I know times have been challenging, especially the last several months.
The grief, sorrow, and pain. The worries and the struggles.
But we’ve also witnessed your courage, your resilience, and the generosity of your spirit.
For 4 years, you marched and organized for equality and justice, for our lives, and for our planet.
インドからの移民ネットワークの中で育ったカマラ・ハリス
そこの主人はインドのチェンナイ近郊の出身で、昔タージマハル・ホテルに勤めていました。
昨年の11月、久しぶりにその店を訪ねると、彼は嬉しそうに、私の故郷の近くからアメリカに渡った人の娘がアメリカの副大統領になったんだよ、と語ってくれました。
カマラの父親もアメリカに渡ってきた移民でした。カリブ海の国ジャマイカの出身で、その後ロンドンやカリフォルニアで学び、経済学者となった人物です。両親はカリフォルニアのバークリーで出会いました。
タージマハル・ホテルは、今インド最大の財閥であるタタ・グループの創業者、ジャムシェットジ・タタが始めたホテルでした。
彼はイギリス統治下のインドにあって、インド人にも一流ホテルを経営できることを証明しようと、1903年にこのホテルを開業しました。
今、タージマハル・ホテルは、インドを代表する高級ホテルとして世界に知られています。
もちろん、アメリカも例外ではありません。アメリカでインド料理のレストランを経営する人物の親戚はイギリスで働いている、というような事例は、数えきれないほど存在するのです。
母親のシャーマラ・ゴバーランは、若い頃インドからアメリカに移住し、そこで医学を学び、カリフォルニアで乳がんの著名な研究者となりました。
東洋×西洋が生みだしたホテル、そして米国史上初の女性副大統領
タージマハル・ホテルが創業した頃のイギリス領インドは、隣国のパキスタン、バングラデシュ、さらにミャンマーまで傘下に入れたインド帝国として君臨していました。
タージマハル・ホテルは、そんなイギリスの権威に挑み、インドを代表する世界遺産タージ・マハルをモデルにしながら、イギリス流の建築様式を取り入れて完成しました。その東洋と西洋とのシナジーが、その後のホテルのビジョンとなったのです。
その凄惨な様子は、その後『ホテル・ムンバイ』という映画にもなりました。
幸い、ホテルは再建され、今も多くの人を魅了する高級ホテルとして、世界中の賓客を集めています。
カマラ・ハリスは、インドからの移民であった母親を常に尊敬していました。そして、若い頃にはインドで独立運動にも携わった祖父に会い、強い影響を受けたと語っています。
彼女は、インドのルーツを持ちながら、アメリカ人として法曹界から政界へと進み、ついに次期副大統領に選ばれたのです。ちょうどタージマハル・ホテルのように、インド人としての伝統が彼女の血として流れています。そして、アメリカ人として、これからのアメリカ社会のリーダーとして活動するわけです。
今、あのタージマハル・ホテルの惨劇のように、そうした多様なシナジーを嫌い、白人至上主義やイスラム原理主義といった、自らの殻のみに固執する人々による社会の分断が続いています。
だからこそ、彼女は映画『ホテル・ムンバイ』に描かれた脅威にも対峙しなければならないはずです。
2021年は分断のない多様性が輝く世界へ
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『日英対訳 世界の歴史
A History of the World: From the Ancient Past to the Present』山久瀬 洋二 (著) ジェームス・M・バーダマン (翻訳)
受験のためではない、現在を生きる私たちが読むべき人類の物語
これまでの人類の歴史は、そこに起きる様々な事象がお互いに影響し合いながら、現代に至っています。そのことを深く認識できるように、本書は、先史から現代までの時代・地域を横断しながら、歴史の出来事を立体的に捉えることが出来るように工夫されています。 世界が混迷する今こそ、しっかり理解しておきたい人類の歴史を、日英対訳の大ボリュームで綴ります。