Democracy is a pivotal crossroad that will determine the nation’s future.
民主化の道程にある試行錯誤と挫折の歴史
それから16年後の2007年に2度目の旅をしたとき、高速道路も伸び、その沿線に新しい物流倉庫などが点在している様子から、資本主義国家としてのこの国の将来性に期待したものでした。
ハンガリーが民主化をはじめた当初、アメリカなどから多くの教授が招かれ、大学などでは、資本主義とはどういうものかという啓蒙活動も盛んに行われていました。というのも、共産主義下の社会に馴染んできた人々は、上意下達の意識が強く、社員が常に上からの指示を待っていたことで、企業のイノベーションが阻害されていたからです。
ドイツは、第一次世界大戦まではカイザーと呼ばれる皇帝が君臨する国家でした。そして革命によってドイツ帝国が崩壊し、一時民主化をしたものの、あえなくヒトラーによる独裁国家となってしまいました。
そして、フランスのような革命を経験したロシアは、その後共産主義という新たな独裁体制へと移行し、ソ連が崩壊したあと、一時民主化が進んだものの、あえなくプーチン大統領による独裁体制に近い政体へと移行してしまいました。
お隣の韓国でも、王政がなくなり、日本による植民地化を経験し独立したものの、その後長い間軍人による独裁体制が続き、民主化が本格的に進んだのは80年代末のことでした。しかも、今でも徴兵制が残り、組織での強い上下関係が完全に排除されたわけではありません。
数百年、中国のように数千年の皇帝や王権による独裁体制が続いていた国々では、人々が民主主義の旗を振ってそれを倒したとしても、結局は新たな指導者が国家を率いて民衆の自由を束縛するわけです。そして大多数の人々は上意下達を望み、その体制に安住してしまいます。
“民主主義の国”アメリカと意識がすれ違う国々
アメリカはそもそも皇帝や王の存在しない無の大陸でした。
しかも、この無の大陸で新たな富を築こうと、世界中から移民が押し寄せたために、単一国家として一つの民族の上に立つ権威を作ることは不可能でした。そこで、彼らは大統領制という新たな制度を生み出し、その権限は4年ごとの選挙で決められるようになったのです。つまり、アメリカは民主主義が育つアドバンテッジと土壌が最初からあった国家なのです。
アドバンテッジを持って民主主義国家を建設できたアメリカと、そうではない国々とでは、人々の意識そのものが異なります。
職場で上司と部下という上下関係はあっても、自らが異なる意見があれば、上司に対してでもそれを堂々と主張する空気があるアメリカ人が、日本やドイツに来れば、そこにある上下関係への意識の違いに戸惑ってしまうのです。そして時には、そんな国々の人のことを「コンサーバティブな連中」と批判します。そんな批判に遭えば、批判された側は「アメリカ人は優越感の塊」だと反論します。
ハンガリーやトルコなどに燻る反米感情もこうした行き違いが原因です。アメリカ人がそれぞれの国家や社会に根付いている伝統やものの考え方を心から理解できないのは、アメリカ人がもともと育ってきた歴史的な環境に起因するものだとは、なかなか気付かないのです。
アメリカに左右されない独自の国家運営を
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