Jewish Cattle Traders in the German Countryside, 1919-1939, examines the complexities of relations between Jews and non-Jews who were engaged in economic and social exchange.
ある友人が著すスイスのキャトル・トレーダーについて
そして彼は、一年の半分はそんなドイツ系の人々の多く住むスイスに行きます。というより、スイスにも山荘があってそこで執筆の仕事に携わります。
日本文化など、海外のさまざまな文化を題材に執筆をする彼がなぜ農業についての本を書くのだろうと質問してみました。
牛を求める人と牛を売る人との間に立って、売買の仲介をすることで生活をしていた人々です。彼らの収入は、その売買を通して手数料を得ることです。しかも、彼らは仲介業を営みながら、ときには牧場経営に必要な資金などを人に貸して利息を得ることもやっていたのです。スイスの金融業のさきがけだったわけです。
家畜商を担うユダヤ系と保守的なスイスのビジネス文化
その仕事は家業として代々引き継がれ、年月を重ねて拡大した農家とのネットワークを活かして、彼らはトレーダーとしての地盤をつくっていったのです。
小説の中では彼がユダヤ系であるということは明記されてはいませんが、これを読んだ人の多くが、彼がユダヤ人のステレオタイプとして描かれていることを想像してしまいます。あのシェイクスピアの『ヴェニスの商人』に登場するユダヤ人のシャイロックに直結したイメージだからかもしれません。
キリスト教徒でないことから周囲から常に偏見に晒されてきた彼らがキャトル・トレーダーのイメージと見事に合致するわけです。そんな偏見が19世紀から20世紀にかけてロシアなどでの組織的な迫害に発展し、最終的にはナチスによる殺戮に繋がったことは周知の事実です。
スコットの祖先も、そうした彼らにとって暗黒の時代にアメリカに移住してきました。
アメリカで分断が進むユダヤ系コミュニティ
ガザへの侵攻に反対している人々と、イスラエルの権利を主張する人々との分断です。そして、アメリカのバイデン前大統領は、この分断によって多くの票を失いました。
スコットは、トランプ政権が誕生したことに強いショックを受け、しばらくアメリカを離れたいと語っていました。今、どこで何をしているのか。ただ連絡を待つのみです。
今までは気軽にインターネットに政治的な意見をアップしてきた彼らの中で、差別や迫害を恐れ、それを控えている人がいることには驚かされます。
キャトル・トレーダーの遺伝子は、彼らの中にしっかりと残っているのかもしれません。
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