Selective listening is a listening technique that filters input to achieve the listener’s goal.
(セレクティブリスニングは、聞き手のゴールを達成させるために必要なフィルターの役割を担っている)
― Lateral Communication より
Optimistic =「楽観的」?日米で異なるとらえ方
最近 Optimistic という言葉を使って実験をしました。
Optimistic を英和辞典でひくと「楽観的」という言葉が出てきます。
それを前提に、「あなたの考えは楽観的だね」という言葉をビジネスのミーティングで聞いたとき、あなたはそれを褒められていると思うか、批判されていると思うか、と尋ねたのです。するとセミナーに参加した20人のうち、16人が批判されていると思った、と答えてくれました。
Optimistic を英和辞典でひくと「楽観的」という言葉が出てきます。
それを前提に、「あなたの考えは楽観的だね」という言葉をビジネスのミーティングで聞いたとき、あなたはそれを褒められていると思うか、批判されていると思うか、と尋ねたのです。するとセミナーに参加した20人のうち、16人が批判されていると思った、と答えてくれました。
楽観的という言葉は、ものごとを安易に考えて前に進もうとすることを意味しているからと多くの人が考えたのです。
そこで、Optimistic という英語のままで、同じ質問を20人のアメリカ人にしたところ、全員が褒められていると解釈しました。
そこで、Optimistic という英語のままで、同じ質問を20人のアメリカ人にしたところ、全員が褒められていると解釈しました。
辞書を日本人が作るとき、Optimistic を日本人なりの解釈で解説したことがわかってきます。元来 Optimistic とは、「Opt」という「先を見てしっかりと決心する」という意味から派生した言葉で、未来を見つめる強い意思を意味する言葉です。
これを楽観的、あるいは楽天的と翻訳したとき、日本人は「温故知新」という考え方に依拠して解釈したのではないでしょうか。つまり、「古きを知ってこそ新しいことがわかってくる」という伝統的な価値観が、Optimistic という言葉を安易な言葉だと解釈させたのかもしれません。
これを楽観的、あるいは楽天的と翻訳したとき、日本人は「温故知新」という考え方に依拠して解釈したのではないでしょうか。つまり、「古きを知ってこそ新しいことがわかってくる」という伝統的な価値観が、Optimistic という言葉を安易な言葉だと解釈させたのかもしれません。
文化が異なると、このように同じ言葉でも違った光の当て方をするものです。
日本をはじめアジアの多くの国では、過去を検証することから未来を積み立てようという意識が比較的強く、アメリカなどの移民が多く生活する国では、過去は過去で、問題が解決すればそれを忘れて未来へ向かおうという意識、つまり過去より未来の方に重きを置きます。
ビジネスの上では、このアメリカ人の行為を見て、多くの日本人は無責任であるとか、身勝手、自己中心的な態度だと心地よく思いません。逆に、過去のことで反省を求め、責任の所在までをもはっきりさせたがる日本人を見て、アメリカ人はなぜ move forward(前に進もうと)しないんだろうと不可思議に思い、日本人のそうした意識を、意味のない面倒なことだと感じてしまいます。
日本をはじめアジアの多くの国では、過去を検証することから未来を積み立てようという意識が比較的強く、アメリカなどの移民が多く生活する国では、過去は過去で、問題が解決すればそれを忘れて未来へ向かおうという意識、つまり過去より未来の方に重きを置きます。
ビジネスの上では、このアメリカ人の行為を見て、多くの日本人は無責任であるとか、身勝手、自己中心的な態度だと心地よく思いません。逆に、過去のことで反省を求め、責任の所在までをもはっきりさせたがる日本人を見て、アメリカ人はなぜ move forward(前に進もうと)しないんだろうと不可思議に思い、日本人のそうした意識を、意味のない面倒なことだと感じてしまいます。
異なる行動様式から考える「セレクティブリスニング」
最近、セレクティブリスニング(selective listening)という言葉について、長年アメリカに住む日本人から聞いたことがありました。
セレクティブリスニングとは心理学用語で、自分がやりたいことなどに集中しているとき、人間は無意識のうちに他の声を排除して自らが集中していることに関係したメッセージだけをピックアップする、という心理作用を示した言葉です。
セレクティブリスニング自体は学術用語なので、そこに良い悪いといった価値観は介在しません。しかし、Optimistic をよしとする文化の中で生活する人は、セレクティブリスニングを行う頻度が高いのでは、という仮説を考えてみたいのです。
セレクティブリスニングとは心理学用語で、自分がやりたいことなどに集中しているとき、人間は無意識のうちに他の声を排除して自らが集中していることに関係したメッセージだけをピックアップする、という心理作用を示した言葉です。
