the US economy.
米中「関税合戦」の行方に翻弄される台湾
そんな市長を称え、そこに集まった台湾の60名の中小企業のオーナーを前に祝辞を述べたのは、福岡で台湾の総領事を務める陳銘俊氏でした。彼は民進党の中にあって総統の秘書も務めたことのある人物です。そんな彼が祝辞を台湾語と流暢な日本語とを併用して述べたのです。
台湾の元々の言語で、台湾で広く使われている中国語とは異なる言葉で祝辞を述べる彼の顔が、心なしか緊張しているように思えたので、横に座る友人にきいたところ、外交官である領事が中国語(台湾華語)を使わず、台湾語で祝辞を述べることは極めて異例だし、そこには彼個人の強い意図があるようだというのです。
中国とアメリカの関税をめぐる釣り上げ合戦によって中国が追い込まれたとき、彼らが台湾に対してどのような対応をしてくるのか、誰もが気にしているはずです。
中国がこれ以上追い込まれないように固唾をのんで見守っている人がいかに多いか、その緊張感が伝わってきます。
「今回の企業団体の団長は国民党だからね。複雑なつばぜり合いだよね」
台湾の友人はそう話してくれました。彼自身も元外交官だけに、心中複雑なものがあったのでしょう。
対米輸出が困難な中国が掌握する反応中間体
反応中間体とは、簡単にまとめれば化学反応をくり返して一つの物質が生成されるとき、その過程で発生する物質のことです。この物質を活用して先端技術に必要な化学製品が生成されるのです。そして、その物質の多くが中国で製造されているために、アメリカの自動車産業や先端技術関連の製品に甚大な影響がでるはずだと、その人は指摘したのです。
例えば、半導体の製造の前工程の中で、シリコンウェハー上に回路を製造するときなどに使用されるフォトレジストという感光材料は、反応中間体が媒介して生成されるものなのです。同様の事例は半導体製造の細部にわたって指摘できるのです。
それは、もともと反応中間体の製造で秀でていたのは日本だったという事実です。しかし、この物質の製造過程で発生する公害や環境汚染への規制のなかで、日本で製造が困難になった反応中間体が多数あるわけです。この事情は欧米などでも同様でした。これに規制がゆるい、あるいは公害問題などが発生したとしても隠蔽が可能な中国やロシア、さらにはインドなどが目をつけ、その製造技術を進化させたのです。
こうした歴史的な過程を考える時、華々しいグローバル経済の裏側を覗いたような気がします。同時に、世界の物流がどれだけ複雑に絡み合って、製品が造られているのかも痛感させられます。
単にMade in Chinaとレッテルを貼られたおもちゃやマグカップだけに関税の影響がでるわけではないことが、ここからも理解できるのです。
台湾の半導体事業と独立維持の行く末は
台湾や日本にとって、中国にそうした生産技術が集中していることは確かにリスクです。であれば、多くの企業はその製造元を多様化するように、中国以外の国からの供給ができないものか、血眼になって探しているのはいうまでもないことです。
こうした世界経済と世界のパワーゲームとのデリケートな関係、そして矛盾を、トランプ政権があまりにも場当たり的で、どのようについてくるのかが見えないところに、問題があるわけです。
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『基礎から学ぶ 実用台湾華語 初級』
国立台湾師範大学国語教学センター (著)、古川 裕 (監修)
国立台湾師範大学が台湾華語の標準テキストとして作成した学習書の日本語版が登場! 中国語の学習経験がない学習者を対象にした本書は、台湾に留学して中国語を勉強する学生や、 海外の高校や大学で中国語を勉強する学生に広く使用されており、口語から書き言葉、そしてリアルな日常会話まで、基礎から本格的に学べる学習書です。
・台湾で日常的に使われている現代中国語を採用
・ピンイン(漢語拼音)を併記
・文法及びタスクベースの2種類の練習問題
・中華文化に関する読み物を掲載
・台北を中心にした親しみやすい会話
・会話文の簡体字も掲載
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