In the aftermath of the 2024 election results, Americans are rightfully worried about what a second Trump administration may bring.
トランプ氏当選で浮き彫りになった反移民の潮流
前回の記事では、なぜ人々がトランプ氏を支持するのかというテーマについてまとめてみました。今回は、その延長線に立って、この度の選挙を少し大きな視点から見つめてみましょう。
そこには共和党と民主党の、あるいは若い世代と第二次世界大戦を経験した世代との確執はありました。さらに、公民権が制定されて間もないこともあって、人種間の対立も確かにありました。しかし、少なくともメキシコからの移民を標的にして、アメリカを排他的に作り直そうという動きはありませんでした。むしろレーガン政権の時代は、アメリカのナショナリズムは高揚したものの、新移民と呼ばれたアジアや中南米からの移民が、社会を活性化させる原動力になっていました。
“フロンティアが消滅した”アメリカに移民は
人類は数千年にわたって人口が増えるに従って、新たな土地を求めて移動し、その過程で富を奪いあい、先に獲得した豊かさを後発の人々が奪うことで、攻防を繰り返してきました。そんな人類にとって最後の空き地が新大陸でした。500年前にヨーロッパの人々が新大陸に移住をはじめて以来、アメリカは先住民よりもはるかに多くの移住者を受け入れ、それによって国家ができ、さらにその国家も流入する移民の力によって豊かになり、超大国にまで成長しました。
とはいえ、アメリカ社会は今でもハングリーな移民がいなくなれば、社会を動かす労働力そのものが得られない仕組みになっています。豊かになった人は自ら自分の庭の芝生を刈らないのです。この芝生を刈る人を標的にして、彼らによって伝統的なアメリカの価値が奪われると訴えたのがトランプ氏でした。
そして彼が当選したことの本質はというと、アメリカという新大陸が、500年経過してすでに新大陸ではなくなったことを内外に示したことになります。もっといえば、人類にとって何か起きたときに逃げ込める新たな土地がこれでなくなり、地球から文字通りフロンティアが消滅したことをトランプ氏は内外に示したことになります。その上で、アメリカはアメリカのやり方で社会を作るのだということを「アメリカファースト」というスローガンに盛り込んだのです。
トランプ政権の誕生は世界に何をもたらすのか
それに対して、例えばネットメディアで政治評論をするジョン・スチュワート氏などは、アメリカ社会には民主主義を守ろうとするガードレールがあり、それを踏み越えることはできないといいます。だから、トランプ氏が大統領になったとしても、戦前のドイツに起きたような危険な右傾化は、そのガードレールによって守られるべきだと語ります。
世界の状況などにまったく興味のない人々が広大な国土の中に拡散し、彼らが統計や科学的事実をフェイクニュースとして、トランプ氏の振りかざす星条旗のもとに集まりました。このパワーの源泉は紛れもなく、キリスト教社会を主軸にした白人男性集団の本音にあります。このパワーがこれからどこに向かうかは、確かに世界が注視しなければならない重要な課題です。
それを行ったうえで一ついえることは、ただアメリカに追随する日本の姿勢が本当に大丈夫なのかという問題です。トランプ政権の今後が読みにくいだけに、風見鶏を決め込むのは大きなリスクといえそうです。
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