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コロナと日本の風土

Hi Please don’t mention their names or the school. They are worried about the discrimination.

(すみません、その名前や学校名は誰にも言わないで。彼らは差別されることを心配しているから)
― 私宛てに届いたメッセージ より

日本で横行するコロナ禍での差別、偏見

 正月早々、私のフィリピンのオフィスのマネージャーから連絡がありました。
 日本のとある町の英会話学校に勤務する友人が、コロナに感染したというのです。その友人と一緒に日本にやってきて児童英会話の先生をしている人も感染し、同時に英会話学校に勤める日本人とその家族にも感染が拡大したのです。
 
 幸い、その友人は軽症で回復に向かっているようでした。
 しばらくして、さらにフィリピンから連絡が入りました。それが、ヘッドラインとして紹介したメッセージです。
 
 2021年にコロナが終息するかどうか。
 ノーマルな過去に戻れるのかということは、誰もの関心事です。
 しかし、今回のコロナウイルスの蔓延を通して、日本人が自らの文化の弱いところを意識したかどうかというテーマに、関心がなかなか集まりません。それは、コロナに罹患した人への差別が横行していて、少なくとも先進国といわれる国々の中ではあまり見られない現象であるということです。もちろん、似たような現象は他のアジアの国々でも散見されるようですが、少なくとも欧米ではあまりないことなのです。
 
 一週間ほど前、アメリカの仕事仲間から連絡が入ったことを思い出しました。
 彼は雑談中に、

「最近のニュースで、日本ではコロナに感染すると社会から批判されるというふうに報道されていたが、そんなことがあるのかね」

と問いかけてきたのです。

 

 アメリカでのコロナの感染は日本の比ではありません。累計で35万人以上が死亡し、いまだに1日の感染者数も日本とは二桁も違います。さらに、コロナを巡ってはマスクの着用を州などの政府が強制するべきかどうかで、世論も分かれて大変でした。しかし、感染者への差別があるかというと、彼は言下に否定しました。

「だって、病気じゃないか。誰にだって感染リスクはある。そんなことで人を差別するなんて理に適ってないよね」
 

 アメリカには人種への差別など、様々な社会的問題が今もくすぶっているとはいえ、こと病気や災害に対しては、これは全ての人に降りかかるものという意識があり、人々は逆に地域で協力して救済にあたります。

 

日本ならではの闇と世界の人々からのコメント

 そういえば、2011年に福島で起こった原発事故のときも同様でした。
 放射能に汚染されたのではないかという風評で、被爆地から避難してきた人々があちこちで差別の対象になったことを覚えている人も多いはずです。
 病(やまい)が悪魔などの仕業だという迷信がまかり通っていた時代には、世界中でこうした差別が横行していました。中世にはペストに罹患すれば、その村ごと焼いてしまうこともあれば、流行がユダヤ人のせいだということで、虐殺事件なども多発したという記録が残っています。
 しかし、科学によってウイルスの存在が解明され、自然の摂理への理解も進んできた現代社会にあって、今なお差別が横行する事実の背景には、何か日本ならではの社会の闇があるようにも思われます。
 
 ネットで人を中傷する心理、あるいはいじめや風評を拡散して喜びを覚える陰湿な快感に中毒している人が多いのでしょう。その背景には、日本独特の逃げ場のない管理社会や村社会の因習があるのかもしれません。
 
 2020年の終わりにあたって、昨年の一年間で私とコミュニケーションをした海外の人々の声を、一本の動画にまとめてみました。15分ほどのインタビューを50名あまりの人に向け、昨年の春から行ってきましたが、その大半がコロナについてのコメントでした。
 対象となったのはアフリカから南米、アジアからヨーロッパや北米へと多彩でした。そんなコメントの中から、印象に残った箇所を数十秒ずつカットし集めてみたのです。最終的に38名が登場し、35分のインタビュー集として完成しました。
 
 みんなコロナについて真剣に、そして時には驚きや希望、不安を率直に語ってくれています。そのとき私が気づいたのは、海外の人のおおらかさです。
 自らの意見を思うままに、コロナを全ての人の課題として位置づけて、語ってくれました。日本社会における、コロナを通して見える身動きのとれない硬直さや差別などについて、彼らがどのように理解してくれるだろうかと、ふと思ってみたほどです。

「なぜ、差別が存在しうるの?」

とアメリカの友人は怪訝に質問をしてきました。

「いやね、日本には均質さからはみ出ることを嫌う風潮があってね…」

と解説しても、言い訳にはならないなと感じたものです。

 

2021年、改めて見つめ直したい日本のこと

 再び緊急事態宣言を発令するかどうかというなか、私もオフィスを全面的にテレワークに変えることを決断し、岐阜県に居住する関係者に連絡をしたとき、彼はこう言いました。
 

「コロナって、別に重症者も少ないし、本当に深刻な病気なのかわからないけど、自分がかかると地域の人の目が怖いからねえ」
 

 人の目を気にする日本人の心理が、逆に困った人へのサディスティックな行為に変わってしまうのでしょうか。

 
 2021年。東京オリンピックが開催されるかどうかはともかくも、日本が世界中の人々を迎え入れることのできる社会へと成長するには、こうした日本独特の風潮を改めて自覚し、考えてみることも大切なのではないでしょうか。
 

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世界の人々からのコメントに興味のある人は、是非35分間視聴してみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=SpQTdazbgjo

英語ですが、字幕がしっかりとついています。そして、あなたならどんなコメントを寄せてくれるのか、私も一緒に考えてみたいと思います。
本年が皆様にとって良い年となりますように。
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