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トランプには保守層への南北戦争以来の明快な答えが必要??

“Gary Langer of ABC News points out that Trump has the lowest approval rating for a president heading into his first midterms in polling dating to 1954.”

(ABCニュースのゲイリー・ランガーは、トランプ政権は1954年に中間選挙への世論調査が始まって以来、最低の支持率となったと指摘)
(New York Timesより)

我々が歴史を検証するとき、ともすれば過去に教えられた「常識」に従いがちです。
しかし、歴史上の重要なイベントは一つの常識だけでは分析できません。
そこには、常に現在にもつながる様々な矛盾や、そこから導かれる原因と結果が含まれます。
 
今回は、来月行われるアメリカの中間選挙を見据えて、その視点から150年以上前にアメリカを二つに割いた南北戦争について考えます。
 

南北戦争と「奴隷制度」

南北戦争といえば、アメリカから奴隷制度 slaveryが廃止された戦争として知られています。
それは、奴隷制度を廃止しようとしたアメリカ合衆国から離脱して独立しようとする南部諸州 Confederateと、あくまで統一したアメリカを求める合衆国政府 Unionとの間の戦争でした。
 
一般的にみれば、奴隷制度を廃止し、その人権を擁護したことが南北戦争の意義として評価されています。
しかし実際は、南北戦争によって黒人への差別が廃止されたわけではありません。むしろその後、アメリカを再度統一国家にするには、様々な矛盾を乗り越えなければなりませんでした。それは、奴隷制度を廃止して前に進もうとする社会に、多くのブレーキをかけたのです。
 
まず、再び国家が分裂しないように、南部にどう対応するかということが大きな課題となりました。南部の諸州は戒厳令下に置かれ、政府の監視の中で復興してゆきます。しかし、その一方で南部との妥協も必要でした。
その妥協の過程で、アメリカ政府は、南部諸州がジム・クロウ法 Jim Crow lawsと呼ばれる法律によって、黒人と白人とを分離させ、差別することを許容する法律を黙認します。その妥協のもとに、南部諸州はアメリカ合衆国に復帰したのです。
 
アメリカは、自由と平等を国是とする国家です。
そんなアメリカに黒人や非白人系の人々への差別が、公民権法が制定される1964年まで組織的に認められることになります。
 

南北戦争と「地方分権」

一方「自由」といえば、アメリカは独立当初から、人々が中央政府 Federal governmentに拘束されることを嫌い、それぞれの地域の政治的な自立と自由裁量を認めていました。そのため、アメリカ人の多くは、伝統的に中央政府が強くなることに警戒感を抱いてきました。この地方の自主独立の原則を盾に、南部が反抗したことが、南北戦争へとつながったのです。結果として、南北戦争後は、連邦政府が強権を発動して鎮圧した戦争となり、以後アメリカでも地方の権限より中央の権限の方が重んじられるようになったのです。そして、この地方と中央との確執は、その後ずっとアメリカの政界を左右してきました。
 
例えば、オバマ前大統領が政府主導の健康保険をといえば、それは中央の管理が強くなるということで、反対がおこります。銃規制を行おうとすれば、それは個々人、そして各地域の事情を無視し、政府だけが武器をもてる危険な状態だとして、反対運動がおこります。トランプ大統領は、そうした地方の権利を容認する政策を打ち出し、大統領に当選したといっても過言ではありません。
 
ここで、トランプ政権の支持母体について考えてみます。
彼らの多くは大都市ではなく、地方都市、農村に居住しています。
彼らこそが、伝統的に中央の影響を嫌い、銃を所持し、自らの住む地域の自立を支持する人々です。彼らは、共和党右派の支持母体です。
そもそも南北戦争の頃は、地方の権利を主張し、綿花栽培などのプランテーション経営のコストを削減するために、奴隷制度を存続させることを容認していたのは、民主党でした。そして、奴隷制度を廃止し、アメリカを国家として統率してゆこうとしていたのが、共和党だったのです。リンカーン大統領は共和党の大統領でした。
 
しかし、その後、南部との妥協や西部の開拓などによって巨大化したアメリカ社会の中で、共和党が保守化し、民主党と政策や立場が入れ替わっていったのです。
20世紀になると、民主党は労働組合などとの連携を深め、人権や人種差別の撤廃などに対して、国家が率先して改革をしてゆく立場をとってゆきます。
そして、共和党は伝統的な地方分権をよしとして、より中央政府の関与を制限し、「小さな政府」という立場を支持するようになりました。
 

新たなる「分断」の時代へ

トランプ大統領は、まもなく中間選挙の洗礼を受けなければなりません。
スキャンダルや二転三転する政権内の人事問題などで支持率が陰りながらも、好景気と北朝鮮との融和や中国への関税制裁など、独自の外交政策で人気を挽回したいというのが、彼の本音でしょう。
そして、彼が中間選挙を勝ち抜き、共和党が議会の多数派を占めることで安定した政権を維持するためには、ここで解説した共和党の支持者の心理をしっかりと把握してゆくことが必要です。南北戦争以来の、保守系の人々の民意の揺れ動きに同情してゆくことが必要です。
 
地方分権を支持する人々は、大きな権力を持つ中央政府と同じように、大きな影響力を持つ国際的な大企業を嫌います。
グーグルアップルといった企業が移民政策を巡って、トランプ大統領と対立する構図は、それを際立たせることで、保守的な有権者への有効なアピールとなるはずです。
 
ただ、南北戦争の頃と同様に、現在のアメリカは、この共和党保守層と民主党系の人々との確執が、論争の域をこえて感情的なものへと変化しつつあります。
お互いに相手方を敵視し、議論の余地もなくなるほど対立が激化しています。
現在は、南部と北部との分断ではなく、この世論の分断が大きな社会不安になろうとしているのです。中間選挙はそうした緊張の中で、その結果が注目されているのです。
 

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『I Have a Dream!』マーティン・ルーサー・キング・ジュニア (著者)、山久瀬洋二 (翻訳・解説)I Have a Dream!』マーティン・ルーサー・キング・ジュニア (著者)、山久瀬洋二 (翻訳・解説)
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