The Sagada people have been practicing such burials for over 2,000 years, however, not everyone is qualified to be buried this way.
ルソン島北部の山奥深い村に残る高地人たちの文化
つい先日も、バングラデシュで雷雲の異常な発生によって落雷で死亡する人が増えているという不気味な報道がありました。そして、今回の北陸での大地震です。地震と異常気象とでは自然災害の原因に大きな違いがあることは周知の通りです。しかし、地球の温暖化が叫ばれているなかで、大規模な戦争などによって、自然が確実に破壊されていることは事実でしょう。このことはすでに何度か取り上げた話題です。
そこはマニラから車で行けば10時間はかかるところで、幾重もの山を越え、最後に高原に向かって一挙に登り切ったところにある村です。周囲には世界遺産の棚田があり、切り立った山の斜面を何百年にもわたって耕し、まさに天にいたる無数の棚田が訪れる人を驚嘆させます。
貴重な文化とアイデンティティを守りながら懸命に生き抜く人々
ジェイクはそんなサガダで自宅を小さな博物館にして、祖父の遺品を展示し、時には販売するのです。特別な許可をもらって、そこに展示されていた祖父の写真をiPhoneに収めました。実際、これらの多くはナショナル・ジオグラフィックなどにも取り上げられていて、私もそれらの一つがナショジオのカバー写真に掲載されていたことをうっすらと覚えていました。しかし、フィリピンの辺境の地で祖父の死後、祖父の母国の親族とのつながりも途絶えたまま、現地人として成人したジェイクには、コピーライトの意識がありません。ですから、写真を無断で掲載することには難色を示しているものの、それらをどのように保護し資金化してゆくかというノウハウを持ち合わせていないのです。子供が病気になったとはいえ、医者にみせるにも、病院ははるか遠くの都市にあり、コストもかかります。ですから、彼は祖父の資産を切り売りし、我々のようなビジターに販売しようと必死なのです。
異常気象が人々の生活と文化遺産を破壊してしまう前に
実際、近代化によって高地人がその生活を放棄するなかで、サガダやバナウエイの棚田は崩壊の危機にさらされたこともあったのです。いわゆる絶滅が危惧される文化としてユネスコなどが警鐘を鳴らしたのでした。しかし、今棚田はしっかりと整備され、人々は自らのアイデンティティを守りながら、近代化をも受け入れてそれを観光資源へと変えようとしています。
我々が無意識のうちに傷つけている環境が、サガダの人々にとってはそこに至るたった一本の崖をうねる道が、失われてしまう現実を強く感じた旅でした。
エドアルドの遺業を大切に保存したいものです。そして、ジェイクの子供が医療の恩恵を受けられるように祈っています。さらに、そのささやかな恵みの向こうに、フィリピンという国のルーツが解き明かされ、その先には日本も含む環太平洋文化の古代から現在に至るメカニズムの解明にもつながる道があるのだということを、ここに記したいと思います。
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『フィリピン語 日本紹介事典 JAPAPEDIA』
IBCパブリッシング (編)、クリスティニー・バウティスタ (訳)
日本の四季と暮らし・伝統文化と芸術・マナーや日本食から、都道府県の紹介まで、いまの日本を正しくフィリピン語で紹介するためのフレーズ集。人口は1億人を突破、アジアで上位の経済成長率、平均年齢20代という未知の力を秘めた国、フィリピン。日本における外国人労働者数も国籍別で3位と日本との繋がりも深く、親日家の多い国としても知られています。本書は、ビジネスでもプライベートでも、日本について聞かれたとき、知識として知っていることをフィリピン語で正確に伝えることができるようになるフレーズ集です。
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