Misunderstandings in business communication in fact usually arise in the smallest matters, and then the wounds just keep getting bigger. Typical examples are cases where exchanges between two parties break down because of differences in the evaluation they make of each other, and the kind of impression they want to make.
「吾輩は猫である」の表現から見える日本語の複雑さ
英語版のタイトルは I am a cat で、まさにそのまま日本語のタイトルが翻訳されていることになります。
日本語では「吾輩」と、「猫である」というこの二つの表現から、我々が様々な事柄を想像できるということを。
逆にいえば、I am a cat の I は、「吾輩」とも「僕」とも、「わたくし」とも、さらには「俺」などといった様々な言葉になりうるのです。
しかし、英語では「I」というたったひとつの単語しかありません。
しかし、「私」という主語が様々な単語で表現されている事実は、今でも変わっていません。
では、英語で「吾輩は猫である」という文を、そのイメージに合ったように表現するにはどうしたらいいのでしょうか。
また、「猫である」という言葉遣いもなかなか英語にはなりません。「a cat」は、「猫である」以外にも「猫でござる」ともいえますし、「猫でございます」とも置き換えられます。
そして、「吾輩」という主語があれば、最も適した表現はやはり「猫である」となるわけです。
こうしてみると、日本語がいかに複雑な言語であるかがわかってきます。
言葉だけではない、複雑な日本の「場」と「間」の概念
それは、日本人は、どういった「場」でどのような言葉遣いをするか、無意識に使い分けているということを物語ります。
顧客の前で使う言葉を友人との会話では使いませんし、同僚にも使いません。いわゆる状況によって敬語など様々な表現を駆使しないと、社会で信用を得ることができないのです。
日本人には、「場」や「間」といった見えないプロトコールがあり、話題の内容もそのプロトコールに従って選ばれます。
例えば、上司とのコミュニケーションでも、それが会議の「場」なのか、仕事の後のお酒を介した食事の「場」なのかによって、情報の共有方法も異なるのです。
この情報共有のタイミングがわからず、英語は通じても、日本人からうまく情報が引き出せず、仕事の進め方がわからないままに戸惑う海外の人も多いのです。
「吾輩は」とふんぞりかえって語る人も、その人の先輩や身分の高い人の前では「わたくし」というふうに改まった表現で接するはずです。
しかも、大切な情報は公式な場ではなく、むしろ非公式な場で共有されるかもしれません。明治時代なら、「吾輩」といっていた人が、お酒の席で部下に「きみねえ」というふうに言葉をカジュアルにすれば、そこで本音を交換するはずです。
このタイミングを読めないと「間の悪いやつ」ということになるわけです。
文化の異なる人々とのコミュニケーションに隠れた「罠」
ですから、日本流の「場」を意識せず、ストレートに本音で情報を交換しようと海外の人が試みても、思うようにいかないわけです。
特にアメリカ人の場合、会議は意見やアイディアをカジュアルに交換する場所に他なりません。しかし、日本では多くの場合、会議は公式な場であって、その「場」の前や後に、根回しの形で調整が行われているケースが多くあります。これは、海外の人にとっては極めて難解でミステリアスです。
根回しをいつするべきか、会議で本音を交換してよいのかを理解できず、会議の「場」でいきなり Yes か No かを迫ってしまい、日本人が戸惑い、ただ曖昧にいなされるというケースは数えきれないほどあるのです。
ここまではっきりと主張することは失礼じゃないかと憚り、会議の席で沈黙し、後になって意見を改めて表明しようとして、相手からなぜ会議で率直にいわないのかと不審に思われることもあるのです。
これが、お互いに悪意がないにもかかわらず、見えない文化の罠に囚われて、相手とうまく信頼関係を築けない原因にもなるわけです。
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今回の記事に関連したインタビュー動画を YouTube にアップしています。
国境を越えて外国人と働くこと、「ダブルスタンダード」の苦悩など、体験者の生の声をぜひご覧ください。
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