セレクティブリスニング自体は学術用語なので、そこに良い悪いといった価値観は介在しません。しかし、Optimistic をよしとする文化の中で生活する人は、セレクティブリスニングを行う頻度が高いのでは、という仮説を考えてみたいのです。
ですから、英語ではより強い表現で主張しないと、相手に意図を伝えることは困難です。逆に、過去を重んじ、その過去の経験を聞くことに配慮する日本語環境では、セレクティブリスニングを行う頻度は低く、より曖昧な表現でも相手はこちらの言うことを聞いてくれるのではと推測できます。
したがって、我々が英語を使って交渉をするときは、我々が思っている以上にはっきりと自分の言いたいことを表現し、さらにそう思う理由を具体的な事例とともにちゃんと整理して話し、時には大きなジェスチャーや強いアイコンタクトで相手に主張をするように心がけない限り、相手はこちらの主張に耳を傾けることはないでしょう。
さらに、相手にとってこちらの話を聞くことが、どのような価値のあることなのかが納得されない限り、セレクティブリスニングによって、こちらのメッセージは淘汰されたまま、ビジネスも前に進まないかもしれません。
これは、英語学習に付加されなければならない極めて大切な事柄なのです。
さらに、相手にとってこちらの話を聞くことが、どのような価値のあることなのかが納得されない限り、セレクティブリスニングによって、こちらのメッセージは淘汰されたまま、ビジネスも前に進まないかもしれません。
これは、英語学習に付加されなければならない極めて大切な事柄なのです。
歴史的な人物をステレオタイプに表現すると、織田信長はセレクティブリスニングの頻度が高い典型的な人物で、徳川家康はその逆かもしれません。そして、日本では一般的には、セレクティブリスニングの頻度が高い人は孤立しがちで、悪くすると批判の対象となりがちです。逆にアメリカでは、セレクティブリスニングの頻度が高ければ意思の強い人である、と前向きに評価される可能性が高そうです。
この背景もあって、アメリカ人は合理的に物事を進めようとします。
コロナワクチンの接種はショッピングモールや街の薬局などでどんどん行い、今ではほんの少し前に59万人の死者を出した悪夢は過去であったかのように、どんどん経済活動を再開しています。私のコンタクト先のアメリカ人も一様に、あたかもコロナの問題はもう過去のことかのような印象で私に語ってくれます。
そして、この行為自体がリスクだと多くの日本人は思います。しかし、Optimistic であることをよしとするアメリカ人は、未来志向に物事を考えるときにリスクはつきものだと思い、そうした日本人の懸念には耳を貸しません。
コロナワクチンの接種はショッピングモールや街の薬局などでどんどん行い、今ではほんの少し前に59万人の死者を出した悪夢は過去であったかのように、どんどん経済活動を再開しています。私のコンタクト先のアメリカ人も一様に、あたかもコロナの問題はもう過去のことかのような印象で私に語ってくれます。
そして、この行為自体がリスクだと多くの日本人は思います。しかし、Optimistic であることをよしとするアメリカ人は、未来志向に物事を考えるときにリスクはつきものだと思い、そうした日本人の懸念には耳を貸しません。
人間の行動様式はこのように文化背景によって大きく異なります。
このことを知らずに言葉だけを操っても、相手に本当の意図を伝えることは不可能です。
このことを知らずに言葉だけを操っても、相手に本当の意図を伝えることは不可能です。
コロナ禍の今こそ異文化コミュニケーションの研鑽を
最後に、日本が今抱えている様々な課題を思うとき、こうした異文化による行動様式の違いにスポットを当てると、解決への思わぬヒントが見えてくる可能性があることを、ここで強調したいと思います。
リーダーシップのあり方を考えるとき、日本ではグループメンバーへの深い配慮を持った人物を選抜しがちです。この配慮が強すぎるあまり、日本の組織は硬直化し、リスクを誰もとらないような「非合理な安定」の罠に捉われてしまうかもしれないのです。
リーダーシップのあり方を考えるとき、日本ではグループメンバーへの深い配慮を持った人物を選抜しがちです。この配慮が強すぎるあまり、日本の組織は硬直化し、リスクを誰もとらないような「非合理な安定」の罠に捉われてしまうかもしれないのです。
今回のコロナワクチンなどへの対処。さらには、オリンピックに絡んだ利害関係の調整など、海外での交渉術を学ぶ必要性を毎日のように実感させられる中で、日本では文化の異なる人たちとどのようにしっかりと相撲を取るか、というノウハウの研鑚が強く求められているように思えるのです。
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『アメリカ英語によるアメリカ流交渉術』
浅見 ベートーベン (著)
アメリカ英語は、交渉で使われる正式言語です。しかし、日本で売られている英語ビジネス交渉術を学ぶ学習書の多くはイギリス英語で書かれています。アメリカ英語とイギリス英語では表現も話の進め方も違います。イギリス英語には簡単なことも難解な表現で表すという特徴があり、論点がわかりにくくなりがちです。
本書では、IBMで英語での交渉に専門に携わってきた著者が、アメリカ流の様々な英語交渉のコツと、それらにちなんだ交渉関連のフレーズを詳細なスキットを通して伝授します。